米空軍参謀総長、対イラン作戦で最も役立ったのはF

米空軍はMQ-9について「太平洋地域では生存性が見込めないので退役させる」と主張していたが、対イラン作戦でMQ-9の価値が見直され、ケネス・ウィルスバッハ参謀総長も20日「エピック・フューリー作戦で最も優秀な役割を果たしたのはMQ-9だった」と議会で証言した。

参考:Air Force Chief: MQ-9 Reaper ‘Most Valuable Player’ of Iran War Despite Losses

偵察衛星による監視能力はニアリアルタイムであり、低軌道を周回しているため特定地点の継続的な監視能力も1回の通過で数分程度しかなく、偵察衛星の監視能力に基づいた静止目標の位置特定は得意でも、移動目標の位置を追尾するのは不可能に近く、偵察衛星さえあれば攻撃目標の位置特定を全てカバーできるわけではない。

出典:Photo by Staff Sgt. Taylor Drzazgowski

米空軍も湾岸戦争時「イラク軍がスカッドミサイルを発射した移動式発射装置の撤収作業に30分かかると考え、これだけの時間があればDSP衛星が発射を検出し、射点の座標を割り出し、戦闘機で撤収作業中の移動式発射装置を破壊できる」と計算していたが、イラク軍はソ連のマニュアルに頼るのではなく「30分かかるはずだった移動式発射装置の撤収作業を6分に短縮する方法」を発見、そのためスカッドミサイルを発射して直ぐ逃走したため、当時のISR能力では移動式発射装置の位置を把握するのが困難だった。

この技術的問題は2022年2月に勃発したウクライナ戦争、2026年2月に勃発したイラン戦争でも同じ傾向が確認されたが、この問題に一定の解決策をもたらすのがゼネラル・アトミックス製のMQ-1、MQ-1C、MQ-9A、MQ-9B、バイカル製のバイラクタル・TB2、バイラクタル・アクンジュ、トルコ航空宇宙産業製のアンカA、アンカB、アンカC、イスラエル航空宇宙産業のヘロンTPといった武装可能な無人航空機=UCAVで、この無人プラットフォームは情報収集、監視、目標捕捉、偵察=ISTAR能力に加えて攻撃兵器を携行することができる。

出典:Армія Інформ / CC BY 4.0

例えばTB2が装備するEO/IRセンサーは最大75km先の車両を認識でき、最大20km先にある目標の位置を特定可能で、最大24時間以上の滞空能力を活かしてリアルタイムで移動目標を発見したり、移動目標を追尾して位置特定したり、状況が許せば携行する攻撃兵器で目標を直接破壊することもできるが、有人機よりも小型なUCAVは低観測性に優れていても高度な防空システムが作動する空域での生存性は低くなり、米空軍は「中国が高度な防空システムを運用しているためMQ-9は太平洋地域の生存性が見込めない」と主張して2035年までにMQ-9を全て退役させる予定だった。

MQ-9はイラン戦争=エピック・フューリー作戦でもイラン領内における移動目標の発見、追尾、攻撃に投入され、イランの報復攻撃による地上での被弾によるものも含めて約30機が失われたと言われているが、、MQ-9に対する評価は「防空システムに撃墜されるから役に立たない」のではなく「無人機最大のメリットを活かして有人機の撃墜リスクを肩代わりしている」へと変化し、米空軍は対イラン作戦で失ったMQ-9の補充、さらにMQ-9の後継機として高度なステルス性ではなく「消耗品として利用できる低コスト化」を要求している。

Iran’s IRGC released a footage reportedly showing U.S. F-35 jet being hit over Iran.

Note that we can’t independently confirm the authenticity of the footage. pic.twitter.com/9N0ePd2LLf

— Clash Report (@clashreport) March 19, 2026

移動可能な防空システムの構成要素を完全破壊することは困難で、ステルス能力が優れるF-35もイラン領内で迎撃され機体が損傷し「電気光学/赤外線方式のセンサーからは逃れられない」と証明され、依然として移動目標の発見、追尾、攻撃のため敵領空内で活動するのはリスクが高く「有人機を投入して撃墜されるよりもMQ-9を撃墜された方がマシ」となり、米空軍のケネス・ウィルスバッハ参謀総長も20日に行われた下院軍事委員会の公聴会で「エピック・フューリー作戦で最も優秀な役割を果たしたのはMQ-9だった」と主張した。

ウィルスバッハ参謀総長は「エピック・フューリー作戦に空軍が保有するほぼ全ての戦闘機(F-15E、F-16C/D、F-22A、F-35A、A-10)と爆撃機(B-52H、B-1B、B-2A)を投入してイラン国内の標的1万3000以上を攻撃したが、イランに対する攻撃回数という点でMQ-9に匹敵する機体は他にない」「MQ-9は非常に有用な無人プラットフォームなのでパイロットを危険に晒すことがない」と証言。

The Iranian regime has been the number one threat to peace and stability in the Middle East for years. U.S. forces continue to take decisive steps to neutralize Iran’s power projection capabilities. pic.twitter.com/JOT7rRGH7L

— U.S. Central Command (@CENTCOM) March 13, 2026

エピック・フューリー作戦に詳しい関係者も「最も戦闘が激しい時期には一度に約12機のMQ-9がイラン領空内を周回飛行し続け、ミサイル発射装置、ドローン発射装置、航空機、移動式システムなどの動的目標に対する情報収集任務と直接攻撃任務に集中していた」と明かし、ダン・ケイン統合参謀本部議長も停戦直後「標的1万3000以上の中には戦場に突如出現し、即座に対処された4000以上の動的目標が含まれている」と報告したことがあり、撃墜されたF-15Eの兵器システム士官の救助作戦においても、この士官から3km以内に接近したイラン軍兵士を攻撃したこともある。

Air&Space Forces Magazineは「ミサイル発射装置を探すため標的地域上空を旋回している航空機は有人機であろうと無人機であろうと非常に脆弱だ」と指摘し、米空軍にとってMQ-9を約30機失ってしまったことは戦術やプラットフォームの失敗を意味するのではなく「それだけ有人機の撃墜リスクを回避しながら4000以上の移動目標に対処(直接攻撃に加えて目標の位置情報共有による他の攻撃手段での破壊を含む)することができた」となり、たくさん撃墜されたMQ-9なんて役立たずだと判断するのは「(時期や環境によって効果は変動するものの)ロシア軍のバイク攻撃が無意味で役立たずだ」と決めつけるのと同じだ。

Another US MQ-9 Reaper UCAV was shot down by IRGC Aerospace Force air defense over Hormozgan province. Some sources write that this is an Israeli Hermes-900, but this is clearly US MQ-9 with Hellfire missiles pic.twitter.com/7nvOEEoGUz

— Yuri Lyamin (@imp_navigator) March 7, 2026

ちなみに、フランス装備総局(DGA)も2025年のパリ航空ショーで「最近の激しい紛争を通じて中高度を長時間飛行でき、低コスト、モジュール性、マルチミッション、妨害耐性、迅速な展開能力といった特性をもつ無人機の必要性が浮き彫りになった」「この種の無人機は現代戦において優れた偵察、監視、情報収集、軽攻撃能力で重要な役割を果たしている」を説明し、仏企業5社と契約して国産UCAVの開発に乗り出した。

MQ-9AやTB2の活躍によってUCAV=対地攻撃能力という評価が独り歩きしたが、軍人、軍事アナリスト、ディフェンスメディアは「UCAVにとって対地攻撃任務は能力の一部に過ぎず、有人機に難しい24時間以上の滞空能力、EO/IRセンサーによる視覚的な戦場認識力の拡張、機外搭載が対地攻撃兵器に限定されない多用途性(電子戦、信号情報収集、戦術通信中継など)といった能力がキルチェーン全体に大きな優位性をもたらす」と評価している。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class William Rio Rosado

MQ-9を約30機失っても「そのコストで何を成し遂げたのか」が重要で、仮にMQ-9を100機失うことになっても「成し遂げたこと」に対するコストバランスがとれているなら問題ないし、逆に1機も失わずに済んでいても何も成し遂げていないのなら意味がない。

そういった点においても「エピック・フューリー作戦で最も優秀な役割を果たしたのはMQ-9だった」という評価は中々興味深いものがある。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Renee Blundon

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