“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
〈東洋大学卒業ってなんだ! 彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない! 議会に真実の追及を求める!〉 こう書かれた差出人不明の投書が6月上旬、伊東市議らのもとに届き、議会に不穏な空気が漂い始めた。そして7月2日、田久保市長が記者会見で「(大学は)除籍であると判明しました」と“自白”したことで、火蓋は切って落とされたのだ。 8回にわたる証人尋問などを経て、百条委員会は田久保市長が議長と副議長に見せたという“卒業証書”は事実上、偽造したものであると認定。9月1日の定例市議会において、不信任案が全会一致で議決された。 大きな節目を迎えたわけだが、伊東市政はいまだ混迷の最中にある。 「ここからは、田久保市長が卒業できていないことを知っていて学歴を詐称したかどうかの問題です。しかしこれらに関しては、市長の協力がない限り、真実を解明することは難しい。この後に及んで進退を明らかにしない市長に対し、“論点のすり替え”や“退職金目当て”と批判する市議が多いのも、もっともです」(同前) 敵だらけの状況でもなお、市長を擁護する人間はいる。すでに報じた記事で、市長に「いま辞めないで」と“陳情”したと語った、コンサルティング会社の社長で、政治団体「請願権を実現する会」の代表も務める浜中都己氏が話す。
「私は昨年の静岡県知事選に立候補しています。県庁で出馬の記者会見をやったときに、マスコミの経歴アンケートを書いたんですよ。その際に“中京短期大学卒”と書いたんですが、記者に『証書はあるのか』と聞かれましてね。『そんなの40年前のことだからわからない』と言ったんです」 過去の取材で、田久保氏の母親は「娘は出馬後に読売新聞さんたちから証書の提出を求められた。必死になって探したけど、30年以上も前のもので、なかなか見つからず『もう中卒でいいですよ』とぼやいちゃって」と語っていた。浜中氏もこれに近い経験をしたという。 「証書がないと記者に伝えたら、『いつ証明できるか』と詰められたので、私は『もう高卒でいいですよ』と。田久保さんと似たような状況ですね。ところが、高卒と書くと(大卒の場合)逆に詐称になる可能性もあると言われまして。 結局、面倒になってとりあえずアンケートにサインだけしたところ、選挙公報には“中京短期大学卒”と勝手に書かれた。選挙委員会から出た”公報”で、ですよ。市の広報ではありません。私は落選したから彼女とは違いますけど、ところ違えばそれくらいアバウトなことなんです。田久保さんにも『こんなのくだらない』と伝えましたよ」 さらに、百条委員会が開かれたことにも苦言を呈した。 「地方自治法の115条が担保する公聴会も開かず、いきなり百条委員会を開催したことにも問題があると思います。市議たちが先走らず、検証を重ねた上で判断していれば、市政への影響を最小限に抑えられたかもしれない。 また“田久保劇場”などと揶揄しておきながら、一方で中島議長なんかはテレビの前ではすっかり“対抗馬”かのように振る舞っている。こんなことで寄ってたかって、なかば“イジメ”のように騒ぐ市議たちにも、違和感を持たざるを得ない」 全国中に“悪名”が先走ってしまっている伊東市──。市民のためにも、一刻も早い事態の収拾を願うばかりである。