【日本市況】株続伸、米欧関税交渉の進展期待-円は142円台で小動き
18日の日本市場では株式が続伸。米国と欧州連合(EU)の貿易交渉進展への期待から買いが優勢だった。この日はグッドフライデー(聖金曜日)の祝日で海外の市場参加者が少なく、円相場は1ドル=142円台前半で小動き。債券は先物や中長期債が買われる一方、超長期債は売られた。
トランプ米大統領は17日、イタリアのメローニ首相をホワイトハウスに迎えた際、EUとの貿易合意成立に自信を示した。また、中国からの輸入品に対する関税率の引き上げを続けることには消極的だと発言し、米中貿易戦争に対する過度の懸念も和らいでいる。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、トランプ米大統領がEUとの貿易交渉に期待感を示したことを指摘。日米交渉も為替が議題に上らず、初回としては波乱なくまずまずの成果だったと述べた。
一方、市場混乱への懸念は残る。トランプ氏がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任に言及。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、絶対ないとも言い切れないテールリスクだとし、「米国債市場のショッキングなニュースになり得る」との見方を示した。
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国内株式・為替・債券相場の動き-午後3時半現在- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比1.1%高の2559.15
- 日経平均株価は1.0%高の3万4730円28銭
- 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.1%高の142円32銭
- 長期国債先物6月物の終値は前日比24銭高の141円08銭
- 新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.285%
株式
東京株式相場は続伸。自動車関連や海運などが堅調で、海外原油先物高が追い風となり鉱業や石油・石炭製品も買われた。中外製薬が18%上昇してTOPIXの上昇に最も寄与した。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、為替の落ち着きなどを受けて一定の安心感があるとし、「ショートしていた人が少し買い戻している印象」だと話していた。
東証プライム市場の概算売買代金は今年最低だった。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=142円台前半で小動き。来週に日米財務相会合が見込まれ、円安是正が協議されることへの警戒感が円を支えた。トランプ米大統領がパウエルFRB議長の解任に言及したことはドルの重しになった。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、大統領によるFRB議長の解任は法的にできないはずだが、パウエル議長の任期後にハト派の人物を選択するとの思惑が強まり、「ドル売り材料が増えた印象だ」と述べた。
3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は市場予想と一致し、相場の反応は限られた。井口氏は日米関税交渉が始まったことで日本銀行の金融政策も仕切り直しになるとの見方を示し、「利上げの可能性がかなり低下しており、CPIが強めでも円高で反応しにくい」と述べた。
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債券
債券相場は先物や長期債が上昇した。アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、「きのう流動性供給入札が予想外に弱くなり、先物が大きく売られた反動が出た」と指摘した。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、「このところ長いゾーンを中心に激しい金利上昇となり、流動性は低い中で、ポジション調整の買いが入ったのではないか」と述べた。
一方、超長期債は軟調で、30年債や40年債利回りは大きく上昇した。岡三証の長谷川氏は、超長期債は値動きに不安定さが残る上、「減税策などで財政懸念が再度高まると見込まれ、強気にはなりにくい」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 不成立 0.830% 1.285% 2.260% 2.725% 3.115% 前日比 - -3.0bp -2.0bp +3.0bp +7.0bp +7.5bpこの記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。