トランプ関税は適法?近く最高裁判決か 敗訴見越し1千社が提訴も
ワシントン=榊原謙
トランプ関税が適法か争われた訴訟で、米連邦最高裁は9日午前(日本時間同深夜~10日未明)にも判決を出す可能性がある。下級審では違法判決が相次いでおり、政権幹部からも敗訴を視野に入れた発言が出る。政権側の敗訴を見越して、支払った関税の還付を受けようと米政府を訴える企業も続出。すでに1千社以上が提訴したとの報道もある。
ベッセント米財務長官は8日、政権に不利な判決が出る可能性について問われ、「ほぼ同じ水準の関税を引き続き徴収できる我々の能力に疑いの余地はない」と主張した。
米税関・国境取締局(CBP)によると、トランプ氏が大統領に復帰した昨年1月からの12カ月間で、米政府は2千億ドル(約31兆円)以上の関税収入をあげた。
仮に判決で現在の関税措置が否定されたとしても、別の根拠法への差し替えなどで関税政策自体は継続できるというのがベッセント氏の見立てだ。
一方でベッセント氏は、「大統領は、国家安全保障と交渉上の『テコ』の両面で、関税を利用する柔軟性を失う」と懸念も口にした。
看板政策の「相互関税」などの発動根拠となっている国際緊急経済権限法(IEEPA)は、大統領が緊急事態を宣言すれば、関税をかける権限を大統領に与えるとトランプ氏らは解釈する。だが一、二審はいずれもこの解釈を否定。最高裁でも厳しい判断が出る可能性がある。
違法の場合、徴収した関税どうなる?
大統領が関税をかける権限を明確に認めた法律の多くは、関税の発動までにいくつもの要件を設け、大統領に縛りをかけている。
トランプ氏はIEEPAを根拠に大統領令だけで機動的に関税をかけ、それが各国との貿易交渉を有利に進める「テコ」になってきた。ベッセント氏は、政権が敗訴した場合、そうした「柔軟性」はもはや望めなくなるとの見方を示唆した。
違法判決が出た場合には、米政府によって徴収済みの関税の扱いが焦点になる。
米ブルームバーグ通信は、これまでに1千社以上が米政府を相手取って、関税の還付を求める訴訟を起こしたと報じた。豊田通商や住友化学などの日本企業も含まれている。
ロイター通信は昨年12月14日時点で、約1330億ドル(約20兆円)が還付の対象になると伝える。トランプ氏はこれまで、公約である大型減税の財源として関税収入を挙げていた。巨費の還付を迫られれば、米連邦財政のさらなる悪化は避けられない。
最高裁は、審理中の一部案件について、9日に判決を出す方針を明らかにしている。具体的にどの案件かは明示していないが、米メディアは関税訴訟の判決が出る可能性があると相次いで報じている。
◇
複数の米メディアは9日午前(日本時間10日未明)、最高裁は同日には関税訴訟の判決を出さない見通しだと相次ぎ報じた。
この記事を書いた人
- 榊原謙
- アメリカ総局|米国経済担当
- 専門・関心分野
- 米国経済、世界経済
トランプ米大統領の高関税政策が衝撃をもたらしています。金融市場は動揺し、貿易摩擦は激しさを増しています。世界経済は危機に向かうのか。暮らしにどんな影響を与えるのか。最新ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]