川崎ストーカー、再逮捕の男は女性失踪当日に「殺害」…女性の祖母は仏壇に毎日「ごめんね」とヒマワリ供える
ストーカー被害を訴えていた川崎市川崎区の岡崎 彩咲陽(あさひ) さん(20)の遺体が元交際相手の同区、無職白井 秀征(ひでゆき) 被告(28)(死体遺棄罪などで起訴)の自宅で見つかった事件で、神奈川県警は12日、白井被告を殺人の疑いで再逮捕した。また、白井被告が5月に死体遺棄容疑で逮捕された直後、岡崎さんを昨年12月20日に殺害したと供述していたことが、捜査関係者への取材で分かった。
白井秀征被告昨年12月20日は、岡崎さんの行方が分からなくなった当日だ。白井被告は殺害を認めた後、黙秘に転じたという。
殺人容疑に関する県警の発表によると、白井被告は昨年12月20日頃、神奈川県内かその周辺で岡崎さんを殺害した疑い。「黙秘します」と話しているという。逮捕は死体遺棄容疑、ストーカー規制法違反容疑に次いで3回目となる。
岡崎さんの遺体は4月30日、白井被告宅の台所床下の収納スペースから見つかった。強い火力で焼かれて白骨化しており、ポリ袋に包まれてバッグに入れられていた。白井被告宅では何かを燃やした形跡は見つからなかった。
捜査関係者によると、白井被告は運転免許を持っていない。防犯カメラでは昨年12月20日以降、岡崎さんと一緒にいる姿なども確認されていない。このため県警は、白井被告が自宅からそれほど遠くない場所で殺害し、遺体を燃やした可能性があるとみて、殺害方法などの特定を進める。
岡崎彩咲陽さん(父の鉄也さん提供)白井被告は12月中旬、岡崎さんの交友関係を巡り、「許さないからな」とメッセージを送信していた。12月末の県警の任意聴取では、知人男性と一緒にいる場面を投稿した岡崎さんのSNSを見て、「腹が立った」と説明。県警は殺害の動機につながったとみて調べている。
この男性について、岡崎さんの父は6月、読売新聞の取材に対し、岡崎さんが勤務する飲食店の関係者だと証言。白井被告のストーカー行為を恐れ、岡崎さんが送り迎えを頼んでいたと明らかにしている。
岡崎さんの祖母の須江子さん(68)は12日、報道陣の取材に応じ、「助けてあげられず、ただ悔しい」と語った。仏壇に向かって毎日、「ごめんね」と語りかけ、好きだったヒマワリを供えているという。27日に納骨する予定だ。
神奈川県警、捜査が適切か検証へ
神奈川県警は5月9日、ストーカー被害を訴える岡崎さんへの対応などを検証するチームを設置した。本部と署の連携や幹部の指示が適切だったか調べている。「捜査状況を踏まえ、結果を速やかに公表したい」としている。
事件を巡る経緯ストーカー事案は事態が急展開して重大事件に発展する恐れが極めて高いとして、警察庁は被害者の安全確保を最優先に対処するよう全国の警察に通達している。検証では、通達の趣旨に沿った対応や捜査が行われたかが焦点となる。
岡崎さんは昨年12月9~20日、9回にわたって川崎臨港署にストーカー被害などを訴えていた。しかし、県警は白井被告から一度も事情を聞いていなかった。
岡崎さんは祖母宅に避難していたが、同20日から行方が分からなくなった。2日後の同22日、祖母から自宅の窓ガラスが割られていると110番があった際、県警は室内から割った可能性があると説明。指紋を採取したのは、今年1月になってからだった。