記者は退去を迫られた 初の大阪生活で直面した特区民泊の理不尽

真相・ニュースの現場から

毎日新聞 2026/4/6 04:59(最終更新 4/6 04:59) 有料記事 2403文字
再開発が進むJR大阪城公園駅(中央)周辺=2024年11月、本社ヘリから

 ちょうど1年前、2025年春の異動に伴い、新天地・大阪市へやってきたばかりの記者(27)は、予想だにしなかった要求に耳を疑った。

 「3カ月以内に退去してほしい」。入居からわずか半年で、住んでいた物件から出て行くようにオーナー会社から求められた。

 一体どういうことか。

 理由をつぶさに調べると、インバウンド(訪日客)に沸く大阪市域の「光と影」が見えてきた。

大津から転勤 初めての大阪生活

 異動当時、記者は入社4年目だった。振り出しの大津支局を経て、大阪社会部勤務を命じられた。

 大阪市で生活するのは初めて。右も左も分からず、どこに住むか考えあぐねたが、不動産会社に紹介されたのが、JR森ノ宮駅から徒歩5分の10階建て新築マンション(大阪市東成区)だった。

 大阪市中心部では「キタ」「ミナミ」に続いて大阪城の東側にある「ヒガシ」の開発が進んでいる。森ノ宮には28年に大阪メトロの新駅が開業する予定で、マンションはヒガシのエリアに位置し、家賃が手ごろだったこともあって入居を即決した。

 閑静な住環境での生活に何ら不満はなかった。だが、25年10月初旬、オーナー会社から退去を求められた。

 時を同じくして、マンションに異変が起き始めた。

 スーツケースを持った外国人が連日出入りするようになり、共用廊下には段ボールに梱包(こんぽう)された大型家具が続々と積み上がった。

 送り先の欄には、中国籍とみられる名前が記載されていた。

 「特区民泊の運用開始に際して」。そう題したA4判の紙が、記者の向かいの無人部屋のドアに張り出された。読むと「特区民泊として主に外国人旅行者を滞在させる」と記され、末尾に住民向けの説明会の日程が告知されていた。

 この時、退去を求められた理由が特区民泊にあったことを初めて認識した。

インバウンドでにぎわう陰で

 25年に大阪・関西万博が開催されたことも相まって大阪都市圏では訪…

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