クルーズ船でハンタウイルス疑い、3人死亡 WHO「一般へのリスク低い」
[アムステルダム/ジュネーブ 4日 ロイター] - 西アフリカ沖の大西洋を航行していたクルーズ船でハンタウイルスの集団感染の疑いが出ていることを受け、医療関係者が4日、症状のある2人を船から搬送する作業を行った。当局者が明らかにした。この客船には主に英国人、米国人、スペイン人の乗客約150人が乗っている。
これまでにオランダ人夫婦とドイツ人1人の計3人が死亡し、ほかにも複数人が体調を崩している。このうち英国人1人は下船し、南アフリカで治療を受けている。
支援を行っているオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、症状のある患者の1人からハンタウイルスが確認されたと明らかにした。
事情に詳しい関係者によると、死亡したオランダ人女性もウイルス検査で陽性だった。
RIVMは、症状を示している他の患者もウイルスに感染しているのか、また他の死者もウイルスが原因なのかは依然として不明だとしている。
致死的な呼吸器疾患を引き起こすことがあるハンタウイルスは、齧歯(げっし)類の排せつ物や尿の粒子が空気中に飛散することで感染するが、人から人への感染は起きにくい。
特効薬はなく、治療は対症療法が中心で、重症の場合は人工呼吸器の使用などが行われる。
世界保健機関(WHO)は、一般市民へのリスクは低いとの見解を示し、パニックに陥ったり渡航制限を設けたりする必要はないとした。
ただ、アフリカ西岸沖の島国カボベルデ当局は、予防措置としてクルーズ船の入港を許可しなかった。
WHOによると、同船で確認されたハンタウイルス感染症例は計7件で、うち2件は検査で確認、5件は感染疑いの段階だという。
クルーズ船はオランダのオーシャンワイド・エクスペディションズ社が運航する「MVホンディウス」。同社の広報担当者は、ウイルスの感染拡大を防ぐ予防措置として、全乗客に客室にとどまるよう指示したと述べた。人から人への感染はまれだが、潜伏期間が数週間に及ぶこともあり、まだ症状が出ていない人がいる可能性もあるという。
オーシャンワイドは、症状のある乗組員2人(英国人とオランダ人各1人)に加え、死亡したドイツ人の遺体と、症状はないものの「死亡した乗客と密接な関係にある」1人を本国に送還する手配を進めている。
同社は、スペイン領のラスパルマスとテネリフェ両島で乗客の検査と下船が可能かどうか検討していると述べた。
会社の資料によると、MVホンディウスは3月にアルゼンチン南部のウシュアイアを出航。南極大陸沿岸、フォークランド諸島、サウスジョージア島、ナイチンゲール島、トリスタン島、セントヘレナ島、アセンション島を経て、5月3日にカボベルデ沖に到達した。
ハンタウイルス感染症は通常、感染後1─8週間で倦怠感や発熱などのインフルエンザに似た症状を呈する。
RIVMの広報担当者は、感染源はまだ明らかになっていないと述べた。船内にいたネズミがウイルスを媒介した可能性のほか、南米のどこかに立ち寄った際に、ネズミなどを介して感染し発症した可能性も考えられるとした。
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