トランプ氏、ホームレス排除へ大統領令署名 支援団体は批判

 7月25日 トランプ米大統領は24日、ホームレスが生活する野営地を撤去し、ホームレスをケア施設に移動させるよう都市や州に求める大統領令に署名した。写真は2024年12月、ロサンゼルス市スキッド・ロウで撮影(2025年 ロイター/Daniel Cole)

[ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米大統領は24日、ホームレスが生活する野営地を撤去し、ホームレスをケア施設に移動させるよう都市や州に求める大統領令に署名した。

ホームレス支援団体からは問題の悪化につながるとの批判が出ている。

大統領令では、自治体によるホームレス野営地の撤去を制限する州・連邦の判例や同意命令を覆すようボンディ司法長官に指示している。司法長官がそうした決定を一方的に撤回できるかどうかは不透明。

連邦最高裁は昨年、自治体がホームレス野営地を禁止できるとの判断を示した。

全米ホームレス連合は、今回の大統領令について、ホームレスや精神疾患を抱える人々の法的保護を損なうと非難している。

トランプ氏は、野営地で生活するホームレスを精神疾患や依存症の治療施設に送るべきだと主張。治療施設の拡大や長期的な居住施設の提供については言及しなかった。

連邦省庁間ホームレス対策評議会によると、昨年ホームレスを経験した人は全米で77万1480人と、前年比18%増加した。

専門家によると、米国でホームレスが急増したきっかけは1960─70年代に地域医療を優先するため、精神病院が閉鎖されたことにある。予算不足などで地域医療への移行が十分に進まず、重度の精神疾患を持つ多くの人々がケアや住居を失ったという。

また、手頃な価格の住宅の不足が深刻なことや、貧困の増加、公営住宅支援プログラムの削減も原因とされている。

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