支援物資の山に「なぜもらえないの?」 被災地を襲った想定外
緊急地震速報が鳴り響き、強烈な揺れに襲われた庁舎は一斉に電気が消えた。非常用電源に切り替えてパソコンは動いたが、災害の発生場所などを住民に知らせる「防災サイト」は更新できない。7月28日夕、震度7を観測した熊本県氷川町の町役場は混乱の中にあった。
関連記事 災害関連死を防げ 10年前の教訓は生かされたのか 断たれた過疎地のインフラ=30日16時30分公開予定
パソコンも避難所も使えず
「ネット回線が途絶えても使えるような、人工衛星と通信できるシステムがあるというので『そういうのも入れんといかんばね』って言っていたところだった」。町総務課の坂本哲也課長が明かす。
町役場は地震発生直後、停電と断水に見舞われた。非常用電源はあったがネット回線がつながらず、庁舎内のパソコンが事実上、機能しなくなった。災害状況の集計は、手作業で対応せざるを得なくなった。
想定外の事態は他にもあった。被災した住民たちを受け入れるための避難所自体が、ライフラインの寸断で使えない状況に陥った。
車中泊用に校庭開放
町内の指定避難所10カ所のうち、まず小中学校など4カ所で避難所の設置を始めたが、完了は発生翌日の29日夜までずれ込んだ。最高気温が35度以上となる「猛暑日」が予想される中、停電で空調が使えなかったためだ。
代替措置として急きょ、校庭を車中泊用の避難所として開放。坂本課長は「避難所が使えないという事態を想定しているかと問われると、そういう想定は多分、どこの自治体もしていないと思う。校庭の開放など、臨機応変には対応できたと思う」と振り返る。
職員の確保で生きた教訓
半面、混乱の中でもスムーズにいったこともある。避難所運営など復旧・復興業務を支える職員の確保だ。背景には、2016年の熊本地震の教訓がある。
16年の熊本地震の際、避難所の運営などは、ほぼ氷川町の職員のみで対応した。今回は他の自治体から職員計約180人(8月20日時点)の支援を受け、避難所の運営や災害ごみの受け入れ作業などを担ってもらっている。その数は町の全職員数を上回る。
町によると、被害の規模が10年前よりも甚大な状況だったことも背景に、人手の必要性を感じたという。坂本課長は「自分たちだけで対応していたら、職員も疲弊していた。おかげで復興のスピードも速くなるかなと思う」と感謝した。
物資不足想定した対応が裏目に…
自治体の想定を超えるような事態は、震度6強を観測した熊本県八代市でも起きていた。
ペットボトルの水、お菓子、パン――。8月上旬、八代市の市総合体育館には、飲料や食料、生…
1日あたり約35円!月額1,078円(税込)で読み放題