ひろゆきが参政党を支持する氷河期世代に疑問符!「その選び方では現実は何も変わらない」(週刊SPA!)

―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]― 就職難に非正規雇用、低年収に大増税時代で手取りは減り、これから待ち受けるのは親の介護と老後破綻。そんな不遇で苦しい人生を生きる氷河期世代とともに、ひろゆきが人生後半を考える。 2025年7月の参院選で氷河期世代が「日本人ファースト」を掲げる参政党を支持したとの報道もあるが、その政治行動について、ひろゆき氏が切り込む。 「日本人ファースト」を掲げて参院選で躍進した参政党ですが、その支持層には氷河期世代が少なくないらしいです。社会に出た瞬間から「自己責任」を強いられ、希望を持ちにくいキャリアを歩んできた氷河期世代にとって、「今の政治を壊してほしい」という願望が参政党の主張とフィットしている部分があったのかもしれません。  そもそも生活がうまくいっていない人がリセット願望を持つのはよくあることです。「現状を打破したい」「このままだと不安」といったマイナス思考になるのも当然で、聞こえがいいことを言われると支持したくなる気持ちもわからなくはないです。  実際に、世界でも現状への不満からポピュリズム的な政党が伸びてきています。アメリカのトランプ大統領がわかりやすい例ですよね。  ただ、それが正しいのかは不明です。というのも“処方”を間違ってしまうと社会構造を壊して、改善するどころか立て直せないくらい壊れてしまうリスクもあるからです。

 例えば、「無農薬の野菜と農薬を使った野菜。同じ値段で見た目も一緒なら、どちらを買いますか?」と聞いたら、多くの人は前者を選ぶと思います。農薬が体にいいわけではないので当然の判断です。  でも、農薬を使わないと収穫量は激減します。一般社団法人日本植物防疫協会の調査では、無農薬の桃は100%、リンゴは97%が虫に食われ、キュウリとキャベツは6割、トマトは4割が虫に食われています。当然、農薬を使ったときと同じ値段・同じ量で店頭には並びません。  ところが、参政党の神谷宗幣代表は「モノによっては収量が増える。極端に収量が落ちることはない」と言うのですね。もちろんデータがあればいいのですが、3年前にアベマで共演した際に「出します」と言ったきり、いまだに出てきていません。要するに、嘘をついても逃げきればいいと思っているのですね。  農薬を使わないで同量の野菜が収穫できるなら、農家はお金を払って農薬を買い、手間をかけて農薬散布なんてしません。神谷代表は「農薬のない江戸時代でも野菜は作っていた」とも言っていますが、江戸時代は人口の8割が農民だったんですよね……。そんなこと少し調べればわかるのに、調べる習慣のない人たちは「昔は無農薬で農業ができたから今もできるはず。農薬業界の陰謀だ!」とか思っちゃうわけです。農業に限らず、既存のやり方に疑問を持つのは悪いことではないですが、その前に「なんで今はこのやり方をしているのか?」を調べないと騙されるだけです。  政治に変化を望むのであれば、自分にメリットのあることを政策に掲げているとか、面白そうだからとかリセット願望で感情的に投票しても意味がない。少なくとも議論の中で主張が通せる現実的な政策を持つ党を選ばないと、結局なにも変わらないのですね。  だから本当に変化を望むなら現実を見据えた冷静な判断をしたほうがお得。それが氷河期世代にとってベターな選択だと思うのですよ。 構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン) ―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]― 【ひろゆき】 西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』

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