「ヘッドライトがまぶしいクルマ」なぜ増えた? すれ違っても停まっても「ハイビームのまま」… どうして消してくれないの! 大迷惑な「幻惑運転」が増加した理由は
- 2025.07.20
- くるまのニュースライター 本山かおる
街中で「ライトがまぶしい」と感じる機会が増えたのは、どういう理由があるのでしょうか。
「目が眩んだ…」 まぶしくライトが増えた原因
近頃、夜間にクルマを運転していると、対向車のヘッドライトがまぶしいと感じることが増えていませんか。
その背景には、さまざまな要因が考えられます。
クルマのヘッドライトは、長らくハロゲン式が一般的でした。しかし、時代とともにライトも進化しており、安全性の追及からより明るいものが開発され、採用されています。
2000年代に入るとハロゲン式のやや黄色っぽい光から、HIDランプ(キセノンランプ)が登場したことで青白い色が主流となり、さらに現在ではより明るく、効率のよいLEDランプが普及しました。
LEDは、フィラメントが熱せられて光を放つハロゲンランプとは異なり、素子(チップ)がそのまま光るため、ある一定の方向に照らしやすい(指向性が高い)という特性があります。色味もほぼ白に近く、視認性はいいものの、鋭く感じる傾向にあります。
また、近年のクルマはこうした「ライトそのものの進化」だけでなく、背が高いクルマが増えたこともライトがまぶしいと感じる要因のひとつです。
かつてはセダンがクルマの基本形でしたが、1990年代から多人数乗車可能なミニバンが大ヒット。現在も両側スライドドアと高い全高を持ち、セダンに比べると車体の大きいミニバンが新車販売ランキングでもトップクラスを占めています。
そして近年ではアウトドアブームなどから、地上高をアップし悪路走破性を向上させたSUVが人気を獲得しています。
ともに、従来からの基本スタイルを保つセダンやステーションワゴンよりも、ヘッドライトが高い位置となる傾向があります。
もちろん、ヘッドライトには光り方や明るさの基準が定められているものの、ある程度クルマから離れた地点での照射が基準のため、例えば信号待ちなどで前のクルマに接近する場合など基準とは違うシーンでは、背の高いクルマがまぶしく感じることがあります。
さらに、「ライトの使い方のルール」も変わりました。
2017年3月に道路交通法が改正され、ライト点灯は「原則的にハイビームを使う」が基本方針となりました。教習所の指導でもハイビームの使用を原則とするようになったようです。
こうしたこともあってか、ライトを点灯させて走るシーンでは、ハイビームのままになっているということも考えられます。
ただし原則ハイビームとはいうものの、道路交通法では街中など対向車や前走車がいる場合に、ライトを減光するか下向き(ロービーム)に切り替えなければならないというルールは変わっていません。
遵守しなければ「減光等義務違反」などの交通違反の対象になり、悪質な場合は妨害運転(あおり運転)として罰せられる可能性があるため、必要に応じて切り替え操作をしなくてはなりません。
こうしたルールの変更も、たまにしかクルマに乗らない人には理解できない部分もあるのかもしれません。
また、ライト自体が高機能化したことにより、ライトそのものに無関心な人が増えているという見方もあります。
現在販売される新車は、「オートライト」の装着が義務化され、また多くのクルマで「オートハイビーム」「アダプティブハイビーム」など、自動でライトを切り替える便利機能も採用されています。
これらの便利装備がない頃は、すべてライトを自分で切り替えるのが当たり前でしたが、機能が普及したことで、「機械任せ」になっている人もいるのかもしれません。
そのためハイビームのままになっていても気づかずに走行し、知らず知らずのうちに周囲に迷惑をかけているのです。
※ ※ ※
ライトは明るく、遠くを照らすことができれば、夜間や暗所で危険を早期発見することにつながります。
そのいっぽう、すれ違うクルマや信号待ちで止まっている対向車、前を走っているクルマに対しては、状況によってはまぶしいと感じさせてしまうことが少なくありません。
なかには、ライトの不適切な使い方であおり運転を誘発したという事件もあるので、今一度、ライトの使い方を見直してみるのはいかがでしょうか。
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