iOSとAndroidで「eSIMクイック転送」がついに解禁 iPhoneとPixelで検証、OSの壁はなぜ越えられた?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

 KDDIは2月18日、iOSとAndroidのプラットフォームを横断したeSIM転送に対応したことを発表した。auおよびUQ mobileが対象となり、iOSは計29機種、Androidは9機種がこれに対応する。Android端末はいずれもGoogle純正のPixelシリーズだが、今後はメーカーが開発するスマホにも拡大していく予定だ。

 Appleが「iPhone 17」シリーズおよび「iPhone Air」をeSIM専用設計にしたことで、にわかに注目度が高まっていたeSIMだが、再発行のプロセスが複雑なことは課題になっていた。OSが同じ場合は転送機能を使えた一方で、プラットフォームをまたぐことができず、囲い込みにつながるとの指摘もあった。

 iOSとAndroidのプラットフォームまたぎが可能になったことで、その課題の多くが解決された格好だ。実はAppleとGoogleの両社とも、2025年時点でOSにはプラットフォームをまたがったeSIM転送のメニューを導入していた。では、ここに至るまでにどのような動きがあったのか。eSIM転送の仕組みを解き明かしつつ、KDDI以外の動きや今後の動向を予想していきたい。

KDDIは、プラットフォームをまたがったeSIM転送を18日に開始した。auとUQ mobileが対象で、iPhoneとPixelの全38機種が対応する

 KDDIは、auとUQ mobileでプラットフォームをまたいだeSIM転送に対応した。iPhoneは「iPhone 11」以降のモデル、Androidは「Pixel 9」シリーズ以降のモデルでこれを利用できる。手順は簡単で、同一プラットフォーム同士でeSIMを転送する場合と同様、新旧双方の端末を操作する。AndroidからiPhoneにeSIMプロファイルを移す場合には、まずiOS側の「モバイル設定」から「eSIMを追加」をタップすればいい。

iPhoneにeSIMを移す場合、「モバイル設定」で「eSIMを追加」をタップし、「Androidから転送」を選択する

 このメニューには、iOS 26から「Androidから転送」という項目が表示されるようになった。選択すると、iPhoneの画面上にQRコードが表示される。このQRコードをeSIM移転“元”になるAndroidスマホのカメラで読み取ると、両端末が接続され、Android側に移行可能な回線が表示される。

表示されたQRコードをPixel 10で読み取ると、移行できるeSIMがリスト化された。移行時には、顔認証か指紋認証をする必要がある
iPhone側にUQ mobileのeSIMが無事に転送された

 iPhoneからAndroidに移す場合の操作もほぼ同じだ。Pixelの場合、設定の「ネットワークとインターネット」にある「SIM」で「SIMを追加」を選び、「他のデバイスからSIMを移行する」を選択したあと「iPhone」を選ぶと、画面上にQRコードが表示される。これをiPhoneで読み取ると、ペアリングされて移行の手続きが始まる。

Pixel側にeSIMを転送する手順もほぼ同じ。「他のデバイスからSIMを移行する」を選択したあと、「iPhone」を選ぶ(写真=左)。iPhone側に、移行可能なeSIMが表示される。転送時にはFace IDでの認証が必要になる(写真=右)

 筆者もUQ mobileの回線を入れた「Pixel 10」からiPhone AirにeSIMを移してみたが、この簡単な操作だけで手続きが完了した。逆に、iPhone AirからPixel 10にも移行を試してみたが、特にトラブルなくeSIMのプロファイルを転送できた。SIMカードの抜き差しよりもやや時間はかかるが、KDDIに再発行を依頼するのと比べると、手間は大幅に削減された印象だ。

 ここまで簡易的にできるのであれば、プライベートで出掛けるときは身軽なiPhone Air、仕事で文章を作ったり、画像編集をしたりしたいときには「Pixel 10 Pro Fold」といったような形の使い分けが可能。その日の用途に応じたデバイスに、eSIMをサッと入れておくことができるというわけだ。プラットフォームをまたいだ機種変更も容易になる。

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 ただし、現状ではあくまでKDDIのみの機能。ドコモ、ソフトバンクや楽天モバイルでは利用ができず、同じKDDIでも傘下のKDDI Digital Lifeが手掛けるpovo 2.0は非対応だ。楽天モバイルとpovo 2.0は、AndroidのeSIM転送もサポートしていないため、プラットフォームをまたぐのには、まだ時間がかかる可能性がある。

 これに対し、ソフトバンクは対応を検討していることを示唆していた。2025年9月にソフトバンクの専務執行役員 コンシューマ事業統括を務める寺尾洋幸氏は、「課題になっているのはOS間の移行で、ここに対応するにはまだ少し時間がかかる」と語っていた。同時に、「秋(iPhoneやPixelが発売したタイミング)の段階では、まだ誰も対応できていない」として、対応を進めることを示唆していた。

ソフトバンクも、対応を検討していることを示唆していた。その布石なのか、機種変更を伴わないeSIM移行の手数料が1月から無料になっている

 ドコモは、現時点で回答できることはないとしており、対応するかどうかも含めて未定。楽天モバイルは現状、AndroidのeSIM転送も非対応のため、段階を踏むのであれば、まずはプラットフォーム間のeSIM転送よりも、Android同士になる可能性はありそうだ(もっとも、楽天モバイルは他社に比べてeSIMの再発行が簡単なのだが)。

 また、対応機種をどのぐらいのペースで広げていくかも課題といえる。KDDIのプラットフォームをまたいだeSIM転送も、AndroidはPixel 9シリーズ以降にとどまっており、それ以前のPixelやGalaxy、Xperia、AQUOSなどの端末は未対応。今後拡大していく方針を示しているが、Pixelだけでは不完全だ。スムーズなeSIMの転送を実現するには、一般のユーザーが使う主要なシリーズを網羅する必要がある。

KDDIは、18日からSIMフリー端末(オープンマーケットモデル)向けのIOT(互換性テスト)のオプションメニューに、eSIM転送を加えている。メーカーが利用することで、対応機種が広がる可能性もありそうだ

 さらに、現状ではMVNOが蚊帳の外の状態になっている。iPhoneのeSIMクイック転送をサポートしているのは、KDDI傘下のBIGLOBEモバイルやJ:COM MOBILEのみ。IIJmioやmineoなどの大手MVNOに対しても、eSIM転送は提供されていない。総務省の有識者会議では、こうした状況が競争の支障になっているとして、大手キャリアに開放を求めているが、いつ実現するかは未知数だ。KDDIとApple、Googleの対応で一歩前進したeSIM転送を取り巻く状況だが、この機能が一般に浸透するにはまだまだ時間がかかるかもしれない。

総務省の委員会に、テレコムサービス協会MVNO委員会が提出した資料(参考)。その他の意見の3として、eSIM転送機能の開放が求められている
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