さすがMacBook Pro M5 Max!秒間100トークン超え、画像生成4.4倍でM5とProを蹴散らす
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PCのパフォーマンスは、高いに越したことはない。処理能力に余裕があれば、クリエイティブアプリの動作は高速化され、最新AAAタイトルもリッチな3Dグラフィックスで堪能できる。これはPC選びにおける変わることがない基準といえる。
このような従来の用途に加えて、現在新たなニーズとして注目されているのが「オンデバイスAI」の処理能力だ。サーバー上で動作するAIの利用者が増える一方で、情報の機密性や環境構築の自由度を求めるユーザーにとって、ローカル環境で完結するオンデバイスAIは非常に有力な選択肢となっている。
そこで今回注目するのが、Appleの最新プロセッサである「M5 Pro」および「M5 Max」を搭載した「MacBook Pro」だ。これら最新チップを採用したニューモデルが、実際のオンデバイスAI運用においてどれほどのパフォーマンスを発揮するのか、その具体的な実力をチェックしてみよう。
MacBook Pro向けのM5シリーズには現在、5つのプロセッサが存在している。
ベースモデルとなるM5は、日常的な作業はもちろんのこと、4K動画編集も快適にこなす性能を備えつつ、省電力性を重視したバランス型だ。
一方、プロ仕様のスタンダードに位置づけられるM5 Proには、15コアCPU/16コアGPU構成と、18コアCPU/20コアGPU構成の2モデルが用意されている。M5 Proはメモリ帯域幅がM5の153GB/sから307GB/sへと拡張されており、大容量データの転送効率が大幅に引き上げられているのが特徴だ。
そして最上位のM5 Maxには、32コアGPU搭載モデルと40コアGPU搭載モデルの2つがラインナップされている。M5 MaxはGPUコア数が増強されているだけでなく、メモリ帯域幅も32コアGPU版で460GB/s、40コアGPU版で614GB/sに達しており、後者では最大128GBのユニファイドメモリを選択できる。これにより8Kの超高解像度動画の編集のみならず、大規模なAIモデルのローカル実行において、モバイルノートとして際立った処理能力を見込めるわけだ。
詳細なスペックは下記の表の通りだが、M5シリーズは単なる計算速度の向上に留まらず、扱うデータの規模やAI活用の度合いに応じて、細かく選択肢が設定されている。
AV1デコード
なお、「スーパーコア」とは、M5シリーズにおける最上位の高性能コアを指す名称である。M5 ProおよびM5 Maxにはこれとは別に、電力効率とマルチスレッド性能を両立させるために最適化された新たな「高性能コア」が搭載されている。
つまりM5シリーズのCPUコアは、処理性能の高い順にスーパーコア、高性能コア、高効率コアの3種類が存在するが、各プロセッサには2種類が搭載されており、その組み合わせはプロセッサごとに異なるというわけだ。
本題のオンデバイスAIのベンチマークに入る前に、手短にM5 Pro、M5 Max搭載MacBook Proの基本スペックを解説していこう。
まずMacBook Proには14インチと16インチの2モデルが用意されている。14インチではM5、M5 Pro、M5 Max、16インチではM5 Pro、M5 Maxを選択可能だ。メモリ、ストレージもカスタマイズ可能だが、プロセッサによって上限が下記のように異なる。
※32コアGPU版は36GBメモリが上限。それ以上の容量を選択すると、40コアGPU版に切り替わる
上記に加えて、ディスプレイは標準仕様と、映り込みや反射を強力に低減する「Nano-textureディスプレイ」をプラス2万4,000円で選択可能。これを加えた場合の最大構成価格は、14インチモデルで111万8,800円、16インチモデルで118万3,800円に達する。
100万円を超える価格は一見高額に見えるが、これはすべてのオプションを最大限に積み上げたプロフェッショナル向けの最上位構成であることは念頭に入れておこう。
さて、じらすつもりではないが、まずはいつもの定番ベンチマークを先に押さえておこう。今回テストに使用したMacBookは、下記の3モデルだ。
- 13インチMacBook Air(M5 MBA)M5(10コアCPU、10コアGPU)/メモリ24GB/ストレージ1TB/24万4,800円
- 16インチMacBook Pro(M5 Pro MBP)M5 Pro(18コアCPU、20コアGPU)/メモリ64GB/ストレージ4TB/68万9,800円
- 16インチMacBook Pro(M5 Max MBP)M5 Max(18コアCPU、40コアGPU)/メモリ128GB/ストレージ4TB/97万9,800円
まずCPU性能については、シングルスレッドのスコアが3機種ともほぼ横並びとなった。M5、M5 Pro、M5 Maxが備える「スーパーコア」の単体性能には差がないわけだ。
一方、マルチスレッド性能は、M5 MBAに対して、18コアを備えるM5 ProおよびM5 Max搭載MBPが圧倒しており、Cinebench 2026で約269~275%、Geekbench 6で約168~173%のスコアを記録している。なお、M5 ProとM5 Maxのスコアはほぼ同等だ。CPUベンチマークでは、搭載されているCPUコア数がダイレクトに結果に反映されている。
GPU性能についても、搭載コア数の差がそのままスコアに現れた。Cinebench 2026(GPU)でM5 Pro MBPはM5 MBAの約199%、M5 Max MBPは約374%、Geekbench 6(GPU Metal Score)でM5 Pro MBPはM5 MBAの約179%、M5 Max MBPは約289%の値を叩き出している。ハイエンドなクリエイティブ系アプリにおいて、M5 ProとM5 Maxが極めて高いポテンシャルを発揮することは間違いない。
ストレージ性能については、MBPの2機種がM5 MBAに対し、シーケンシャルリード、シーケンシャルライトともに約2倍の速度を記録した。Proモデルにふさわしい高速なデータ転送能力を備えているといえる。一方、ランダムアクセス性能については、3機種間で極端な差は見られなかった。
メモリ性能については、シーケンシャルリードでM5 Pro MBPがM5 MBAの約155%、M5 Max MBPが約180%を記録。一方、シーケンシャルライトではMBPの2機種がいずれもM5 MBAの約257%の速度となった。
プロセッサのデータ帯域幅は、M5が153GB/s、M5 Proが307GB/s、M5 Maxが614GB/sとなっている。メモリの書き込み性能においてM5 ProとM5 Maxが同等のスコアとなったのは、OSやベンチマークソフトの仕様によりボトルネックが発生し、実効速度が頭打ちになったと考えられる。M5 Maxの最大614GB/sの帯域は、ベンチマークテストよりも、さらに複雑で高負荷な並列処理において真価を発揮する可能性が高い。
AI性能についてはGPUベンチマークの傾向を踏襲。Geekbench AIのGPUスコアは、コア数の多い上位プロセッサほど順当に高い処理能力を発揮している。一方、CPUおよびNeural Engineを用いたAI処理能力に関しては、3機種間で大きな差は見られなかった。
オンデバイスAIの実効速度は、その環境がGPUをどの程度活用するかによって大きく左右されるといえるだろう。
さて、ようやく本題だ。今回のAIベンチマークでは、M5 MBA、M5 Pro MBP、M5 Max MBPの3機種を用いて、ローカル環境における処理能力の差を検証している。既存のベンチマークソフトの結果に留まらず、近年のAI活用で重要視される「画像理解」と「画像生成」の実効速度を計測し、プロセッサのグレードがどのようなメリットをもたらすのかを可視化することが目的だ。
まず1つ目のベンチマークとしては、高度な視覚理解能力を持つ視覚言語モデル「Qwen2.5-VL-7B-Instruct-4bit」を使用。検証では、街並みの風景(画像1)、グラフを含むスクリーンショット(画像2)、色彩豊かな料理(画像3)という性質の異なる3枚の画像を用意。それぞれの画像に対して「この画像を詳しく説明してください」と指示し、回答生成時の「トークン/秒」を3回ずつ計測してその平均値を算出している。
結果は、プロセッサのグレードに比例して明確な性能差が表れた。特にM5 Max MBPは、画像の内容を問わず極めて高いレスポンスを維持しており、画像2と画像3では100トークン/秒を超えている。大規模な視覚言語モデルの推論においても、人間がテキストを読み取る速度を凌駕するスムーズな対話を実現している。これは、M5 Maxが備える40個のGPUコアと、614GB/sのメモリ帯域幅が、推論処理におけるボトルネックを解消している証といえるだろう。
2つ目のベンチマークとしては、画像生成AIのスタンダードである「Stable Diffusion XL Base 1.0」を用いて画像生成にかかる時間を計測した。検証条件は「解像度1,024×1,024ドットの高品質な日本人女性のポートレートを10枚連続で生成する」というものだ。サンプリングステップ数は30、シード値は999に固定し、純粋な演算能力の差が処理時間に直結するように設定している。
この高負荷なタスクにおいて、3機種の性能差はより顕著に表れた。10枚の画像を生成するのに要した時間は、M5 MBAが29分1秒(1,741秒)であったのに対し、M5 Pro MBPは11分56秒(716秒)、最上位のM5 Max MBPは6分38秒(398秒)という結果になった。
M5 MBAと比較すると、M5 Max MBPは約4.4倍の速度で処理を完了している。画像生成AIを用いたクリエイティブな作業において、この処理時間の差が試行錯誤の回数に直結する。今回の結果は、オンデバイスAI環境を快適化するために、上位モデルを選択する「正当な理由」が見えたといえるだろう。
今回実際に「Qwen2.5-VL-7B-Instruct-4bit」と「Stable Diffusion XL Base 1.0」を実行したことで、M5 MBA、M5 Pro MBP、M5 Max MBPのオンデバイスAI処理能力の差が明確になった。
特に興味深いのは、NPUであるNeural Engine以上に、GPUに搭載された「Neural Accelerators」がAI処理の鍵を握っており、上位プロセッサほど処理スピードがリニアに向上している点だ。「Stable Diffusion XL Base 1.0」の検証結果を見れば一目瞭然で、M5 MBAと比較して、M5 Pro MBPは約2.4倍、M5 Max MBPは約4.4倍という圧倒的な速度差を記録している。もちろんGPUコアの増強は、AI処理だけでなくクリエイティブアプリの高負荷な作業においても絶大な効果を発揮する。
とはいえ、誰もが最上位モデルを購入する必要はない。MacBookシリーズにはM5、M5 Pro、M5 Maxと多様なプロセッサが用意され、メモリやストレージもきめ細かくカスタマイズ可能だ。実際、自分の用途に100%合致する構成を見極めるのは容易ではないだろう。
しかし、今回のAIベンチマークの実効値を1つの指標に、皆さんが「正解」に限りなく近いスペックのマシンを選んでいただければ幸いだ。