パリ2024オリンピックのメダルに欠陥?EU化学物質規制の影響で剥がれや変色が発生
2024年の夏に開催されたパリオリンピックで栄誉あるメダルを授与されたアスリートたちが、わずか数ヶ月でその輝きを失ったと訴えている。
メダルの変色やひび割れ、さらにはサビまで見られるという事態に、なんと100個以上が組織委員会に「返品」されていたことが判明した。
この問題の背景には、ヨーロッパ連合(EU)の化学物質規制が関係しているという。メダルの製造に使用された保護コーティング材が変更されたことで、予想外のトラブルを招いたのだ。
2024年12月28日、競泳のフランス代表で銅メダリストのヨアン・ヌドイ・ブルアール選手は、自身のX(旧Twitter)に「パリ・1924年」とキャプションのついた画像を投稿した。
画像には2024年パリオリンピックの銅メダルが写っているのだが、塗装のはがれたような、錆びているような悲惨な姿になっている。とても昨年夏に授与されたメダルとは思えない、年季の入った見た目なのだ。
この画像を大きなサイズで見るimage credit : X @yohann_2911裏面のほうもこんな感じ。この有様では、100年前のものというジョークを信じてしまう人もいるかもしれない。
この画像を大きなサイズで見るimage credit : X @yohann_2911そもそもパリオリンピックのメダルに関しては、大会期間中の8月の時点から、前回の東京大会のメダルに比べ、質が良くないのでは?という声が上がっていた。
スケートボード男子で銅メダルを取ったアメリカのナイジャ・ヒューストン選手も、自身のInstagramのストーリーズに塗装のはがれたメダルの写真を投稿。
汗をかいた肌に触れただけで劣化したと語っており、後に組織委員会が交換を約束したと報じられた。
この画像を大きなサイズで見るimage credit : X @Editorialzまた、バドミントンの金メダリスト、デンマーク人のビクトル・アクセルセン選手は、東京とパリのメダルを並べた映像をInstagramに投稿。
本人のコメントはなかったが、この投稿を見た人たちからは「パリのは銅メダルみたい」「東京の方が質が良い」という指摘が相次いでいた。
さらに、体操の日本代表の谷川航選手も、自身のTikTokでメダルケースを紹介した際、メダル自体の劣化にも触れている。
TikTokで開くパリオリンピックのメダルは、エッフェル塔をデザインしたメダルが用意され、素材にエッフェル塔の柱の一部を使ったことでも話題になった。
このメダルはフランスの高級ブランド「ショーメ」がデザインしたもので、実際の製作はパリ造幣局によって行われた。
今回のメダル劣化の根本的な原因は、2024年9月に施行されたEUの化学物質規制にある。
規制によって、従来メダルの酸化を防ぐために使用されていた「三酸化クロム(Chromium Trioxide)」という化学物質が禁止された。
三酸化クロムは金属の表面に保護膜を作り、腐食を防ぐ非常に重要な物質であり、特にメダルの美観を長期間保つ役割を果たしていた。
規制の施行を受けて、フランス造幣局は急遽、三酸化クロムの代わりとなる防錆技術を採用した。しかし、この代替技術では金属の保護が不十分だったため、汗や摩擦などの影響で、メダルの表面のニスが剥がれ、ひび割れや変色が起きてしまった。
今回の問題でフランス造幣局は批判を受けており、パリ造幣局の担当者ら3人が責任を問われ、解任されたという。
また、IOC(国際オリンピック委員会)はこの事態を受けて、劣化メダルの交換を受け入れると発表した。
とは言え、最終的にどのくらいのメダルが交換されることになるのかは、今のところまだ不明である。
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References: Paris 2024 Olympics' already tarnished medals are flaking due to EU chemical ban