中国不動産大手の万科、社債の元利支払いを1年待つよう要請-関係者

Jackie Cai

  • 15日償還予定の20億元社債、表面利率は変わらず-万科が説明
  • 万科の債務負担は「持続不可能」、半年以内に再編のリスク-S&P

中国の不動産大手、万科は人民元建て社債の元利支払いを1年待つよう債券保有者に要請した。同社は先週、償還延期を突然提案して市場を驚かせたが、期間は明らかにしていなかった。

  事情に詳しい関係者によると、万科は1日、15日に満期を迎えるはずだった20億元(約440億円)の社債について保有者に対し、1年間の支払い遅延を求める意向を伝えた。これが認められる場合にも、3%の表面利率は変わらないという。関係者は非公表の問題を話しているとして匿名を要請した。

  深圳を拠点とする万科はかつて売上高で中国最大の不動産開発会社だったが、いまや資金繰りに窮し、政府の支援は細っている。同社は今回の社債を含め、来年半ばまでに総額134億元の償還を控えている。

  こうした動きを受け、万科の社債のいくつかは過去最安値に下落。国内最大級の不動産会社に対してすら中国政府は支援を控えるのか、全般的な懸念が広がっている。

  万科には1日の営業時間外にコメントを要請したが、今のところ応答はない。

  中国の不動産危機は長期化し、同業界では中国恒大集団碧桂園など大手を含む記録的な数のデフォルト(債務不履行)や清算、再編が発生。大手のうちこれまでデフォルトを回避できていた数少ない1社だが、昨年後半以降に深刻な流動性不足に陥っている万科は、不動産業界に対して政府がどれだけ支援するのかを見極めるバロメーターと見なされている。

  S&Pグローバル・レーティングは11月28日、万科の乏しい流動性を踏まえれば債務の支払いは「持続不可能」だと指摘し、今後半年以内に債務再編を強いられるリスクが上昇していると警告した。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、万科の2027年償還予定のドル建て債は1日の取引では落ち着いているが、先週1週間で60%余り急落していた。

原題:China Vanke Asks for 12 Months to Pay Bond Under Extension Plan(抜粋)

— 取材協力 Emma Dong

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