「auの秋はマネ活」松田社長が語る新料金プラン。銀行連携とNetflix特典で攻勢

 KDDIは17日、新サービス発表会を開催し、auの新プラン「auバリューリンク マネ活2」やNetflixとの連携強化、米国でのau Starlink Directのローミングが発表された。

 冒頭、KDDI代表取締役社長CEOの松田浩路氏は「今年度KDDIはあらたな価値づくりをテーマに商品力を高めることに挑戦している」とし、今回発表のサービス紹介につなげる。特にマネ活新プランは「auの秋といえば“マネ活”のアップデート」と切り込んだ。

KDDI代表取締役社長CEOの松田浩路氏

 「auバリューリンク マネ活2」と「使い放題MAX+ マネ活2」は、料金プランにマネ活要素を加えたもの。基本となるプラン「auバリューリンク」と「使い放題MAX+」の機能はそのままに、auの決済、金融サービスでさまざまな特典が提供される。「auバリューリンク」と「使い放題MAX+」では、光回線割引(auスマートバリュー)や家族割引などで割引を受けられるが、マネ活プランでは、家族割引などが利用できない代わりに、決済利用などでの還元で、月額料金の実質価格を抑えられる。

 「auバリューリンク マネ活2」の料金は月額9328円、「使い放題MAX+ マネ活2」は月額9108円。割引は先述のauスマートバリュー(月額1100円割引)のみ利用できる。家族割引「家族割プラス」による料金の割引は受けられないが、回線数のカウント対象には含まれる。

 マネ活2プランでは、KDDIグループの「auじぶん銀行」や「au PAYカード」、「au PAY」の利用特典や三菱UFJ eスマート証券の積立利用でポイントや現金が還元される。前回のマネ活プランから、主に銀行との連携が強化されている。

 au PAYゴールドカード会員を対象に、auじぶん銀行の円普通預金残高の金額に応じて、月最大500円がキャッシュバックされる。

 特典は、残高が10万円以上で月100円、30万円以上で月300円、50万円以上で月500円(いずれも税抜相当額)が還元される。特典は、当月末時点の残高で翌月下旬以降に還元される。

 通信料金の支払い方法に応じて、auじぶん銀行の円普通預金口座に毎月最大1500円キャッシュバックされる。

 条件と特典は、auじぶん銀行口座からの引き落としで月1000円、au PAYカードを設定しカードの引き落とし口座がauじぶん銀行以外の場合は月1000円、カードの引き落とし口座にauじぶん銀行を設定している場合は月1500円還元される(いずれも税抜相当額)。特典は、当月末時点の設定で、翌月下旬以降に還元される。

 au PAYカードまたはau PAYを利用して決済すると、ベースポイントとは別に100円ごとに最大5%ポイント還元される。

 特典は、au PAYゴールドカードを保有しているユーザーがカードやau PAYで決済すると5%、ゴールドカード未保有の場合は1%。還元上限は、どちらも1カ月あたり2500ポイントまで。

 また、クレカ積立特典として、三菱UFJ eスマート証券での投資信託の積立購入資金の決済方法にau PAYカードを設定すると、通常に加え最大1%分追加でポイント還元される。特典は、au PAYゴールドカードの設定かつ三菱UFJ eスマート証券のNISA口座を保有していると+1%、au PAYカードの設定で+0.5%。

 なお、これらの特典ポイントについて松田社長は「特別な用途の制限や、期間を限定したものではない通常のポイント。これが当社のポイント(鍵)」と特徴を語った。

 これらの特典を組み合わせた場合、実質価格は「auバリューリンク マネ活2」で3528円、「使い放題MAX+ マネ活2」で3308円となる。

 松田社長は、「金融環境の変化が激しく、マイナス金利解除や金利引き上げ、円安、日経平均株価が初の5万円突破などが主なトピックに挙げられる。こうした中でユーザー動向を見ると、投資が増えている一方、依然として預貯金の比率も高い。キャッシュレス決済の活用が着実に伸びてきている。また、将来への備えや不安に対しての貯蓄ニーズが伸びている」と分析。今回のマネ活2プランでは、こういったユーザーの環境を反映したものだと語る。

 質疑で「なぜ銀行が絡んだ特典提供にフォーカスしたのか?」と問われた松田社長は、「金融戦略全体を策定するうえで、競争環境や市場のトレンドを見てどこを強化すべきかを考え続けている。今回のマネ活プランのアップデートにあたって、auじぶん銀行の良さをもっと伝えていかなければいけないと思い、連携を強化したプランとした」と説明する。

 Pontaポイントについて松田氏は「実質期限がないポイント。非常に使い勝手がいいポイント」とコメント。ユーザーのニーズが投資から貯蓄に移行していることを踏まえて、キャッシュバックとポイント還元の両方をユーザーに体験してもらいたいと2種類の特典を用意したと話した。

 先述のとおり、松田社長は冒頭で「auの秋といえば“マネ活”のアップデート」としたが、毎年マネ活プランは変わっていくのか? 松田社長は「(毎年プランを変えるくらい)価値づくりを連続的にやっていかなきゃいけない認識を持って、社内でも発破を掛けている。環境変化のサイクルが非常に早い中では、価値というものも時期に応じて変わっていく。マネ活についても、次の秋にはアップデートしたものを出すんだというような気持ちでやっていきたい」と言葉の真意を解説する。

 基本となる料金プラン(auバリューリンクプラン)も、この5月に新しく登場している。今回のマネ活2プランは、あくまでこれらのプランをベースにしたもので、「構造自体が変わったわけではない」と松田氏は説明。金融の環境変化が早いと指摘し「決してユーザーを置き去りにするようなことをやりたいわけではない。前回のマネ活プラスで少しわかりにくいところがあったので、そこを改定した部分も含まれている」と、前向きな改定への理解を求めた。

 松田社長は、エンタメ領域での新発表として、Netflixとの連携を強化し、最大5カ月間(12月1日~2026年4月30日)Netflixが追加料金なしで見放題となるキャンペーンを実施すると発表した。

 松田社長は、「動画クオリティの向上やいつでもどこでも自由に動画が見られる環境になった」とコメント。加えて、au回線がOpensignalのユーザー体感評価で「日本では史上初の3連覇を達成した」(松田社長)ことを挙げ、外出先でも快適に動画視聴ができる環境をアピールする。

 今回の連携強化の発表にあわせて、説明会の会場には、Netflixビジネスディベロップメントシニアディレクターの下井昌人氏も駆けつけた。下井氏は、Netflixが日本で開始して今年で10年となったことに「魅力的な作品作りや作品をテーマにしたゲームの提供、スポーツイベントなどのライブ配信へと領域を拡大してきた」と歴史を語る。KDDIとは2018年にパートナーシップを締結、日本初となる通信とエンタメのセットプランを提供して以降、プランやミリ波などサービスと技術の両面で取り組みをみせてきた。今回の取り組みは「過去最大規模のキャンペーンになる」と指摘、「KDDIによる最高の通信品質とNetflixのエンターテインメントが1つになることで生まれる“新たな価値”をユーザーに届けていきたい」とした。

KDDI松田社長とNetflix下井氏
Netflix下井氏

 松田社長は、このキャンペーンが終了した際にも、月額料金の最大20%分がポイント還元される「サブスクぷらすポイント」について、ここでも「当社の場合は、特別な用途、期間の縛りはございません。よくある用途限定、期間限定という“落とし穴”もございません」と強調する。

 無料キャンペーンのインパクトを問われた松田社長は「サブスクぷらすポイントでユーザーの継続率が高い。ユーザーが関心の高いコンテンツを見るために5カ月間の無料特典期間中に入ってもらい、その後はポイント還元を受け続けてもらい『Netflixを見るならau』というような環境を作っていきたい」と話した。

 Starlinkの低軌道衛星とスマートフォンやiPhoneが直接通信できるサービス「au Starlink Direct」について、2025年度内にT-Mobileとのローミングにより北米でも利用できるようになることが発表された。

 T-Mobileは、全米ではじめてStarlinkを導入したキャリアで、KDDIも日本ではじめてStarlinkを導入したキャリアになる。今回、T-Mobileの衛星通信サービス「T-Satellite with STARLINK」でローミング通信が利用できるようになることで、米国のグランドキャニオンなど都心部から離れた観光地でも通信できるようになる。松田社長によると、米国でのローミング時も「基本は同じ仕組み」だといい、au Starlink Directの対応アプリのうち米国でも展開されるものであれば、米国でも日本と同じように使用できるという。

 今回のローミング発表に合わせて、T-Mobile最高戦略責任者のステファン・ベレー(Stefan Bewley)氏からのビデオメッセージが届けられた。ベレー氏は「T-MobileとKDDIは衛星直接通信の国際ローミング対応への拡大に加え、衛星にとどまらない新たな可能性を探っている」と説明。「“どこでもつながる”ということは、単なる目標ではなく私たちが築いていく未来。T-Mobileの“途切れないグローバル接続”というビジョンを推進するうえで、KDDIは信頼できるパートナー」とKDDIをたたえる。また、「私たちには『We won't stop(私たちは止まらない)』という言葉がある。衛星直接通信はまだ始まりに過ぎない」と今後の連携拡大に含みを持たせた。

T-mobile最高戦略責任者のステファン・ベレー(Stefan Bewley)氏

 松田社長は「空が見えればどこでもつながる」をキーワードに、SMSをはじめ地図アプリや天気予報アプリ、SNSアプリなどさまざまなアプリがStarlink経由で利用できるとアピール。ベレー氏が話した「We won't stop」というフレーズに触れ、「見習っていきたい。世界に先駆けた挑戦を続けて未来を作っていく」と、今後の技術革新への意気込みをみせた。

 なお、au Starlink Directを利用できるプランを契約していれば、米国でも当面無料で利用できる。松田社長は「米国や、今後いろいろなパートナーと連携してほかの国で利用できるようになっても、当面無料でやっていきたい。今後、料金を徴収することは今は考えていない」とした。

関連記事: