冬の「ランニングウェア何着たらいいか問題」。適温で走るなら、10℃ルールに従おう
この記事のポイント3行まとめ
- 冬のランニングウェア選びは、「体感温度+10℃」の服装を基準にする「10℃ルール」が基本。
- ランニングで体が温まることを計算に入れ、最初は少し肌寒く感じるくらいのウェアを選ぶことがオーバーヒートを防ぐ鍵。
- 足元は濡れても保温性を保つウール製のソックスが理想。極寒期には防水シューズや滑り止めスパイクも検討し、賢く安全に冬のランニングを楽しもう。
冬のランニングは、春の自己ベストを生む最高の秘密兵器だ
この真実を知らずに、寒いからと走ることを諦めているランナーがあまりに多いことに、私は残念さを感じます。
私は春のマラソンに向けて義務感からトレーニングをしていた時、寒い時期のランニングの魅力に気づきました。
静かに雪が降る早朝のランニングを体験したり、ゴール後に温かい納屋でホットチョコレートとスープが振る舞われる冬のレースに参加したりしました。
さらには、春のレースでは汗をかくことなく思い切り自分を追い込めたおかげで、自己ベストを更新できました。
私にとって冬のランニングは1年の中でも特別な存在になりました。皆さんにもぜひ冬ランニングに挑戦してほしいと思っています。
しかし、冬ランニングで一つの壁となるのは「ランニングウェア選び」ではないでしょうか。
この記事では、あなたが抱える「最初の寒さと途中のオーバーヒート」というウェア選びのパズルを、再現可能な「レイヤリングの科学」へと昇華させます。
ウェア選びのパズル:最初の寒さと途中の暑さをどう乗り切る?
ただ、ウェア選びは少し難しいですよね。
- 最初は体が凍えるのをどう防ぐか?
- 走り出して汗をかきはじめたら、どうやってオーバーヒートを避けるか?
とパズルのような難しさがあります。
幸い、これは見た目ほど難しくありません。
適切な「レイヤリング(重ね着)」戦略と思考法さえあれば、雪景色をジョギングしている間も、指先や耳は温かく保てます。
この記事では、気温ごとのランニング・チートシートを紹介し、さらに最高のソックス、シャツなどを選ぶための具体的な購入方法を掘り下げていきます。
「10℃ルール」が冬ランの合言葉
私が冬にランニングウェアを選ぶとき、実際の最高気温や最低気温ではなく「体感温度」をチェックしましょう。
また、1日全体ではなく、自分が走る時間帯の天気を必ず確認します。午前6時のランニングの場合、午後2時にどれだけ暖かくなるかは関係ありません。
もっともシンプルな服装の決め方は「10℃ルール」を使うことです。外の体感温度が、実際よりも10℃暖かいと仮定して、何を着るかを想像してみてください。
たとえば
- 気温が10℃のとき——20℃のつもりで、Tシャツとショートパンツ
- 気温が-1℃のとき——9℃のつもりで、長ズボンと軽いジャケットを選ぶ
これで考え方は掴めましたね?
この基準は「最初の3〜5分間は少し肌寒いと感じるが、その後は快適になる」という状態を目指して設計されています。
これが、オーバーヒートを防ぎ、一貫したペースを保つための冬ランの成功法則です。
まずはこのリストを基準に、実際に走ってみて「暑すぎた/寒すぎた」を記録し、あなた自身のパーソナル・10℃ルールを構築していきましょう。
個人の好みに合わせた、筆者の気温別ウェアリスト
あなたの「快適ゾーン」を探る手がかりとして、私は防寒に関してかなり「普通」のランナーなので、暖かい気温から寒い気温へと向かって、それぞれの「体感温度」で何を着ているかを紹介します。
体感温度 10℃
基本的に夏のランニングと同じ服装です。
- ボトムス: ショートパンツ、または薄手のレギンス。
- トップス: タンクトップ、またはTシャツ。
- 頭と手: 特になし。日差しを遮るためのキャップ以外、手袋や帽子は不要。
最初の冷え込みを感じはじめ気温です。走り終わる頃にはポケットにしまい込む可能性が高いですが、手袋を持ちはじめるかもしれません。
10℃ルールによれば、体が温まる頃には16℃に感じます。
- ボトムス: レギンス、軽量の長ズボン、またはショートパンツ。
- トップス: 長袖ですが、できれば薄手の素材が理想的(スウェットシャツやジャケットではなく、長袖Tシャツが理想的です)。夏にサンシャツを着ていたなら、今の涼しい季節には重ね着として最適です。私はREIのSahara Shadeパーカーを愛用していますが、長袖ならどれでも大丈夫です。
- 手: 通常はシャツの袖を手に被せるだけですが、ニット手袋でもOK。中間的なオプションとして、Flipmitsのような、手が温まったら手首のカバーに折りたためるものも検討できます。
- 頭: 耳を保護したい場合は、ヘッドバンド。
少量の雪が舞うのを見るかもしれませんが、防寒着に全身を包まないでください。体が温まれば10℃に感じるだけなので、「軽いジャケット」程度のウェアを選びましょう。
- ボトムス: レギンスまたはランニングタイツ。裏起毛タイプも良いでしょう。
- トップス: 何らかのジャケットかスウェットシャツが欲しいところです。軽量で反射材付きのレインジャケットや、Tシャツの上に普通のフーディーを羽織るだけでもOKです。
- 手: 手袋は必須です。安価なニット手袋で十分なことが多いですが、高品質なランニンググローブを自分へのご褒美に考えても良いかもしれません。
- 頭: 帽子またはヘッドバンド。私はヘッドバンドに留めておきます。
- 足: この辺りから、より暖かいソックスが欲しくなるかもしれません。雪が絡む場合は特に重要です。シューズのメッシュ部分に入り込んだ雪が溶けて足を濡らすからです。このため、濡れても保温性のあるウール素材が良い選択肢です。Smartwool のような商品を検討してみてください。
ここからが公式に「寒い」と言える気温帯です。これより暖かい気温で許容されていた薄着は、おそらく交換が必要になります。
ショートパンツ派は長ズボンを、ヘッドバンド派は本格的な帽子を被るでしょう。
- ボトムス: レギンスの上にショートパンツ。見た目がダサいと思われても気にしません。これは最高のハックです。男性の場合、フロントに防風パネルが付いたパンツをまだ履いていなければ、今検討することをお勧めします。
- トップス: 間違いなくジャケットが必要です。私は30度台で着たのと同じ軽いジャケットを、今回はその下に長袖のフリースまたはウールのベースレイヤーを着用します。
- 手: 本格的な手袋が必要です。ジャケットの袖の中に手を隠せるなら、小さなニット手袋でも良いですが、そうでないなら防風性のある手袋を用意しましょう。
- 頭: 帽子、そして鼻と口のためのバフも良いかもしれません。
- 足: 確実に暖かいソックス。この気温で頻繁に走る場合は、寒冷地用に特化したシューズ(たとえば、ゴアテックスアッパーのシューズ)を検討しても良いでしょう。
個人的には、この辺りで限界です。必要ならさらにレイヤーを追加した方が良いかもしれません。
決意があれば、この天気でも走ることは可能です。
- 防風性の高いウェアを全身に。
- 顔を覆うもの(フェイスカバー)。
- ゴーグルなどの目の保護具が必要になる場合もあります。
自分にとって「寒すぎる」と感じる気温になったら、まだ選択肢があることを忘れないでください。
- 一般的に1日のうちでもっとも暖かい、正午すぎに走る。
- トレッドミルを使う。(このためだけに、安価なジムに入るのも手です)。
練習を重ねるうちに、氷点下になる前に3枚もシャツを着込むタイプか、雪の中をショートパンツで走るタイプか、自分の好みがわかってくるはずです。
しかし、この基準が、最初の一歩(または次の一歩)を踏み出す際の出発点になるでしょう。
お金をかけずに最高の防寒ランニングギアを手に入れる方法
寒い時期のランニングを続けていく上で、新しいギアを購入したり、クローゼットの他の場所にあるものを転用したりする必要があるかもしれません。
ランニングの最初の数分は確かに肌寒く感じます。
しかし、適切な装備と思考法があれば、冬のランニングは単に可能なだけでなく、本当に楽しいものになるのです。さあ、揺るぎない快適さの土台となるアイテムを掘り下げていきましょう。
ソックス:濡れと冷えをブロックする最強の素材
足は暖かく、できればドライに保つ必要があります。暖かいソックスは当然ですが、ランニング用ソックスを選ぶ際にはいくつかの考慮事項があります。
ウールソックスは、「濡れても保温性を失いにくい」ので理想的です。冬は湿気がないと思われがちですが、体温に触れた雪は水になり、汗もかきます。
コットンがNGなのは、濡れると水分を保持し続け、その蒸発熱で体温を奪ってしまうからです(気化熱冷却)。ウールや吸湿性のある合成繊維は、この致命的な「コールド・ソーク(冷たい浸漬)現象」を防ぐための次善の策です。
ソックスは、シューズにフィットする必要があります。夏の間、極薄のコットンや合成繊維のソックスで走っていた場合、厚手のソックスは入らないかもしれません。
- ポイント: 寒くなるにつれて厚みのあるソックスで保温性を高めたいなら、冬用のランニングシューズは夏用のシューズよりも少しゆったりしたものを選ぶ必要があるかもしれません。新しいペアを購入する際は、履きたいソックスを履いて試着するようにしてください。
シューズ:濡れた路面に対応する冬のパートナー
暖かいソックスがフィットすれば、夏と同じシューズで間に合わせることもできます。
しかし、雪やぬかるみに遭遇すると、残りのランニング中、足は「温かいけど濡れている」状態に耐えることになります。これは短いランニングなら許容できますが、本格的な冬のランニングにはシューズのアップグレードを検討してください。
一部のランニングシューズは耐水性のアッパーが利用可能です。このレベルの耐水性があれば、 雪片がソックスに入るのを防げますが、ぬかるみの水たまりに足を踏み入れた場合は信頼できません。その場合は、ゴアテックスシューズのような、より防水性の高いものが欲しくなります。
氷上でのランニングを可能にする「スパイク」の選択肢
特にトレイルで、凍った路面や踏み固められた雪の上を走る予定がある場合は、スパイクが少しグリップ力を高めてくれます。
シャツとジャケット:賢いレイヤリングが快適さの鍵
肌寒い日、たとえば10℃なら、長袖Tシャツだけで十分でしょう。通常のTシャツやタンクトップの上に着用し、温まったら脱いで腰に結びつけることができます。
さらに寒い天候では、軽いジャケットやスウェットシャツを着用します。ここで、冬のランニングの隠れた利点の1つである「ポケット戦略」を実践できます!
気温が20度-6℃〜-2℃以下に下がると、本格的な「三層構造のレイヤリング」が必要になります。
たとえば、
1. 肌着(汗の吸湿)
2. 暖かい中間レイヤー(保温)
3. ジャケット(防風・耐水)
です。
中間レイヤーには、かゆみの少ないウール製ベースレイヤーが最適な選択肢です。ウールが苦手な場合は、高性能な合成繊維のものもあります。
クローゼットの中のアイテムを転用する
新しい服を買いに走る前に、まずはクローゼットにあるもので試してみてください。たとえば、フリースや薄手のセーターを転用してみましょう。
もっとも重要な「ジャケット」の選び方
ジャケットはもっとも重要なレイヤーです。
緊急時にはスウェットシャツでも凌げますが、悪天候にしっかり備えるには、防風性と耐水性のあるジャケットが欲しいところです。
ランニング用のジャケットは、レイヤリングのために軽量に作られています。
夜間の視認性: 鮮やかな色や反射材付きのものを。
機能性: ジッパー付きポケットが付いているものを検討してください。
レギンス、タイツ、パンツ:下半身の防寒テクニック
ショートパンツでは寒すぎる場合、ボトムスも重ね着をはじめましょう。
女性はクローゼットにレギンスを持っている人が多いため、有利です。(乾燥しているならコットンでも大丈夫ですが、雪が降っている場合は合成繊維を選びましょう。)
体にフィットしないパンツは冷たい空気を入れやすいため、レギンスやランニングタイツが男女ともに冬の標準的な服装です。
裏起毛と重ね着で寒さをシャットアウト
ランニングタイツにはさまざまな厚さがあります。寒い時期には裏起毛のものを選ぶか、2枚重ねにします。
もしお尻が冷える、または控えめにしたい場合は、その上にショートパンツを重ねて履くのも問題ありません。
さらに保護が必要な場合は、前面に防風パネルが付いた下着も検討してください。
アクセサリー:耳、手、顔の小さなパーツを守る
耳を温かく保つ必要がありますが、すぐに冬用の帽子に手を伸ばさないでください。
イヤーウォーマーやヘッドバンドは、頭頂部から熱を逃がしつつ耳を覆うことができます。また、雪が降っている場合は、野球帽が目に入るのを防いでくれます。
フリースやニット帽は、もちろん寒い日に最適です。
イヤーウォーマーと帽子の境界線は個人の感覚によるもので、オーバーヒートしているかどうかにかかっています。
帽子を被っているのにベースレイヤーが汗でびっしょりなら、帽子はやりすぎかもしれません。
一方、手袋は不可欠です。手袋の上にミトンを重ねるのが効果的です。また、防風性の断熱手袋は、何枚もの穴の開いたニット手袋よりもずっと暖かいです。
コロナ時代のマスクが冬ランで大活躍
風の強い日や非常に寒い日には顔が凍えてしまうので、パンデミック時に備蓄していたフェイスマスクが本当に役立ちます。
感染制御のためでなくても、どんなマスクでも顔を保護するのに役立ちます。この場合は、快適性を優先しましょう。
たとえば、バラクラバや裏地がフリースのバンダナなど。
また首が寒い場合は、スカーフよりもネックゲイターの方がずれずに留まります。この段階で、目以外は全身覆われています。目はサングラスで対処できます。
暗闇と寒さから身を守るための安全対策
冬の世界は暗く、滑りやすく、(当然ながら)寒いです。起こりうる危険に対処するためのヒントをいくつかご紹介します。
冬は日が暮れるのが早くなるため、夕方や早朝のランニングには調整が必要です。 昼間のランニングに切り替えるか、暗い中で長時間走る準備をしましょう。 最低限、反射材付きのウェアを着用し、ヘッドランプを持ち運びます。
ポイント: 暗い中でも安全だと感じるルートを計画しましょう。冬はトレイルではなく、近所の学校の照明が整備されたランニングトラックで過ごす時間を増やしています。
氷と路面の状態への対処法
氷で滑るのは最悪です。遠くから見える氷もありますが、見えない氷もあります。舗装された除雪済みの路面を走る場合は、アイススパイクがないことを覚えておいてください。
細心の注意を払い、自信のないエリアでは「ペンギン歩き」のように小股で歩くことを恥ずかしいと思わないでください。安全に完走するための賢い戦略です。 短いループを何度も走ることで、最初のラップで氷をチェックし、次の周回からは少し安心して走ることができます。
冬のトレーニング計画で注意すべきこと
トラックは除雪されていない可能性が高い: スピード練習のためにトラックに頼っている場合、使用できないか通行不能な場合があります。その場合のもっとも簡単な調整は、通常のインターバルを時間で代替することです。
交通量の多い道路が走れなくなる可能性: 普段、路肩を走っている場合、除雪車が雪の山を積み上げ、それが小さな氷の山となり、ランニングゾーンを塞ぐことがあります。
水飲み場やトイレが閉鎖されている可能性: 公園などで屋外の水飲み場に頼っている場合、利用できなくなる可能性があります。自分の水筒を持参するか、別の水源に迂回しましょう。
賢くトレーニングを続ける方法
冬のランニングの危険性を軽減することはできますが、完全に排除することはできません。もっとも大胆なランナーでさえ、時々トレッドミルの日を設ける必要があります。
トレーニング計画に少し柔軟性を持たせることで、トレーニングをスキップしたことへの罪悪感を感じることなく、安全を確保できます。
低体温症や凍傷を防ぐために
寒さや濡れた状態に長時間さらされると、低体温症や凍傷につながる可能性があります。
天候のチェック: 外出する際は注意を払い、天候予報を確認し、天候が危険になりすぎた場合のバックアッププランを持つこと。
ショートカットしやすいルート: たとえば、一つの長いルートではなく、一連のループを走ることで、ランニングを簡単に途中で切り上げることができます。バスやUberが待てる建物がたくさんあるエリアで長距離ランを計画することもできます。
室内の選択肢を最大限に活用する
外で走れない日は、近くに屋内トラックがあれば利用しましょう。ジムやYMCAには、何もないよりはマシな小さなトラックがあることがあります。
私の近くのトラックは1マイル(約1.6km)で13周しなければなりません。
そして、頼れるのは常にトレッドミルです。インターバルを取り入れることで飽きずに走れます。
そして最後に、安全の確保は、どのトレーニングよりも重要です。
天候が悪すぎて走れない日や、ジムまで運転するのが危険な日は、賢く家に留まりましょう。
しかし、雪が降っていても風が穏やかな、美しい冬の日には、重ね着をしてランニングを楽しみましょう。
最後に:冬ランが育む「長期的な能力」
冬のランニングであなたが身につけるのは、単に寒さに耐える身体能力だけではありません。それは、不確実な環境下で自らを最適化する「判断力」と「調整能力」です。
- 体感温度から最適なレイヤーを瞬時に判断する力。
- 走りはじめの不快感を乗り越え、目標に集中し続ける精神力。
さあ、あなたのクローゼットにある服を「三層構造」のレンズを通して見直し、明日のランニングで「パーソナル・10℃ルール」の実験をはじめてみましょう。
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