AIが設計した薬「レントセルチブ」が人間の生物学的年齢を若返らせたことが判明
AIを活用した製薬会社のInsilico Medicineが、AIによって設計した「レントセルチブ」という薬で人間の生物学的年齢が若返ったと報告しました。
Integration of proteomic aging clocks in a phase 2a clinical trial supports simultaneous geroprotective assessment | Nature Biotechnology
https://www.nature.com/articles/s41587-026-03286-yNature Biotechnology | Insilico’s AI-Driven IPF Candidate Rentosertib Shows Potential for Biological Age Reversal, as Assessed by Six Proteomic Aging Clocks https://insilico.com/news/rnt0709261-rentosertib-proteomic-aging-clocks
レントセルチブは老化の防止と特発性肺線維症の治療を目的に開発された薬です。2025年には特発性肺線維症の患者42人に対して臨床試験が行われ、肺機能の改善が認められました。
今回、上記の実験で採取された血液サンプルが分析され、新たに老化の防止にも効果がある可能性が示されました。研究チームは、血液中のタンパク質から身体の生物学的年齢(細胞の損傷具合)を予測するAIモデル「老化時計」を患者のデータに適用。その結果、ハーバード大学、オックスフォード大学、北京大学、そしてInsilico Medicine自身が構築した6つの老化時計全てで、レントセルチブの投与を受けた患者の生物学的年齢がプラセボ投与群よりも低いと判断されたそうです。 これは患者の体が若返ったというわけではなく、血液中のタンパク質パターンが変化し、老化時計が生物学的年齢の若返りとして解釈できるほどに大きな差を生んだということです。レントセルチブ30mgを1日2回投与された患者で、平均して生物学的年齢が約3~4年逆転し、一部の老化時計では最大6年の逆転が示されたといいます。6つの老化時計はそれぞれ設計基準が異なるため、6つ全てで若返りの傾向が見られたという点は特筆に値します。 以下は6つの老化時計それぞれでプラセボ群(オレンジ)とレントセルチブ投与群の予測年齢を表した図です。最も効果があったのはレントセルチブを1日2回30mg投与されたグループ(紫)が投与後4週間経過した時点でした。
また、レントセルチブの抗老化作用が呼吸機能への効果とは部分的に独立していることも示されています。肺に最も効果があった投与量(1日1回60mg)は、生物学的年齢を最も下げた投与量(1日2回30mg)とは異なっており、これは単純に「肺の働きが良くなって体全体の負担が軽減されたから若返りの傾向が示された」というわけではないそうです。 Insilico Medicineは「生物学的年齢を逆転させる薬がもたらす社会的・経済的な効果は非常に大きく、全人類の寿命をわずか3年延ばすだけでも、世界規模では約250億人年の生命が追加されることになります。現在の平均寿命を基準にすると、これは約3億4000万人分の人生に相当します。これは、人類がこれまでに行ったすべての戦争で失った人数を上回る数の人生です。全員の寿命を3年延ばすことができれば、その薬は健康な状態で過ごせる期間も大幅に延長できるはずであり、それによって数兆ドル規模の生産性向上とコスト削減につながります」と述べました。
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