情報BOX:ベネズエラ軍は米軍の攻撃があった場合どのように対抗するのか
トランプ氏は、カリブ海と太平洋で麻薬密輸船だと主張する船舶を攻撃し、地上戦に発展する可能性もあると繰り返し述べてきた。これらの攻撃では80人以上が死亡している。一方、マドゥロ氏との電話会談では同氏の訪米の可能性についても話し合ったとも報じられている。
<ベネズエラ軍の戦力は>
ベネズエラの軍事力に詳しい6人の関係筋によると、同国の軍は、訓練不足、低賃金、軍事装備品の劣化によって弱体化しており、米軍の戦力はベネズエラ軍を圧倒している。
2013年から政権を握っているマドゥロ氏は、軍の将校を政府の役職に就かせることで軍からの忠誠心を保ってきた。しかし一般兵士の月給は現地通貨で100ドル相当にとどまっており、これは平均的な家庭が基本的に必要な額の約5分の1に過ぎないとされる。
複数の情報筋は、ベネズエラ軍の多くの部隊からは既に脱走兵が出ており、米軍が攻撃した場合にはさらに増加する可能性があると指摘している。
マドゥロ氏は約800万人の民間人が民兵組織で軍事訓練を受けていると主張している。しかし、ある情報筋は実際の防衛行動に参加するのは計数千人の情報要員と武装した与党支持者、民兵組織のメンバーだけになると推計している。
軍の装備も不足しており、それらの多くは数十年前に造られたロシア製だ。ベネズエラは2000年代にロシアのスホイ製戦闘機を約20機購入したが、米軍のB2爆撃機と比較すると見劣りするとされる。ベネズエラ軍のロシア製ヘリコプターと戦車、肩撃ち式ミサイルも時代遅れになっている。
<ベネズエラ軍の対抗策は>
情報筋およびロイターが確認した計画文書によると、ベネズエラは米軍から空襲または地上攻撃を受けた場合、ゲリラ戦形式で抵抗するか、混乱させる計画を立てている。
ベネズエラ軍高官らが詳細を明かさずに公言した内容によると、同軍の対抗策の一つは「長期的抵抗」と名付けられており、280カ所を超える拠点に配置された小規模軍事部隊が破壊工作や、ゲリラ戦を実施する。
マドゥロ氏が国営テレビで最近称賛したロシア製のイグラ地対空ミサイルシステムは5000基を配備済みだ。ある情報筋によると、攻撃を受けた場合には部隊が分散し、各地に潜伏するように命令が出ている。
第二の戦略は「無政府化」と呼ばれている。当局者は認めていないものの、情報機関と武装した与党支持者らが首都カラカスで混乱を引き起こし、ベネズエラを統治不能に陥れる作戦だと情報筋は解説している。
<ベネズエラの他の武装勢力は>
ベネズエラ西部では、国民解放軍などのコロンビアのゲリラ組織が活動している。この地域は麻薬のコカインの原料となるコカの栽培拠点でもある。
与党支持者らはオートバイの隊列で、マドゥロ政権への抗議活動と対峙することが多い。与党支持者らは武装している場合もある。
ベネズエラの野党勢力、非政府組織(NGO)、米政府、および一部の中南米政府は、マドゥロ氏とベネズエラ軍が麻薬密売組織と結託していると非難している。これらの麻薬密売組織は暴力行為も非難されている。
ベネズエラ政府はこうした関係を一貫して否定しており、米国がベネズエラに埋蔵している膨大な原油を掌握するため政権交代を図っていると主張している。
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