トランプ氏、インテルCEOに辞任求める-「利益相反」あると主張

トランプ米大統領は7日、インテルのリップブー・タン最高経営責任者(CEO)が利益相反の状態にあるとして、辞任を求めた。

  トランプ氏は自身のソーシャルメディア、トゥルース・ソーシャルに「インテルの最高経営責任者(CEO)には重大な利益相反があり、ただちに辞任しなければならない。それ以外の解決方法はない」と投稿した。

  インテルの株価は、ニューヨーク市場で一時3.4%下落した。

  共和党のコットン上院議員が今週、インテルのフランク・イアリー会長に対し、中国の半導体企業や、中国軍と関係を持つ企業への投資などを巡り、同氏の中国との関係に関する質問への回答を求めた。

  イアリー氏宛の書簡で、コットン氏は、インテルCEOに選ばれる前にタン氏が行っていた中国への投資について、詳細な説明を求めた。特にタン氏が10年以上にわたり率いたテクノロジー企業ケイデンス・デザイン・システムズが、中国の軍事系大学に製品を販売していたとして、懸念を示した。ケイデンスは7月、米国の輸出管理規制に違反し、中国国防科技大学にハードウエア、ソフトウエアを販売したと認めている。

  インテルは6日、「インテルとタン氏は、米国の国家安全保障と、米国防衛エコシステムにおける当社の役割の誠実性に、深くコミットしている」との声明を発表した。同社は、書簡に記載された内容について、コットン氏に回答する意向を示している。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、オスカー・ヘルナンデス・テハダ氏は「すでに脆弱(ぜいじゃく)な再建プロセスに政治的な火種が加わることになる」と指摘。「辞任を求める声が高まることで不確実性が増し、経営立て直しの実行が困難になる恐れがある。インテルがファウンドリー(受託生産)事業の再構築に加え、市場および米政界との信頼回復を図ろうとしている局面においてはなおさらだ」と述べた。

  インテルは、米国の半導体産業再興を目指す米政権の取り組みにおいて中核を担う存在だ。同社は「CHIPS・科学法」に基づき、米国内投資向け支援として約80億ドル(約1兆1800億円)の補助金を獲得している。これには米軍に供給するための施設も含まれ、企業の中で最大額となっている。

  だが、トランプ政権はCHIPS法に基づく補助金を、企業から追加投資の確約を引き出す手段として使っており、厳しい財務状況にあるインテルにとっては難題となっている。タン氏の進めるコスト削減戦略が、補助金にどのような影響を及ぼすかは不明だ。

  一方、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子など海外の半導体企業は米国への投資を拡大している。

  ウォルフ・リサーチのマネジングディレクター、クリス・カソ氏は、タン氏のコスト削減方針は、米国内の半導体生産能力増強を目指すトランプ政権の意向とは相反する可能性があると述べた。

原題:Trump Urges ‘Conflicted’ Intel CEO Tan to Resign Immediately (3)(抜粋)

(直近の株価の動きと第7段落以降に詳細を加えて更新します)

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