GT-R純正バンパーを2コイチ加工で移植。ワンオフフェンダーで魅せるE52エルグランド
大柄なミニバンなのに、佇まいから走りの気配が漂う。北海道のイベント会場で視線を集めていた日産「エルグランド(E52)」は、ワンオフのオーバーフェンダーで台形のシルエットを描き、リアまわりにはGT-R純正パーツを移植した1台だった。ボディカラーは純正色のまま。オーナーの証言とともに、その作り込みを追った。
日産エルグランドの低重心をワンオフオーバーフェンダーで強調
この仕様の出発点は、ベース車が持つ素性にある。3代目にあたるエルグランド(E52)は2010年8月に登場し、FFベースのプラットフォームへ移行したことで全高を抑えた。ミニバンのなかでは屋根が低く、低重心に見えるスタイリングが長く支持されてきた。
オーナーの“SU-G”さん(北海道札幌市)は、その持ち味をさらに際立たせる方向でボディメイクを進めた。前後に備わるオーバーフェンダーはワンオフ製作で、クッキリとしたラインを描きながらボリュームを与えている。エアフォースのエアサスで車高を全下げしたときに現れる、ドッシリとした台形のシルエットがお気に入りの姿である。
取材時に語ってくれたのは、「日産=スポーティ」というイメージを土台に据えたという考え方だった。大柄なボディへ躍動感を注入するため、走りを感じさせる手法を各所に取り入れている。停まっているだけでも動き出しそうな気配が漂う理由は、その一貫した狙いにある。
足元はワークが2025年に復活させたVS KF♯を即決で選択
足元の主役は、ワークのVS KF♯(シャープ)である。オリジナルのVS KFは2017年に生産を終えており、再販を望む声が長く続いていた。2025年の東京オートサロンで復刻モデルとしてお披露目され、特徴的なスポークのシルエットを受け継ぎながら、設計そのものは全面的に見直されている。
多くのスポーツカーに選ばれてきた名作の復刻とあって、走りを表現したい“SU-G”さんにとって選択に迷いはなかった。旬のデザインでありつつ、往年のチューニングシーンを知る層にも通じる説得力を備える。張り出したフェンダーの内側に収まる姿は、ミニバンの足元という印象を軽々と飛び越えている。
リアバンパーとマフラーはGT-R(R35)純正、エアロはニスモとインパル
この1台の性格がもっとも凝縮されているのは、リアビューである。エアロは日産車のオーナーになじみ深いニスモとインパルでコーディネートした。そのうえでリアバンパーには、エルグランド純正と日産「GT-R(R35)」純正を切り貼りして1つに仕上げる、いわゆる2コイチ加工が施されている。
さらに4本出しマフラーもGT-R(R35)の純正品でそろえ、社外品を加工した単体のディフューザーを組み合わせた。ミニバンの後ろ姿としては異例の構成で、背後についたクルマからは強い印象を残すはずである。ワイド&ローのフォルムと、スポーツカー由来のリアまわり。この2つがそろって初めて、大柄なボディに刺激が宿る。
約10年乗り続けても変えない純正色オーロラモーヴへのこだわり
“SU-G”さんとエルグランドの付き合いは、約10年におよぶ。
「エルグランドは約10年も乗っているから愛着もひとしお。ここまでイジッてもボディ色は妖艶な純正オーロラモーヴにこだわっている」
ボディの外板をここまで大胆に手直ししながら、色だけは新車当時のまま守り続けている。オールペイントで雰囲気を一新する手もあったなかで、純正色を選び続ける姿勢に長年の愛着がにじむ。光の当たり方で表情を変える紫系のカラーは、張り出したフェンダーの陰影ともよく合っている。
10年という時間をかけて少しずつ手を入れ、いまの形にたどり着いた。流行のパーツを並べるのではなく、日産というブランドが持つスポーティなイメージを軸に据えたからこそ、ミニバンでありながら走りの匂いが立ちのぼる。オーナーが積み上げてきた選択の一つひとつが、会場でひときわ強い存在感を放つ理由になっている。
■日産「エルグランド(E52)」 カスタムメニュー
エクステリア:ワンオフオーバーフェンダー、ニスモ/インパル製エアロ、エルグランド純正とGT-R(R35)純正を組み合わせた2コイチ加工リアバンパー、社外品を加工した単体ディフューザー ボディカラー:純正オーロラモーヴ ホイール:ワーク・VS KF♯(フロント=19×10.5 リア=19×11) サスペンション:エアフォース・エアサス
エキゾースト:GT-R(R35)純正4本出しマフラー