GeForce RTX 5070、ゲームでRTX 4090を超越する

 RTX Blackwell世代の新GPU「GeForce RTX 5070」(以下、RTX 5070と略)の販売がはじまった。本稿はレビュー前編でカバーできなかったゲーミング性能のみに焦点を当て様々な角度から検証する。

 今回のRTX 5070レビューは2つの軸で構成されている。1つはCES 2025におけるNVIDIAの発表に基づき、「RTX 5070が本当にRTX 4090の性能に迫ることができるか?」というもの。もう1つは「RTX 5070はRTX 4070の上位に過ぎないのか、格上のRTX 4070 Tiに食らいつけるのか?」というものだ。

 まずRTX 4090との対比については、GPU内の演算器(CUDAコア、RTコア、Tensorコア)がモノを言うテストにおいては、RTX 5070はRTX 4090にまったく歯が立たなかった。SM(Streaming Multiprocessor)を128基も備えるRTX 4090を、たかだか48基のSMしか持たないRTX 5070で勝てるわけがなかったのだ。

 RTX Blackwellでは、SM内の整数演算可能なユニット数がRTX 40シリーズから2倍に増えている(FP32しか実行できないユニットが廃止され、すべてINT32もFP32も実行可能になった)が、これは来たるニューラルシェーダー時代への布石と言えるだろう。

 2つ目については、RTX 5070はRTX 4070 Tiの性能に近かったが、SM数ではRTX 4070 Ti>RTX 5070となる。そのため、演算器の数で勝負が決まるような処理ではRTX 4070 Tiに軍配があがった。逆に、メモリー帯域が重要な処理ではGDDR7を擁するRTX 5070が優越した。そして、RTX 4070に対しては常に性能的なアドバンテージを得られることがわかった。

 では、実際のゲームではどのような展開になるのだろうか? RTX 5070がRTX 4090に迫るには「DLSS Multi Frame Generation」(以下、DLSS MFGと略)の利用が前提であると解説しているが、ついにこれが本当なのか否かを確かめる日が来たのだ。

前世代のTi&無印との対比も考える

 検証環境は前回と同じ。RTX 5070 Ti、RTX 4070 Ti、RTX 4070からなる“xx70番台GeForce”のほかに、NVIDIAの言いぶんを確かめるためにRTX 4090を追加。さらに、Radeon勢からはRX 7900 XTとRX 7900 GREの2モデルを加えた。

 GPUドライバーはGameReady 572.50とAdrenalin 25.2.1を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

CPU AMD「Ryzen 7 9800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.2GHz) CPU クーラー EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) マザー ボード ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.18.AS02) メモリー Crucial「Crucial Pro CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用) ビデオ カード Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(16GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(12GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」(24GB GDDR6X)、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」(12GB GDDR6X)、 NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」(12GB GDDR6X)、 AMD「AMD Radeon RX 7900 XTリファレンスカード」(16GB GDDR6)、

ASRock「AMD Radeon RX 7900 GRE Steel Legend 16GB OC」(16GB GDDR6)

ストレージ Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) 電源 ユニット ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)

 本稿におけるフレームレートの検証条件についても解説しておこう。

(1)PCI Expressのリンク速度をGen 4に固定して検証 (2)「CapFrameX」を利用しフレームレートを計測 (3)フレームタイムは「MsBetweenDisplayChange」基準とする

(4)AFMF 2環境のフレームレート計測はRadeon Softwareを利用

 PCI Express Gen 4接続にする理由は、ビデオカード単体の消費電力(すなわち、TBP:Total Board Power)を直接計測できる「Pownetics v2」を接続する必要があるからだ。  今回お借りしたRTX 5070 Founders Edition(以下、FEと略)の場合、PCI Express x16スロットから取得する電力は1Wもないが、ほかのビデオカードでは多い場合で8〜10W消費される。これを漏らさず勘定に入れるためにはライザーカードを接続する必要がある。

 そして、RTX 50シリーズはPCI Express Gen 5でCPUとリンクするが、このライザーカードを使うとBIOSでGen 4に落とさないと起動しない。ちなみに、RTX 50シリーズをGen 4接続で運用してもグラフィックパフォーマンスの下落は小さい(0〜2%程度)。

 最近のフレーム生成機能(DLSS MFGのほか、インテルのXeSS FGも含まれる)では、フレームタイムの計測には従来手法である「MsBetweenPresents」ではなく、「MsBetweenDisplayChange」を使用するのが適切とされている。

 MsBetweenPresents基準とMsBetweenDisplayChange基準では、最低フレームレート(筆者は下位1パーセンタイル以下のフレームレートの平均値を重視している)の出方が大きく変化するためだ。

 最後に、DLSS FGやFSR 3 FGに対応していないゲームについては、Smooth Motion(RTX 50シリーズのみ)やAFMF 2(Radeonのみ)を利用して、ドライバー側でフレーム生成を行うテストも実施している。Smooth MotionはCapFrameXでフレームレートを計測できるが、AFMF 2は正しくとらえられない(本稿検証時点での話)。

 AFMF 2の場合、Radeonドライバーの機能で計測しているが、CapFrameXと手法が異なる。そのため、特に最低フレームレートは誤差が出ている可能性がある。また、AFMF 2利用時のベンチマーク中のTBPやワットパフォーマンスに関しては、集計対象外としている。

 それでは次ページから各ゲームのフレームレートを検証する。解像度はフルHD(1920×1080)、WQHD(2560×1440)、4K(3840×2160)とし、画質は最高あるいはそれに準じる設定とした。まずはアップスケーラーやフレーム生成は一切使わない性能を比較しよう。

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