トランプ氏は「感情的になっている」とクレムリン一蹴、非難に動じず

ロシア大統領府は26日、ウクライナ全土を対象としたミサイルとドローン(無人機)による大規模攻撃を正当化し、これに対するトランプ米大統領の非難を「感情的になっている」と一蹴した。

  国営タス通信によると、クレムリンのペスコフ報道官は米国側の多大な努力によって交渉プロセスが開始されたことを評価した上で「同時に現在は極めて重要な瞬間であるため、誰しも感情的な負担に耐えきれず反応を抑えられないのは当然だ」と述べた。

  トランプ米大統領は25日、ロシアに対する新たな制裁を「当然検討している」と述べ、ドローンとミサイルで「多数の人命を奪った」プーチン氏を「正気を失っている」と非難した。

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ロシアのミサイルに住宅を破壊されたキーウの住民(5月25日)

  トランプ氏の非難には、ウクライナ停戦交渉の難航に対する明らかな苛立ちが鮮明に見える。しかしクレムリンの反応は、プーチン大統領にウクライナ侵攻を簡単にやめる意志がないことを示唆している。第2次世界大戦以来で最大の欧州戦争となったウクライナ紛争は、すでに4年目に入っており、プーチン大統領は最大限の戦果要求に固執している。

  プーチン大統領は26日、トルコのフィダン外相と会談する予定だとクレムリンは発表。トルコは今月、ロシアとウクライナの直接交渉を仲介したが、ロシア側は30日間の停戦案を拒否した。

  ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、ソーシャルメディアの「X(旧ツイッター)」への投稿で、多数の民間人とインフラに被害が出たと非難。ウクライナ当局によれば、25日の時点で少なくとも12人が死亡した。

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  欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(EU外相)は、ロシアによる最新のウクライナ攻撃を糾弾し、ロシアへの圧力を強めるのは「われわれの責任だ」と述べた。

  ペスコフ報道官はロシアによる攻撃について、ウクライナが民間インフラを標的にしたことに対する「報復攻撃」だと主張。ウクライナは先週、数日かけてロシア中部をドローンで攻撃した。

  トランプ米大統領はプーチン氏を非難した同じソーシャルメディアで、ゼレンスキー氏にも批判の矛先を向け、「ゼレンスキー氏が何か話すと問題が起きる。私は気に入らない。やめるべきだ」と述べた。

原題:Russia Dismisses Trump’s Putin Criticism as ‘Emotional’ Reaction(抜粋)

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