暴走すれば大惨事の恐れも… 実用化が進む高速道路の「無人トラック」 事故の脅威を取り除くことは可能なのか

米国の貨物トラック業界が、完全無人化という転換点を迎えようとしている。2027年の実用化を見据え、テキサスでは複数の企業が自動運転トラックの開発競争を加速させている。 【画像】暴走すれば大惨事の恐れも… 実用化が進む高速道路の「無人トラック」 事故の脅威を取り除くことは可能なのか  その光景はカントリーソングにあるような、ごくありふれた大型トラックがテキサス州の州間高速道路を走っているだけのように見えた。だが昨年5月のこの配送には、運転席にドライバーがいなかった。 運営会社のオーロラ・イノベーションは、これが米国の高速道路における初の完全自動運転による商用トラック輸送だと発表した。ダラスとヒューストンを結ぶ高速道路での運行は単なるテスト走行ではなく、フェデックスやウーバー・フレイトなどの顧客のための輸送だった。 しかし開始から3週間も経たないうちに、この歴史的な運行は中断された。ルート上で使われていたトラックの製造元であるパッカーが、運転席に人を戻すようオーロラに求めたのだ。自動運転走行は再開されたが、「オペレーター」(オーロラによれば安全ドライバーよりも関与の度合いは低い)が同乗する形となった。 完全無人の大型トラックを州間高速道路の定期便に投入することが、業界の転換点となるのは間違いない。トラッカーズ・レポートによると、ドライバーの給与はトラック1マイルあたりの運行コストの26%を占め、ほかの調査では約40%という結果もある。無人化により、年間売り上げ9000億ドル超を生み出す米国の貨物トラック事業は大幅なコスト削減を実現できる。 自動運転推進の要因として繰り返し話題に上がってきた深刻なドライバー不足は、米国ではもはや大きな要因ではない。ただし、2025年に世界で360万人のドライバーが不足していたと指摘する声もある。「現在、米国での大きな不足はない」と米国トラック協会のチーフエコノミスト、ボブ・コステロは言う。「近年、需要が大幅に落ち込んでいるからです」

完全自動運転のクラス8トラック(最大級のトラック)による主要高速道路での走行は2027年に実現するというのが、いま業界の共通認識になりつつある。複数の企業が主にテキサス州で、2026年後半からの展開を準備している。 課題もある。その1つが「ファントム・ブレーキング」だ。自動運転システム、とくにカメラのみに依存するシステムが存在しない障害物を「検知」してしまい、急停車して事故を引き起こすかもしれない問題だ。トラックの大きさと重量を考えれば、衝突の衝撃はきわめて深刻なものになりうる。 自動車業界の調査・コンサルティングも手がけるテレメトリー社の市場調査担当副社長サム・アブエルサミドは、「カメラに加えてレーダーなども併用する新しいシステムでは、ファントム・ブレーキングを完全に排除はできないものの、発生する可能性はずっと低くなる」と語る。 オーロラは最近、ある冷蔵輸送会社のためにフォートワースとフェニックスを結ぶ1000マイルのルートを開始した。この走行距離は、労働時間の制限により人間のドライバーが休憩なしで走れる範囲を超えている。同社は強風、雨、霧のなかでの運行を検証済みで(軽い降雪についても近く検証完了の見込み)、2026年中に完全自動運転の走行を再開する計画だ。 「2026年末までに、道路上の自動運転トラックをひと握りから200台以上に増やす」と、オーロラのCEOで共同創業者のクリス・アームソンは語る。「そして2027年末までには数千台になるでしょう」 同社の次世代技術は現行ハードウェアの半額になるといい、クラス8の大型トレーラー「インターナショナルLT」やそのほかのトラック・プラットフォームに搭載される予定だ。 ライバル企業のコディアックAIは、テキサスの拠点から15台のトラックで州間輸送をおこなっている。トラックはヒューストン、オクラホマシティ、アトランタへ向かい、現時点では安全ドライバーが同乗している。 コディアックが最初に完全無人化を実現したのは、主要高速道路以外の場所だった。パートナーのアトラス・エナジー・ソリューションズと共同で、パーミアン盆地の油井サイトまで地方道路で工業用砂を運搬するトラック10台を走らせている。トラックはアトラスが所有し、コディアックが定額で技術を提供する形だ。 コディアックのCEOで創業者のドン・バーネットは、2026年後半には長距離ルートでドライバーなしの自動運転トレーラーを走らせると語る。具体的な顧客やルートはまだ確定していないが、ダラス─ヒューストン間が有力だ。「次の段階に進み、事業を急速に拡大できる自信がある」とバーネットは言う。

Jim Motavalli

クーリエ・ジャポン
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