「黒子のマルコ」米トランプ政権で存在感増す ルビオ国務長官、外遊控えめも大統領の信頼
国家安全保障問題担当の米大統領補佐官を兼務するマルコ・ルビオ国務長官は5日、レビット大統領報道官の産休に伴う代打としてホワイトハウスでの記者会見に臨んだ。ルビオ氏は外交責任者でありながら、イランとの高官協議はJ・D・バンス副大統領に譲るなど表舞台に登場する機会は少ない。だが、トランプ政権内での影響力は日増しに高まり、2028年の大統領選に向けた共和党候補選びで有力視されるバンス氏を脅かしつつある。
1時間以上途切れぬ質問
5日の記者会見は熱気に包まれた。ルビオ氏単独の記者会見はめずらしく、1時間以上たっても質問は途切れなかった。
普段の報道官会見では出ない質問も飛び出した。「米国にどのような希望を持っているか」と問われると、両親がキューバ移民のルビオ氏は「生まれ育った環境や肌の色、民族によって制限されることなく困難を乗り越え、自分の可能性を最大限に発揮できる場所であり続けてほしい」と答えた。
第2次トランプ政権発足に伴い国務長官に就任したルビオ氏が大統領補佐官を兼務したのは昨年5月。前任のウォルツ氏が通信アプリでイエメン攻撃作戦の詳細を米誌編集長に誤って共有し、事実上の更迭となったことで代役に指名されてから1年が過ぎた。
キッシンジャー氏以来
国務長官と大統領補佐官の兼務はニクソン、フォード両政権期のキッシンジャー氏以来2人目だが、ルビオ氏は世界中を飛び回ったキッシンジャー氏とは対照的だ。英紙フィナンシャル・タイムズの集計によると、国務長官就任以降の15カ月で海外に出張したのは計71日間で、21世紀の歴代長官の中で最も短かった。
ロシアが侵略するウクライナや中東の和平交渉は主にウィットコフ和平交渉担当特使とトランプ大統領の娘婿クシュナー氏が担う。バンス氏が4月中旬にパキスタンでイランとの協議が決裂したと発表したとき、ルビオ氏は米南部フロリダ州でトランプ氏と総合格闘技を観戦していた。
とはいえ、トランプ氏との距離の近さがルビオ氏の強みだ。16年大統領選の共和党候補選びに出馬したルビオ氏は、トランプ氏から「ちびのマルコ」と揶揄(やゆ)されるなど対立関係にあったが、政権入り後は同盟関係や開発援助を重視する自らの信条を封印。黒子に徹することでトランプ氏の信頼を得た。
トランプ氏は自身の後継候補としてバンス氏を「最も可能性が高い」と推していたが、米ニュースサイトのアクシオスによると、今年に入って「J・Dとマルコのどっちがいいと思う?」と周囲に聞くようになったという。
今年3月の米保守派年次イベントで大統領候補として望ましい人物を問うアンケートを行ったところ、ルビオ氏は昨年の3%から35%に躍進。首位のバンス氏(53%)を猛追している。
脚光浴びれば嫉妬?
ルビオ氏は今月6日からローマとバチカンを訪問し、教皇レオ14世と面会する。対イラン攻撃を巡りトランプ氏と教皇が批判しあう中で、カトリック信者のルビオ氏が関係修復に成功すれば、政権内での株がさらに上がることになる。
ただ、ルビオ氏が脚光を浴びればトランプ氏の嫉妬を買う恐れがないとはいえない。ルビオ氏が今年2月に独ミュンヘンで行った演説が各国指導者の称賛を浴びた後、トランプ氏はホワイトハウスでルビオ氏に冗談めかして語り掛けた。
「これ以上うまくやるなよ。ここから追い出されるぞ」
(ワシントン 杉本康士)