大学の無償化は? 県と市町の連携は? 兵庫知事選の立候補予定者に、灘高生と関学生が聞く

兵庫県知事選の立候補予定者の政策に耳を傾ける灘高生(手前2人)と関西学院大生=24日、西宮市上ケ原一番町、関西学院大

 前知事の失職に伴う兵庫県知事選(31日告示、11月17日投開票)を前に、高校生や大学生が立候補予定者に疑問をぶつける「知事選ミーティング」が関西学院大(西宮市)で開かれた。学生たちはリーダーの在り方や県政の行方について、自分なりに考えた質問を投げかけた。

 神戸新聞社が同大と灘高(神戸市)の協力を得て24日に実施。参加締め切りまでに立候補を表明した人が出席した。前知事の斎藤元彦氏(46)のほか、病院院長の大沢芳清氏(61)、前尼崎市長の稲村和美氏(51)、参院議員の清水貴之氏(50)、元経済産業省官僚の中村稔氏(62)。

 同大の授業の一環として、選挙に関心を持ってもらう企画として行った。同大の学生2人と灘高の生徒2人が、県を発展させるために市町との関係構築をどうするかや、行財政改革の方向性など計6問を質問。学生ら約300人が立候補予定者の訴えに耳を傾けた。

 灘高2年の佐藤統さん(17)は県立大で進む授業料無償化の今後について質問。大沢氏は「県立大の全学生の授業料を無償化する」と話し、給付型奨学金での支援も表明した。清水氏は、県外での進学や就職で流出を避けるため、「兵庫に残ってもらうための給付型奨学金を拡充する」。稲村氏は無償化の対象が限定的なので「より多くの学生を支援する制度に見直す」と話した。

 斎藤氏は国公立大などの授業料軽減に向け、「先駆けとして兵庫県が動くことが大事」と強調。中村氏は「経済的な理由で夢を諦めることがあってはならない」と、返済不要の奨学金制度を創設するとした。

大学生の前で自身が思い描く県政について語る兵庫県知事選の立候補予定者ら=24日、西宮市上ケ原一番町、関西学院大

 関学大2年の越智優介さん(20)は県と市町との連携についてただした。斎藤氏は知事時代の経験を踏まえ、「現場の声を県政に反映する」と強調。中村氏は「知事と市町長、担当者の重層的な連携を構築する」と語った。

 大沢氏は教育や医療の無償化に向けて、「地域特性を加味して市町を支える」と訴えた。清水氏は「まちづくりを進めるパートナー」と位置付け、農作物の販路拡大などを県が進めるとした。稲村氏は市町で異なる課題解決するため、「財政力などに応じ、市町が使い道を決める交付金制度をつくる」と述べた。

立候補予定者に質問をぶつける学生ら=24日、西宮市上ケ原一番町、関西学院大

 ミーティング終了後、質問や運営に携わった学生らが感想を語った。知事のリーダーシップについて質問した灘高2年の篠田有希さん(16)は「テレビの画面越しに見る姿とは異なり、緊張感や県政への思いを肌で感じた。公約集などの文面だけではなく、人そのものを知るべきだと思った」と指摘。「政策や主張など基本的な情報はメディアで知ることができるが、自分の考え方に基づいて調べていくことも大事」と話した。

 行財政改革などについて尋ねた関学大2年の井浪遥さん(19)は「知事、市長、医師、官僚、民間企業などさまざま経験があるからこそ、多様な視点で議論が進んだ」とし、「県庁内部の問題の解決方法もアプローチの仕方が異なるし、官民連携を進める重要性も納得できた。有意義な時間だった」と手応えを語った。

多くの大学生らが耳を傾けた兵庫県知事選ミーティング=24日、西宮市上ケ原一番町、関西学院大

 司会進行を務めた同2年の塩入美月さん(20)は「県政や知事選について向き合うことができた。県民でありながら、立候補予定者が話す内容には知らないことも含まれていた。ミーティングを参考にして投票したい」と話した。(門田晋一)

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 知事選ミーティングの録画映像は告示日まで公開します。

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