【焦点】米CPI、5月やや加速の見通し-関税転嫁が消費者に及ぶ
11日に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)は、物品を中心にやや加速したとみられる。企業が輸入関税のコストを段階的に消費者に転嫁しつつあるためだ。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは5月に前月比0.3%上昇と、4カ月ぶりの大きい伸びとなる見通し。4月の0.2%上昇から加速することになる。
基調的なインフレを示す指標として重視されているコア指数は、前年比でも伸びが拡大すると見込まれている。エコノミスト予想中央値では、前年同月比2.9%上昇する見通しだ。
5月のCPIは、翌12日に発表される生産者物価指数(PPI)と共に、17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前にインフレ動向や関税の影響を評価する上で重要な判断材料となる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー、エステル・オウ、クリス・コリンズ各氏は「われわれとしては、5月のCPIがソフトな結果になると見込んでいる。裁量的サービスの伸び悩みが財の値上がり分を上回るとみている」と指摘した。
「直近のベージュブックで示唆された通り、一部の企業は関税コストを転嫁しつつある。家具や衣料、自動車部品といった分野では部分的な転嫁も見られるが、航空運賃は大幅に下落しており、ホテルや娯楽サービスも減速傾向にある」と分析した。
トランプ米大統領が利下げを強く求めているにもかかわらず、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局は、通商政策による景気やインフレ、労働市場への影響を見極める時間はあると示唆している。
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週間の新規失業保険申請件数も労働市場におけるストレスを巡る兆候を見極める材料として注目される。5月最終週の申請件数は昨年10月以来の高水準となった。一方、6日発表された5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びがやや鈍化したものの、なお堅調であることが示された。
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原題:US Inflation to Tick Higher as Tariffs Reach Consumers: Eco Week(抜粋)