著作権を行使したゲーム開発者が脅威にさらされる結果に
ゲームイベントに自作ゲームを出展した開発者が、ゲームの公開を主催者に取り下げさせたところ、過去に獲得した賞の失格を言い渡され、賞金の返還まで要求されてしまったとして苦情を呈しました。ところが、この件では主催者サイドと意見の食い違いがあることが分かっています。
When Exercising Copyrights Puts a Gamedev Under Threat (My Take on GBCOMPO 25) - Zoryad by allalonegamez
https://allalonegamez.itch.io/zoryad/devlog/1135761/when-exercising-copyrights-puts-a-gamedev-under-threat-my-take-on-gbcompo-25 苦情を訴えたのは、ゲーム開発者のallalonegamez氏です。allalonegamez氏は、ゲーム配信プラットフォームのitch.ioで開催されたゲームボーイ向け新作ゲーム評価コンテストに2023年と2025年の2回参加し、2023年には入賞を果たしていました。このコンテストでは、応募作品が「主催者のプラットフォーム」で公開されること、そしてコンテスト終了後は開発者が自由にゲームの開発を続けたり、商品化したりできることがルールに明記されていました。その後、エントリーしたallalonegamez氏の開発したゲームは、コンテスト運営の1人であるアントリーオ・ビバ-チェ氏が所有するHomebrew Hub(gbdev.io)で公開されていました。2025年のコンテストから数カ月が経過した後、allalonegamez氏はgbdev.ioから自身のゲームを削除するよう要請しました。allalonegamez氏の意図としては、ゲームがitch.ioではなく、gbdev.ioという別のプラットフォームにアップロードされていることが気に入らなかった模様。また、gbdev.ioに「公開されている作品の開発者は、いかなる理由であっても作品の削除を要求することができる」という免責事項があったことや、「コンテストの規則には、主催者がゲームを無制限に公開しておく義務はなく、主催者にゲームを公開する永続的な権利が与えられるわけでもなく、『サードパーティのプラットフォーム』からゲームを削除することが違反となることも書かれていない」という理由から、権利を行使しようとしただけ、ということだったようです。 その結果、主催者は2023年のallalonegamez氏の入賞を取り消し、賞金の返還を要求してきたそうです。このコンテストには大手のパブリッシャーが資金提供をしていたため、入賞取り消しという措置はallalonegamez氏のゲーム開発生命にも影響を与えかねないとして、「著作権を行使しただけなのに行き過ぎた措置ではないか」と訴え出たという経緯でした。
ところが、この意見にasieという人物が反論し、allalonegamez氏に一部誤解があった可能性が浮上しました。反論したのは、コンテストの主催者ではないものの、主催者から個人的な相談を受けており、賞金返還や入賞取り消しを発案したという人でした。 まず、ゲームがサードパーティーのプラットフォームにアップロードされていた件です。allalonegamez氏は「itch.ioでのみゲームが公開される」と考えていたようですが、実際はitch.ioに限定されるという記載はありませんでした。そもそも、コンテストのルールが記載されていたサイトはitch.ioではなくgbdev.ioで、ゲームが公開されていたのはgbdev.ioがホストするウェブサイトです。よって、サードパーティーのプラットフォームに公開されていたわけではなく、むしろ関連するプラットフォームに正式に公開されていた、という見方が正しいというのがasie氏の主張です。 加えて、allalonegamez氏は「ルールを順守してコンテスト期間中は無料で公開した」という言い方をしていますが、ルールには「公開はコンテスト期間中に限る」という記述は一切ないそうです。
asie氏は「主催者側が伝統を育んできたコミュニティでは、作品の再配布は一種の慣習とみなされています。コミュニティの取り組みから金銭を含む利益を得ておきながら、そのコミュニティに背を向ける行為は不公平だと思います。それはあなた(allalonegamez氏)の権利であり、そう言うのは正しいのですが、同時に、あなたはコミュニティとのつながりを自ら消しているということを認識する必要があります。いずれにせよ、私はコンテストの社会契約違反と見なしました」と伝えました。 さらに、「幅広いフィードバックをいただいた結果、賞金の返還までエスカレーションすることを提案したのは私のミスだったと思いました。そのような要求をしなければ、こうした事態はある程度回避できたかもしれません」とも付け加えています。 ただし、asie氏の意見には「作品をシェアウェアとしてライセンス供与することに抵抗のないクリエイターはたくさんいますが、だからといって全員が供与しなければならないわけではありません。もしコンテスト主催者が、クリエイターが作品を商品化したいと考える可能性があることを真に認識しているのであれば、クリエイターがそうしたいと思った時に邪魔すべきではありません」という反論が寄せられました。
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