2.8倍高のナノテク株、6.3%高のトヨタ自動車など非AI株が躍進!今週も内需・ディフェンシブ株に注目
先週は、世界的に人工知能(AI)半導体株だけがたたき売られる「AI株独り負け相場」になりました。
日経平均株価は週間で5.37%も急落しましたが、下げを主導したのは日経平均株価に強い影響力を持つ半導体製造装置メーカーのアドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、海外AI企業に巨額投資を行うソフトバンクグループ(9984)などAI株でした。
先々週に上場来高値を更新したばかりのアドバンテストは前週末比17.0%安、東京エレクトロンが14.6%安、ソフトバンクグループが14.8%安、2026年前半に株価10倍高を達成した半導体メモリの人気株キオクシアホールディングス(285A)に至っては23.6%も急落しました。
米国でAIに特化したデータセンターを運営する新興AIクラウド企業・コアウィーブ(CRWV)の社債が信用不安拡大で売られ、利回りが16%台まで急上昇。株価も1週間で25%急落する「コアウィーブショック」がAI株全面安の引き金になりました。
米国の10年国債の金利が5%台で高止まりする中、巨額の借金でまかなわれているAI投資の継続性に対する警戒感が台頭し、コアウィーブの信用不安につながりました。
日本市場で最も大きく売り込まれたのはAIデータセンター向け部材を提供する非鉄金属セクターでした。光ファイバーの古河電気工業(5801)が17.8%安、フジクラ(5803)が16.8%安、電子回路向け銅製品を展開する三井金属(5706)が12.0%安と大きく下げました。
その他、週間業種別下落率の下位には多くのAI株が属する電気機器、金属製品、ガラス・土石製品セクターが並びました。
その一方、非AI株はかなり大きく上昇し、時価総額が45兆円超で日本一に返り咲いているトヨタ自動車(7203)は6.3%高。
アステラス製薬(4503)が7.6%高となるなど、AI相場の陰で売られることも多かったディフェンシブ性もある医薬品セクターが週間業種別上昇率1位でした。
15日(木)には日経平均株価が歴代3番目となる3,318円の下げ幅を記録したことが一般のニュースでも報じられましたが、週間で見ると33業種中、内需株中心に20業種は上昇。AI株以外は至って堅調な展開でした。
特に上昇が目立ったのは時価総額の小さな中小型の材料株。
ナノテクを駆使して高性能・高機能な樹脂製品を製造するクラスターテクノロジー(4240)は業績や株価の低迷が続いていましたが、事務機器メーカー大手のセイコーエプソン(6724)と資本業務提携を結ぶと発表。株価は1週間で188.1%高。実に2.8倍以上も急騰しました。
先々週、サイバー攻撃による情報漏えい多発で買われたネットセキュリティー株も続騰。総合型本人確認ツールの販売が好調なショーケース(3909)が73.5%高。ログ分析などを行うセキュアヴェイル(3042)が63.5%高と2週連続で急騰しました。
また、業績の大幅上方修正や増配・自社株買いを発表した企業の株価急騰も目立ち、鉄道車両向け電気機器の東洋電機製造(6505)が34.7%高、マンション建設に強い中堅ゼネコンの大末建設(1814)が20.3%高。
小売業の勝ち組といえる「無印良品」の良品計画(7453)は今期2027年8月期の4期連続最高益更新見通しと前期配当の増額を発表して6.5%高と続伸。
一方、2026年に入って株価が50%以上下落しているイオン(8267)は2026年6-8月期の営業利益が市場予想を大幅に下回ったことで7.6%安。小売業の大手2社は明暗を分ける決算結果になりました。
今週も逆二極化相場が続く!AI株は週後半のメタ・プラットフォームズ、ディスコの決算待ち!
今週の日本株の注目トピック
日付 イベント 10月19日(月) ・中国の2026年7-9月期国内総生産(GDP)発表 10月20日(火) ・米国でゼネラル・モーターズ(GM)、ネットフリックス(NFLX)が決算発表 10月21日(水) ・9月貿易統計、9月訪日外客数 ・米国でメタ・プラットフォームズ(META)、テスラ(TSLA)、IBM(IBM)が決算発表 10月22日(木) ・ディスコ(6146)など日本企業の2026年7-9月期決算発表始まる 10月23日(金) ・9月消費者物価指数(CPI) ・ファナック(6954)が決算発表・ムーディーズ・レーティングスがフランス国債の格付け見直し
先週16日(金)夜の米国株が下落したこともあり、今週はAI株の続落とその影響を受けた日経平均株価の下落で始まりそうです。
10月に入って前月末比25.1%も急落している半導体メモリの人気株キオクシアHDなど、AI株がどのタイミングで反転上昇に転じるかが焦点になりそうです。
AI株が下がると上昇することの多い内需のIT系サービス企業やゲーム会社、ディフェンシブ色の強い医薬品、小売、食料品メーカーなどの株価は逆に底堅い展開が見込めそうです。
また、先週も15日(木)にセキュリティーソフト会社のソースネクスト(4344)が不正アクセスで2,200万件超の個人情報流出を発表。
16日(金)には総務省が通信事業者のデータ保護強化に向けた検討会を設置したこともあり、今週もネットセキュリティー関連の中小型株の急騰劇が続きそうです。
また、先週同様、中間期の決算発表が間近に迫った企業の業績・配当政策の上方修正が株価上昇の起爆剤になるでしょう。
ただ、米国とイスラエルが11月3日(火)の米国中間選挙前のイラン再攻撃を検討していると伝えられ、原油価格が高止まりしていることから、先週、反発した自動車株、鉄鋼株といった外需系景気敏感株の勢いは失われるかもしれません。
一方、原油価格上昇が収益増加に貢献するINPEX(1605)など鉱業株、ENEOSホールディングス(5020)など石油元売りなどが買われるかもしれません。
急落するAI株に関しては、22日(木)早朝に米国でフェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(META)、半導体製造装置メーカーのテキサス・インスツルメンツ(TXN)やラムリサーチ(LRCX)が決算発表。
日本でも先週、前週末比12.4%下落した半導体研削装置メーカー・ディスコ(6146)が22日(木)に決算発表します。
先週、買い物代行などもできるAIエージェントアプリの新型バージョン「ミューズ・ワンダー」の提供を始めたメタ・プラットフォームズが来年2027年も巨額のAI設備投資を続けるのかが注目されます。同社が現状のAI事業で予想以上の成長を達成した上で、AI設備投資を増やすのが、AI株のリバウンド上昇にとって最良のシナリオといえるでしょう。
また、日米半導体製造装置メーカーの今後の受注状況や売上見通しもAI株持ち直しのきっかけになるかもしれません。
年間売上高の7倍近い債務を抱える新興AIクラウドのコアウィーブ以外にも、米国にはAI投資で巨額債務を抱える企業も多く、今週、同業他社に信用不安が飛び火するようだとバブル崩壊クラスの急落が続くかもしれません。
ただ先週は日本でも米国でも、AI株急落で安全資産である10年国債に買いが集まり長期金利が低下。日本の10年国債の金利は3%の大台を割り込んでいます。
米国の10月利上げ期待もあり、為替市場では1ドル158円台の円安が続いており、金利や為替の面では急落した日本のAI半導体株に見直し買いが入ってもおかしくないでしょう。
23日(金)には世界的な格付け会社の米国ムーディーズ・レーティングスが、財政不安の続くフランス国債の格付けを見直す予定で、格付けの引き下げが見込まれています。
また同じ23日には、日本の9月消費者物価指数(CPI)も発表されます。
先行して発表された東京都区部の9月CPIは政策効果がなくなり、前年同月比2.7%の伸びに急加速。23日の9月全国CPIの結果次第では、来週30日(金)終了の日本銀行の金融政策決定会合での追加利上げ観測が台頭し、株価の圧迫要因になりそうです。
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