米商務長官「中国には下の下のものを売っとけばいい」→中国激怒でNVIDIA H20を全力ボイコット
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、100万ドル(1億4800万円)払ってトランプのマール・ア・ラーゴの晩餐に出て、やっとまとめた禁輸解除がおじゃんに。
同社が中国向けに開発したAIアクセレレータ「H20」がまた、きな臭いことになってきました。
対中輸出禁止措置で4月から手足をもがれた状態だったのが、フアンCEOの米政府への働きかけが実って7月にやっと禁輸が解除されたところまではみなさまも知っているのではと思います。AMD同様、対中売上の15%を米政府に上納するという前代未聞の変則技がいろいろ物議をかもしたので。
しかし、ホッとしたのも束の間。解除の翌日にハワード・ラトニック米商務長官がCNBCのインタビューで、こんなことをベラベラとまくし立てていたのです。
米国は中国に(NVIDIAの)ベストなチップは売らない。2番目も、3番目も売らない。4番目の三流品を売っとけば充分だ。
中国のデベロッパーがアメリカ産テクノロジー中毒になる程度のものを売ればそれでいい。それが我々の考え方なのだ。(ハワード・ラトニック米商務長官)
これには中国もカンカンです。政府から中国国内ハイテク各社に「NVIDIAのチップは全力で使うなよ」という通達が行き渡る事態となりました。黙って売ってれば米政府も大儲けできたものを、何をやってるんだこの人は...。
勧告であって命令ではないのですが、中国政府のなかからは「NVIDIA製品の全面BAN」を求める話も出ているようす。それもこれもラトニック商務長官の上記暴言が直接の引き金だったと、Finantial Timesは報じています。
問題発言の報道の翌日には「NVIDIA、H20の製造見合わせか」という悲報も入ってきちゃったし…。なんだか先が読めない状況に逆戻りです。
米中AI戦争の泥沼
「トランプ、金払ったら解除できる規制ってなんだよ」から始まり、「AIは中国がリードするのでは?」という不安から一転、中国政府からNVIDIAボイコットを指示されるなど、GPUを巡っては、金、AIイニシアティブ、安全保障と政府それぞれの思惑がうずまきまくってます。
トランプは、「金を払ってくれるなら細けえことはいいんだよ」に見えて驚きですが(一応「上納金は米政府の借金返済に充てる」と言っている)、 中国には、GPUは欲しいもののNVIDIAにあんまり頼りすぎちゃうと命綱を握られる葛藤を感じます。政府インフラや軍事用に米産GPUを使って、あとで居場所を追跡されたり遠隔シャットダウンされたら…という不安がどうしても拭い切れないんでしょう。
もちろんNVIDIAは、「うちの製品にはトラッカーもバックドアもありません!大丈夫!」と完全否定しているわけですが、いくら不安をなだめて、米中政府の言うことを辛抱強く聞いて気に入られるように動いても、けっきょくは板挟み。うまくいきませんね…。
板挟みといえばインテルのリップ・ブー・タンCEOも似たり寄ったりの状況です。氏はマレーシア華僑の家に生まれてシンガポールで育ってMITで博士号をとって米国に帰化した辣腕企業家なのですが、「アジアのVCのパイオニア」として数多くの中国半導体メーカーに出資してきた前歴が災いして、今月SNS上で「インテルのCEOはクビだ!」とトランプに一方的に書かれて大騒ぎになりました。
トップに難癖付けて揺さぶりかけてるなーと思ってたら、いつの間にか「米政府がインテル株の10%を買って筆頭株主になる」って話になっててビックリ(孫正義会長がソフバン元社外取締役のタンCEOに助け舟を出した。これまた前代未聞の変則技で賛否あり)。するとコロッと手のひら返したように、トランプがタンCEOを絶賛していて二度ビックリ。
以上の騒ぎがNVIDIA騒動とほぼ同時進行で起こってるっていうね…。ほんと、ビックリマークが何個あっても追いつきません。