米国債取引、利回り動向見誤りによるやけどに注意を-BNPが警告
米長期債利回りが短期債を上回るペースで上昇し続けると見込んでいる投資家は、損失を被る恐れがある。仏銀BNPパリバが警鐘を鳴らした。
BNPパリバで米金利戦略責任者を務めるグニート・ディングラ氏(ニューヨーク在勤)は、米30年債はすでに財政悪化見通しを織り込んでおり、入札での強い需要や財政赤字懸念の緩和があれば反発する可能性があると述べた。ディングラ氏は現在の水準であれば30年債に買いを入れる妥当性があるとみる。
同氏の見方とは対照的に、ダブルライン・キャピタルやパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)などは、米短期債を選好し、長期債からシフトしている。この戦略はスティープナー・トレードと呼ばれている。
ディングラ氏は「スティープナーは大きな動きになっているが、魅力的ではない」とインタビューで述べ、「現在の市場環境下では痛みを伴う可能性がある」と語った。
BNPパリバの分析によれば、スティープナーに対する市場のバイアスは少なくとも過去10年で最も強まっており、投資家のポジションが過度に集中していることが示唆される。
財政赤字拡大への懸念や通商を巡る緊張を背景に、米長期債利回りは4月初旬から上昇を続けている。一方で、景気減速に伴う米利下げ観測が、短期債の利回りを抑える要因となっている。
米30年債利回りは5月22日に5.15%と、2023年以来の高水準を記録。その後は低下し、10日には一時4.92%程度まで低下した。米国では12日に30年債入札を控えており、市場ではなお神経質な状態が続いている。
ディングラ氏は「今ではあらゆる入札がリスクイベントのように感じられる」と語る。「良好な入札であればいつも通りとなるのだろうが、結果が振るわなければ、投資家が米財政状況をどう再評価するのかという点で、大きな波紋を呼ぶ」と述べた。
また市場での見方とは異なり、トランプ米大統領が4月に関税措置を発表した後の10年および30年債入札は、いずれも需要が堅調だともディングラ氏は指摘。外国人投資家による需要も長期的な平均水準とおおむね一致しており、外国勢が米国債を敬遠しているとの懸念を打ち消すものだ。
「財政への懸念が消えたとは言わない」と同氏は述べつつ、「懐疑的な見方や不安感の多くはすでに相場に織り込まれている」と続けた。
原題:BNP Warns Popular US Treasury Bet Risks Being Next Pain Trade(抜粋)