フィンランドとリトアニアの海底ケーブル切断-原因究明急ぐ
フィンランドとドイツを結ぶ海底ケーブルで18日未明、外部からの影響によるものとみられる切断事故が発生した。すぐ近くのリトアニア・スウェーデン間のケーブルも被害を受けた。
データセンターに接続されているヘルシンキとドイツ北東部ロストクを結ぶ全長1200キロの高速光ファイバーケーブルがスウェーデン南部のバルト海で損傷。所有・運営会社シニアの経営陣は記者会見で、すべての光ファイバー接続が止まっており、完全に切断された可能性が高いと述べた。
リトアニア最大の通信プロバイダー、テリア・リエトゥバは、バルト海沿岸の同国とスウェーデンのゴトランド島を結ぶ海底データケーブルが17日に切断されたと発表。このケーブルはフィンランドのケーブルから10メートル以内の距離にあった。
フィンランドのインターネットアクセスはスウェーデン経由だが、インターネットが他の経路に迂回(うかい)されたため、テリアの国内顧客は影響を受けていないという。
High-speed data cable connecting Finland with Germany is severed
Sources: Cinia, Submarine Cable Map
妨害工作や故意による破壊の兆候があるかどうかを尋ねられたシニアのアリジュシ・クナーピラ最高経営責任者(CEO)は「現時点では原因を評価する方法はない」と述べながらも、「外部から何らかの影響がなければ、このような被害は発生しないと断言できる」と説明。その地域では地震活動がほとんどないことから、船のいかりや底引き網漁が原因として考えられると語った。
原因の特定には、修理船を現場に派遣し調査を行う必要があり、シニアによれば、OMSグループのケーブル敷設船ケーブル・ビジランス号の出航準備がすでにフランス北部カレーで進められている。こうしたケーブル修理には通常5-15日を要するという。
ドイツとフィンランドの外務省は共同声明で、両国を結ぶ「バルト海の海底ケーブル切断を深く憂慮している」と表明。「このような事例が即座に意図的な損傷の疑いを生じさせるという事実は、現代の不安定さを如実に物語っている」と指摘した。
フィンランドの国立サイバーセキュリティーセンターでディレクターを務めるサミュリ・バリストロム氏は同じ記者会見で、同国のインターネットアクセスには目立った影響はないと述べた。
フィンランドはスウェーデン経由の複数のケーブルを通じてインターネットにつながっているが、約1年前にも航行していた船舶のいかりがフィンランド湾の海底に敷設された2本のデータケーブルと1本のガスパイプラインを切断した事故があった。
こうした出来事や、ロシア産ガスを欧州に輸送する海底ガスパイプライン「ノルドストリーム」が2022年に爆破されたことなどで、欧州各国は重要インフラに対する脅威に再び注目するようになっている。
リトアニア近海で起きた今回の問題について、ビリニュスに本社を置くテリアの技術責任者アンドリュス・セメスケビシウス氏は放送局LRTに対し、「これは明らかに船のいかり落下による事故ではない」と語った。
原題:Finland and Lithuania Report Severed Undersea Data Cables (抜粋)