デジタルメディアの「購入」で、われわれは何を買っているのか?
ゲームや音楽、映画など、デジタルメディアを購入する際、消費者は何を購入しているのでしょう?
何を購入しているのか
書店で紙の本を購入する場合、消費者は購入した本を所有することになります。その所有する本を読もうが、枕にしようが、人にあげようが自由! 一方でオンラインで購入するデジタルメディアは、デジタルファイルを所有しないことが多く、その使用方法にも制限があります。
例えばゲームプラットフォームSteam(スチーム)では、ゲーム購入はそのゲームをプラットフォーム上でプレイするライセンスの購入に当たります。Amazon(アマゾン)での本や映画のデジタル購入も、Microsoft(マイクロソフト)でのゲーム購入も、そのコンテンツにアクセスするためのライセンスの購入です。
消費者にとってわかりやすい表示を!
アメリカのカリフォルニア州では、デジタルコンテンツ購入時に、「所有」なのか「使用権利ライセンス」なのか、お金を払って何を得るのかを、消費者へ明確に提示すべきだという州法を導入しています。これを国全体で取り組むべきだと声をあげているのが、米上院議員のロン・ワイデン氏。
ワイデン議員は、米国連邦取引委員会(FTC)に書状を提出。購入によって何を所有するのかを消費者が理解できるよう、企業側は情報を提示すべきだと訴えています。これ、消費者にとってわかりやすいことが肝であり、ライセンスの適用期間や、譲渡可能かどうかも示して然るべきであると。
企業側に有利すぎ?
デジタルコンテンツは、ほとんどの場合、コンテンツファイルの使用所有ではなくライセンスがほとんど。
しかし、購入時の消費者の気持ちとしては、「紙か電子書籍かの違い」という人は多いはず。気持ちの差はちょっとでも、購入後の自由度には大きな差があります。
読み終わった後の電子書籍は、人にあげたり売ったりができないというわかりやすいものから、電子書籍を読める端末が限られてしまうという、なってみないと気がつかないような制限が付くこともあります(最近、Amazon購入の電子書籍を有線で端末に落とすことができなくなりました。これは実質、kindle端末以外の電子リーダーでは読めないという制限につながっています)。
ゲームのサブスクは、一見個々のゲームを購入していくよりも安く、かつ多くのゲームにアクセスできてお得なように感じます。ですが、ユーザーがゲームをプレイ・記録を保存し続けるため、そのプラットフォームから出づらくなるというデメリットもあります。
デジタルメディアのライセンス売買は、企業側が自社のエコシステムに囲い込む有力な手段であり、企業側に有利な条件なのではないかという意見もあります。
今後、ワイデン議員の意見がより着目され、米国が法案として検討を進めれば、世界中にもその動きが広がる可能性があります。消費者にとってよりわかりやすく便利なデジタル市場が広がればいいのですが。
Source: The Verge