米3月CPI、前月比が約5年ぶり下落 関税導入で改善持続に影

米労働省が10日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、前月の2.8%から鈍化した。米カリフォルニア州ロサンゼルスのスーパーマーケットで2022年撮影(2025年 ロイター/Lucy Nicholson/File Photo)

[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、前月の2.8%から伸びが鈍化した。

前月比では0.1%下落し、2020年5月以来、約5年ぶりの下落となった。前月は0.2%上昇だった。エネルギーコスト下落と年初の値上げの影響が薄れたことを反映して下落したもよう。ただ、トランプ政権の関税措置を巡る中国との報復合戦などを背景に、インフレの改善が持続する可能性は低い。

ロイター調査によるエコノミスト予想は、前月比0.1%上昇、前年比2.6%上昇だった。

関税措置による景気後退(リセッション)懸念の高まりを受けた需要軟化の兆候である可能性もあり、金融市場では連邦準備理事会(FRB)が年内に計100ベーシスポイント(bp)の利下げに動くとの見方が広がった。

内訳では、ガソリンが6.3%下落。世界経済の減速懸念の高まりを受け、原油価格が下落していることが背景。

食品は0.4%上昇した。2月は0.2%上昇だった。卵の価格は5.9%上昇した。肉、魚、乳製品も上昇した一方、果物と野菜、穀物、パン類は下落した。

航空運賃は5.3%下落。自動車保険料も下落した。一方、新車価格は小幅上昇、家具・家電製品は横ばいとなった。ホテルの宿泊代は3.5%下落した。帰属家賃(OER)は0.4%上昇した。

パーソナルケア製品は1.0%急上昇した。教育費と医療費、病院サービス費も上昇。処方薬は2.0%下落した。

変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比2.8%上昇、前月は3.1%上昇だった。前月比は0.1%上昇、2月は0.2%上昇だった。中古車・トラック価格の0.7%下落が寄与した。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は、米国人が購入する消費財の大半が中国からの輸入であることから、「3月のインフレ率の伸びが緩やかだったという朗報は、割り引いて受け止める必要がある」と述べた。

キャピタル・エコノミクスは、インフレ率がFRBが目標とする2%の2倍にあたる約4%でピークに達すると予測している。

A column chart titled "Monthly change in US Consumer Price Index" that tracks the metric over the last year.

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