「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」(NEWSポストセブン)
「今回、田久保さんに辞任の撤回をお願いしたのは私なんです。7月17日に表敬訪問して、『いま辞めるのはやめてほしい』と伝えました」 この女性は、コンサルティング会社の社長であり、政治団体「請願権を実現する会」の代表も務める浜中都己氏。彼女はこれまで国民が行政に対してもっている「請願権」の拡充や権利保護を訴えてきた人物であり、昨年行われた静岡県知事選挙にも立候補している。 田久保市長の進退に関して、浜中氏にいったいどんな利害関係があったというのか。浜中氏本人が説明する。 「昨年当選した鈴木康友静岡県知事をリコールする会を主宰していて、8月から署名活動を始めるところでした。彼は浜松市長時代、スズキ株式会社のリコール問題を黙認し、およそ43億円もの補助金を交付している。 実は、知事のリコールを成立させるための署名集めというのは条件が厳しくて、2か月間の期間で済ませなければならない。さらに、もし田久保さんに“出直し選”をやられると、選挙期間中は、地方自治法が定めるところの『署名収集の禁止期間』にあたるため、伊東市で署名収集ができなくなってしまうんです。事情を説明すると彼女は『これはひどいですね』と言ってくれました」
7月19日、NEWSポストセブンが取材した際に、田久保氏本人は「基本的には一度ちゃんと辞任して、(再出馬)するべきかなというふうにお話しさせてもらっています」と語っていた。しかし、考えるところがあったのか、7月31日にはこの証言を覆し、“辞めるのやめる”ことを発表。これを受けて報道では「退職金目当てか」「市長のポストに居座りたいだけ」などと批判する記事も相次いだ。 自身の“陳情”が辞任撤回の舵切りに影響したと主張する浜中氏。9月1日に不信任案が決議され、辞任・失職か議会の解散を迫られている市長についてこう語る。 「あれは彼女のシナリオどおりです。(不信任を)煽ったところ、市議たちが乗せられたのです。このまま議会を解散して、市議の再選挙となればその間、彼女はソーラーの問題などについてあらためて市民に問うことができる。すでに2〜3名ほど、味方となる立候補者を準備しているそうです」 田久保氏はこれまで、SNSなどで伊豆高原のメガソーラー問題などを議題にあげ、”反対派の勢力が水面下で動いている” などといったことをほのめかしている。本人のみぞ知るところだが、田久保市長は、過去に似たような境遇におかれ、“自らと同じく利権と戦っている”と思って浜中氏に共感を寄せたのか──。 一連のやり取りについて、NEWSポストセブンは後日、田久保市長へ確認を試みたが、浜中氏の名をあげても、「今は答えられない」と言うばかりだった。 およそ2時間にわたる取材が終わるころ、浜中氏はこうも漏らした。 「田久保さんが当初、“詐称問題”を真摯に受け止めて、辞任しようとしていたことは間違いありません。そんななかで、私の申し入れに応じてくれたことで全国中から『嘘つき』呼ばわりされていることに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。のちに田久保さんに『私が”辞めないで”と言ったからですか』と聞いたところ優しく、『半分、それもあります』とおっしゃっていました。もちろん、私にも話せない”理由”もあるんでしょう。 ひとつだけ言えるのは、お金がほしくて辞任しなかったなどというワケではないということ。彼女は今も自分なりの信念に基づいて、市民に尽くそうとしているのです」 泥仕合となっている“田久保劇場”に、今後どんな折り合いがつくのだろうか。市長の動向に注目が集まる。