トランプ関税、欧州鉄鋼業界に深刻な打撃=独ザルツギッター

ドイツの鉄鋼大手ザルツギッターのグンナー・グレーブラー最高経営責任者(CEO)は2日、トランプ米大統領が鉄鋼に課す追加関税を2倍の50%に引き上げると表明したことを受け、米政権の関税政策は欧州の鉄鋼業界に深刻な打撃をもたらしていると警告した。写真は同社の工場で2020年に撮影(2025年 ロイター/Fabian Bimmer)

[デュッセルドルフ/フランクフルト 2日 ロイター] - ドイツの鉄鋼大手ザルツギッター(SZGG.DE), opens new tabのグンナー・グレーブラー最高経営責任者(CEO)は2日、トランプ米大統領が鉄鋼に課す追加関税を2倍の50%に引き上げると表明したことを受け、米政権の関税政策は欧州の鉄鋼業界に深刻な打撃をもたらしていると警告した。

ドイツ鉄鋼協会によると、欧州連合(EU)から米国へ輸出される鉄鋼は約400万トンで、EU域外へ輸出される鉄鋼の約2割を占めており、米国は欧州の鉄鋼業界にとって最も重要な市場となっている。

グレーブラー氏は声明で「米国の突拍子もない関税政策が欧州、特にドイツの経済を強く打ちのめしている」と指摘。米国への輸出品に課される直接的な関税のほか、欧州ではアジアで生産された安価な鉄鋼が増えた結果、EU市場に対する輸入圧力が強まっていると説明した。

欧州市場にはここ数年、アジアで生産された鉄鋼が殺到しており、米国の関税によってこうした傾向が強まると懸念されている。欧州の鉄鋼業界にとっては高いエネルギー価格と並んで大きな頭痛の種となっているのがそのような状況だ。

こうした不安に対応してEUは今年4月1日、「欧州鉄鋼・金属行動計画」の一環として鉄鋼の流入量をさらに15%減らすため鉄鋼の輸入割り当てを厳格化した。

グレーブラー氏は「米国の鉄鋼輸入関税の50%への引き上げに伴って、EU欧州委員会は鉄鋼・金属行動計画に基づいて措置を講じる取り組みを加速すべきだ」と訴えた。

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