【ハメネイ師・暗殺作戦の内情】あらゆる監視カメラ、スマホをハッキング…「イスラエルのためなら何でもやる」諜報機関「モサド」の恐ろしすぎる情報戦(現代ビジネス編集部)
2026年2月28日から始まったアメリカとイスラエルによるイランに対する軍事攻撃。政権中枢はすでに壊滅状態だとみられており、イラン全土で爆撃が続く。対するイランもイスラエルや中東の周辺諸国の米軍基地に報復攻撃を行うなど、戦火は拡大の一途を辿っている。今回の軍事侵攻の「カギを握っていた」と指摘されているのが、イスラエルの対外諜報機関「モサド」だ。
イスラエル存続のためなら犯罪行為もいとわない、その組織の内情について前編記事『「ハメネイ師殺害」の裏で暗躍か……世界最強の諜報機関「モサド」は日本にも“出張”してきている』に引き続き、国際ジャーナリストの山田敏弘氏に聞いた。
イラン国内どこでも居場所を把握
――昨年から続くイランへの攻撃では、政府の高官らがピンポイントで殺害されています。居場所の特定にはモサドが関与していると言われていますが。
ハメネイ師殺害に抗議する人々(Photo by Gettyimages)山田「モサドはCIAとともに、長年をかけてイラン国内で大量の協力者・スパイを育ててきました。主にペルシア人ではないイラン人が協力している、という見方があります。イランにはペルシア人のほか、同じイスラム教徒でもクルド人やユダヤ系の住民もいます。ペルシア人以外のアセットやエージェントと呼ばれる協力者から情報を得たり、イラン政府の内部に接触したり。協力者の存在はイランで非常に強い意味を持ちます。
地下に長年潜っている人以外は、協力者の情報によって、イラン国内のどこにいても居場所を突き止められると言われています。
それほどにまで能力が高く、非常に恐ろしい存在がモサドです。昨年6月の軍事侵攻以降、イスラエルはハメネイ師に対して、『居場所はどこでもはっきりわかる。いつでも暗殺できる』と言ってきました」
――その言葉通り、ハメネイ師は一族とともに殺害され、世界に衝撃を与えました。狙われていることがわかっているのであれば、逃げることはできなかったのでしょうか。
山田「ハメネイ師は地下施設に身を隠していることが多かったとされ、昨年6月以降はしばらく表には出てきませんでした。
今回の殺害はアメリカとイスラエルが実に周到に準備を重ねてきた結果とみられています。昨年12月末にトランプ大統領とネタニヤフ大統領はフロリダで会談をおこなった。そこで、核開発を進めるイランは『叩くしかない』という結論に至った。
その後も、交渉は続けていたものの、イランは要求には応じない。そうしている中で“タイミング”が訪れたんです。
今年2月23日、ネタニヤフ大統領からトランプ大統領に電話が入りました。ハメネイ師のほか、軍や革命防衛隊の幹部らが一同に集結する予定が分かった。それが2月28日でした。ハメネイ師と幹部が集まる絶好の機会、攻撃するならこの日、ということになった。
アメリカとイスラエルはイラン側を油断させる作戦をとった。まず、トランプ大統領のスピーチ。対イランのトーンを“緩め”にした。これは地下に潜らないようにさせるためでした。
そして、朝に作戦を実行したことにも理由があります。これまでの軍事作戦は夜間に攻撃することが多かった。そのためイラン側も『朝は大丈夫だろう』と油断しており、建物内にいたんです。
そこまで準備をして、絶妙なタイミングでの攻撃でした。これはモサド、そしてイスラエル軍の『8200部隊』の存在が大きかったとされています」