ロシアで兵士の報酬増、3倍の400万円も 人員不足に対応

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ロシアがウクライナ侵略に参加する志願兵の確保に向け、入隊した際に支給される一時金を増額する動きが相次いでいる。ロシア軍はウクライナの前線で犠牲をいとわず攻勢を強めており人員不足を補う狙い。兵士の死亡後に遺族には保険金なども支払われており、地方などの消費押し上げにつながっているとの見方も出ている。

ロシア紙コメルサントによると、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州に隣接するベルゴロド州は10月、志願兵である契約軍人に支払う一時金を従来の3倍超となる260万ルーブル(約400万円)に増額した。2023年のロシアの平均月給の約35倍にあたる。

一時金は政府からの支給額に各地の当局が上乗せして支払う仕組みで、州などの連邦構成体ごとに異なっている。

クルスク州では住民が避難する状況が続き、ロシア軍だけでなく北朝鮮からの兵士派遣が伝えられるなど、ウクライナとの戦闘が激しさを増している。ベルゴロド州は一時金の大幅な増額でウクライナ軍との戦闘に参加する兵士の確保を急ぐ狙いとみられる。

メドベージェフ安全保障会議副議長は7月時点で、年初から19万人の兵士が契約したと表明した。1日あたり契約軍人を1000人程度のペースで増やしているもようだ。

多くは生活水準の低い地方での採用だとみられる。ウクライナでの「特別軍事作戦」に参加する兵士の月給は23年に従来比1割超増となる月額21万ルーブルからに引き上げられた。

各地では契約軍人に支払う一時金を相次いで増やしている。コメルサントによると、ベルゴロド州のほか北極圏のヤマロ・ネネツ自治管区などで増額が相次いでおり、金額は一段と高額になっているもようだ。

首都モスクワのソビャニン市長は7月、契約軍人の一時金として190万ルーブルを支払うと発表していた。独立系メディアは8月、州当局などが支払う一時金の額が同月時点で年初比で約4倍に増えたと報じた。

今後の停戦交渉も視野に、ロシア軍は犠牲をいとわずウクライナ東部ドネツク州などで攻勢をかけている。死者数は足元で拡大基調が目立っており、英BBCなどは今月、ロシア軍の兵士の死者数は7万8000人以上に上ると伝えた。

死亡した兵士の遺族には政府が支払う死亡一時金のほか、保険会社からの保険金などが支払われる。独立系メディアは遺族が受け取る金額について1000万ルーブル超に達する場合があると伝えている。

契約軍人の増加や死傷者の拡大に伴って「動員された兵士の給与や死傷者への支払いに充てられる一時金が国内消費を押し上げている」(ロシアの経済専門家)との見方が出ている。欧州ビジネス協議会(AEB)の集計によると、ロシアの1〜9月の新車販売台数は前年同期比で58%増えた。

兵士の確保に関わる費用の増加が国防費の押し上げにもつながっているとみられる。ロシア下院に提出された25年予算案によると、国防費は24年比で25%増の13兆5千億ルーブルとなっている。

ロシア側は認めていないが、北朝鮮はクルスク州での戦闘に1万人以上の兵士を派遣し、ウクライナとの交戦に本格的に加わったもようだ。韓国メディアはロシアが北朝鮮兵士に月額約2000ドル(約31万円)を支払うと今月報じた。北朝鮮兵士の派遣でロシア財政への一段の重荷となる可能性もある。

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