狙いは中国包囲網、トランプ政権は貿易相手国に関税妥協の見返り要求

トランプ米政権は貿易相手国との関税交渉を利用して、中国への圧力を強める準備をしていると、複数の関係者が明らかにした。

  トランプ大統領が相次ぎ繰り出した歴史的な輸入関税を受け、数十カ国が税率引き下げや免除を求めている。米国はその見返りとして、中国製造業の能力を制限する措置を求める方針。中国が米関税を迂回(うかい)できないよう封じ込めることが狙いだという。

  このプロセスを知る関係者によれば、トランプ政権の経済顧問らは貿易相手国代表との会合で、中国と緊密な関係にある特定国からの輸入に関税を課す「二次的関税」の発動を協議している。他の関係者によれば、米政府は中国からの過剰な輸入品を受け入れないよう貿易相手国に求めてもいる。これらの他にも中国に関する関税譲歩案が議論される可能性があるという。

  メキシコ当局者らは中国から輸入する電気自動車(EV)の関税を引き上げるよう、米国から要求があるとみている。メキシコ政府に近い関係者が明らかにした。メキシコ経済省はコメントを控えた。

  ホワイトハウスにコメントを求めたが、返信はない。

  トランプ政権は長年のパートナー国を動員して中国を包囲し、経済慣行の変更を迫る圧力を強める構えだ。こうした試みが結実するかどうかは不明で、一部の外国当局者らは懐疑的な見方を抱いている。

  トランプ大統領自身も今週、FOXニュース・スペイン語放送とのインタビューで、中南米諸国に中国の「一帯一路」イニシアチブと米投資のどちらかを選択させる可能性について問われた際、この構想に言及。 「そうすべきなのかもしれない」と述べた。

  トランプ氏はこれまでも、他国との交渉に直接関与してきた。16日の赤沢亮正経済再生担当相との交渉にも、自ら出席すると表明している。

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  この構想を声高に支持する当局者の一人、ベッセント米財務長官は先週、一部のパートナー国について「軍事的な同盟国としては良好な関係にあるが、経済的な同盟国としては完全ではない」と発言。合意に達する見通しは有望だとみており、「そうなれば一丸となって中国にアプローチできるようになる」と述べた。

原題:US Looks to Box In China by Recruiting Other Trading Partners(抜粋)

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