【日本市況】株式続落、米雇用統計前に長期金利は一段高-円も軟調

10日の日本市場では株式が3日続落。中国事業への懸念が再燃したファーストリテイリングのほか、年初から上昇が続いた銀行株が売られて相場を押し下げた。

  日本時間夜に米国の雇用統計発表を控えて投資家の様子見姿勢が強まる中、債券は売りが優勢だった。長期金利は1.195%まで上昇し、2011年5月以来の高水準を更新した。円は1ドル=158円台前半で軟調に推移している。

  三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、日本株は今年度の企業業績が振るわないことが重しになっているとし、下旬からの決算発表で見通しの上方修正が出てくるかが今後の焦点だと話す。米国で緩やかな雇用減速が確認され、利下げ期待が続くことが株式市場としては望ましいと述べた。

  ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、昨年12月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比16万5000人増(中央値)となり、11月の22万7000人増から伸びが鈍る見通しだ。

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国内株式・債券・為替相場の動き-午後3時41分現在
  • 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.8%安の2714.12
  • 日経平均株価は1%安の3万9190円40銭
  • 長期国債先物3月物の終値は25銭安の141円06銭
  • 新発10年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.195%
  • 新発20年債利回りは午後3時過ぎに1.965%と11年以来、新発40年債利回りは2.72%と08年以来の高水準を更新
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%安の158円35銭

株式

  東京株式相場は続落。ファストリのほか、銀行や証券といった金融株の下げが目立った。自動車や医薬品を含め、東証33業種のうち29業種が下落した。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは銀行株の売りについて、日本銀行が9日に開いた支店長会議を受け、一部で「1月利上げの可能性がなくなった」との連想が働いていると話す。年明けから買われてきたため、利益確定売りも出やすいと指摘した。

  セブン&アイ・ホールディングス株は4.9%高で取引を終えた。創業家による経営陣が参加する買収(MBO)計画を巡り、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントが出資を検討していることが分かったとブルームバーグが報じた。

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債券

  債券相場は下落。米雇用統計や連休明け14日に行われる日銀の氷見野良三副総裁の講演など重要イベントを控え様子見姿勢が強まる中、取引終了にかけて先物主導で下げ幅を拡大した。

  東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは、特に材料のない中で先物と10年債を中心に売られたと指摘。「海外投資家とみられる投機筋が米雇用統計前に売りポジションを作っているのではないか」と話した。

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   0.640% 0.820% 1.190% 1.960% 2.295% 2.705% 前日比 横ばい +1.5bp +2.0bp +2.5bp +1.5bp +0.5bp

為替

  東京外国為替市場の円相場は1ドル=158円台前半で軟調に推移。米長期金利が時間外取引で上昇したことを受けてドル買いが優勢となり、8日に付けた昨年7月以来の安値(158円55銭)に接近した。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、特段の材料はないものの、米金利の上昇につられてドル買い・円売りがやや強まったと指摘。「米雇用統計の発表前に円が直近の安値を下回っていくような展開は想定しておらず、上下に振れる展開が続く」との見方を示した。

  金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけて円は157円台後半まで買われる場面も見られた。

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