「挨拶したのに無視される」そんな不愉快なことが起きても愉快でいられる人が知っている人生で重要な思考習慣 脳はイヤなことはさっさと忘却するようなメカニズムになっている

いつも人生が楽しそうな人の思考習慣は何か。心理学者の内藤誼人さんは「タモリさんが、いつでも飄々としていられるのは、イヤなことはさっさと忘れるタイプだからだろう。人生を楽しく生きるには、週末に何をするかだったり、夕飯に何を食べようかと考えたりすることが大切だ」という――。

※本稿は、内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/praetorianphoto

※写真はイメージです

タモリさんと「知性に関する5つの要素」の類似点

タモリさんは知的なイメージのある人ですが、実際に知的な人なのだろうと思います。なぜなら、普通の人にとっては「くだらない」と一蹴されてしまうようなことでも、面白いと感じるからです。

「どんなものでも面白がり、どんなものでも楽しめる、これは知性が絶対必要だと思う」 (『an・an』 1984年9月21日号 p73)

なんにでも興味を持って、どんなことも面白がる心を持つことが知性なのだとタモリさんは考えているようですが、カナダにあるランガラ大学のジェフリー・ウェブスターも「知性」に関してはつぎの5つの要素が重要であると指摘しています。

●経験……いろいろな経験をすること ●感情……自分の感情に敏感であること ●レミニセンス……これまでの経験に照らせば、今の状況でも大丈夫だと思えること ●オープンさ……新しいことに積極的に取り組むこと

●ユーモア……失敗しても笑い飛ばせること

タモリさんの定義と非常によく似ていることがわかります。

どんなにくだらないと思うようなことでも、積極的に取り組んでみることです。「そんなの時間と労力のムダだよ」と考えるのではなくて、なんでもやってみるのはよいことです。

どんなことをしても、そこから必ず何かを学び取ることができ、それが自分の知性を高めてくれるのですから。


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エッセイストの麻生圭子さんは、テレビに出てくるタレントについてつぎのような指摘を行なっています。

「最近のテレビ、躁病にかかってる。うるさすぎ。5人に1人はうつ病と言われるような実社会なのに。そんななかにおいて、実社会の温度を持つタモリさんは、見ている側に、安心感を与えてくれている、サーモスタットのような存在なんです」 (『THE21』 2002年11月号 p48)

私も麻生さんと同じような印象を持っています。とにかく、テレビに出てくる人たちはうるさすぎるのです。出演する人たちは、おそらく目立ちたいと思っているからでしょうか、みんなうるさい話し方をしています。

それと好対照なのがタモリさん。

時折、大きな声で笑ったりすることもありますが、基本的には静かな物腰でおしゃべりしています。ですので、タモリさんを見ていると、こちらも落ち着くのです。

ある程度の年齢がきたら、大きな声で喚くような話し方をするのではなく、静かに、落ち着いた声で話すようにしたほうがいいですね。そのほうが大人に見てもらえます。

一般に、内気な人と、社交的な人を比べると、内気な人は人気がなさそうに思われるかもしれませんが、それは違います。内気だからといって嫌われたりすることはありません。

声が高いなら、できるだけ低く抑えて話してみる

カリフォルニア大学バークレー校のダッチャー・ケルトナーは、モジモジしたり、赤面したり、内気な人のほうが、人付き合いでトクをすると指摘しています。

なぜかというと、内気な人は、相手を警戒させないから。

私たちは、内気な人を見ると、「この人は自分に乱暴なことをしてこないだろう」と思うので、警戒したり緊張したりすることもありません。安心できるのです。

内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)

大きな声で喚き散らす人に対しては、私たちは警戒します。大きな声を聞くと、「ビクッ」として身体を緊張させるのです。ですので、そういう人の近くにいるときには、気が休まらないのです。

タモリさんは、内気ではありませんが、グイグイと前に出てくるようなタイプではありませんし、落ち着いた話し方をするのでやはり見る人を安心させてくれます。

英国のサッチャー元首相は、もともとはキンキンと耳鳴りがするような話し方をしていたそうですが、国民からの支持を得るためにボイストレーニングを受けて落ち着いた話し方に変えました。

声が高い人は、できるだけ低く抑えて話すようにしてみましょう。そのほうが意外に人気も出てくるかもしれませんよ。

タモリさんの教え ある程度の年齢がきたら、できるだけ落ち着いた声で話すようにする

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