冷房止まる酷暑の避難所、屋外で眠る子も 関連死防止へ難局続く

避難所となっている「ウイングまつばせ」に避難した人たち=熊本県宇城市で2026年7月30日午前11時44分、長澤凜太郎撮影

 熊本県は30日も厳しい暑さに見舞われた。約1万人が避難所に身を寄せ、熱中症や体調の悪化に不安を募らせている。自宅で過ごす人は断水や停電に苦しむ。どうすれば、避難生活での関連死を防げるのか。10年前とは異なる真夏の大地震に、自治体職員は対応を模索しながら避難所運営などにあたっている。

避難所も冷房停止、高まる熱中症リスク

避難所の停電でエアコンが停止し、別の避難所へ移る被災者ら=熊本市南区で2026年7月28日夜(関係者提供)

 28日夕方に震度6強を観測した熊本市南区。避難所となった「火の君文化センター」には最大約200人が身を寄せた。ところが同日午後10時ごろに突然停電し、冷房が止まった。

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 この日の熊本市は猛暑日となり、日が沈んでも気温は30度近かった。市は、施設内にいても熱中症の危険があると判断し、別の避難所への移動を促した。移動手段のない約50人は、地元の消防団に協力してもらって別の避難所へ送り届けた。全員が移動を終えたのは午後11時を回った。市の担当者は「時間はかかったが、熱中症になる人はおらずほっとした」と話した。

 30日午後2時時点で熊本県内の避難所は406カ所、避難者は9450人。県内の自治体には、2016年4月の熊本地震を経験した職員が多く、避難所運営のノウハウがある。熊本地震後に整備した、新しい防災施設も複数ある。ただ今回は真夏に起きたため、手探りの避難所運営が続く。

停電下の避難、苦渋の選択

 震度7を観測した氷川町は28日、小中学校のグラウンドを車中泊向けに提供しただけで、建物は開放しなかった。冷房が停止していたためだ。国からは「なぜ避難所を開設しないのか」と問われたというが、町の担当者は「危険と判断した」。29日以降は電源車が到着して冷房が使えるようになり、避難所を開設した。

 同じく震度7を観測した宇城市。指定避難所の「豊野防災拠点センター」は20年度に完成した新しい施設だが、地震で天井が崩落し、内部は使えなくなった。

 「小川防災拠点センター」も20年度に完成し、防災井戸やマンホールトイレがある。28日は約800人が身を寄せたが、停電で冷房が使えなかった。29日は電源車で冷房を動かし、取り付け工事が不要の「スポットクーラー」も届いた。

氷川町役場に設置された給水所で水を確保する人たち=熊本県氷川町で2026年7月30日午前8時18分、長澤凜太郎撮影

 70代の女性は「28日は座っているだけで汗が噴き出した。それでも、家で1人でいるよりは安心だと思った」と振り返る。市によると、避難者が増えて体調不良を訴える人もいるといい、職員が見守りなど対応を続けている。職員の一人は「体調を崩す人が出ないように注意したい」と語る。

 宇城市の調理師、山本未来さん(36)は、閉校した小学校のグラウンドにシートを敷いて一夜を明かした。子どもは5人いる。体育館だった建物は避難所として開放されていたがエアコンはなく、風通しの良い屋外を選んだという。「他にも屋外で寝ている人たちがいたが、蚊が多くて大変だった。子どもたちは可哀そうだった」と語る。

体育館の冷房、全国に比べ熊本は…

真夏の避難生活で熱中症を予防するポイント

 県の被災地の学校の体育館には、冷房設備のない所もある。

 文部科学省の調査によると、避難所に指定されている公立小中学校の体育館などで冷房が設置されているのは小学校で32・3%、中学校で34・3%。最も高い東京都は小中学校で95・9%だが、熊本県は20・9%。

 設置が進まない理由について、文科省は「普通教室への整備が先に始まった経緯がある。自治体が使用頻度を考えて優先順位を決めている」とする。同省は23年度から、冷暖房設置工事の補助率を3分の1から2分の1に引き上げたが、普及はなお課題となっている。【野呂賢治、日向米華】

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