【米国市況】株が足踏み、ハイテクに売り-9月利下げ観測は崩れず
米株式相場は下落。4月の相場急落後に反発の原動力となってきたハイテク株が売られた。国債相場とドルは総じて小動き。
株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 6460.26 -41.60 -0.64% ダウ工業株30種平均 45544.88 -92.02 -0.20% ナスダック総合指数 21455.55 -249.61 -1.15%前日に過去最高値を更新していたS&P500種株価指数は0.6%下落。ハイテク銘柄の比重が高いナスダック100指数は1.2%下げた。S&P500種は月間ベースでは4カ月連続の上昇。
この日は半導体エヌビディアの下落が目立った。デル・テクノロジーズも大幅安。前日発表の決算で人工知能(AI)向けサーバーの販売が前期を下回り、この分野の利益率もアナリスト予想に届かなかったことが嫌気された。AIインフラ関連株も軟調。マーベル・テクノロジーの業績見通しがデータセンター機器需要への懸念を強めた。
ナベリアー&アソシエーツのルイス・ナベリアー氏は「8月も終わりを迎え、株式相場は歴史的に1年で最も厳しい月に入ろうとしている」と指摘。「慎重姿勢を取るのが賢明だろう。ただ、押し目買いが繰り返し奏功してきたことを踏まえれば、その状況も長くは続かないかもしれない」と付け加えた。
市場の方向性を決める主因となるのは一般的にマクロ要因だが、経済指標や金融政策に端を発する値動きは、季節要因によって増幅されることがある。この日発表された7月の米個人消費支出(PCE)統計では、消費支出が4カ月で最大の伸びとなった。根強いインフレの中でも底堅い需要が続いていることが示唆された。
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来週には、年内の米利下げペースを見通す上で重要な手掛かりとなる雇用統計の発表が控えている。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのジェニファー・ティマーマン氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の間でハト派的な発言が強まっていることを踏まえると、9月5日発表の雇用統計が極めて強い内容とならない限り、9月連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げは有力だとみている」と述べた。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、政策当局者が近く利下げに踏み切る用意があることを示唆し、関税によるインフレは一時的なものにとどまる公算が大きいとの見解を示した。
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7月PCE統計では、金融当局がインフレ指標として重視する食品とエネルギーを除くコア価格指数が前月比0.3%上昇した。前年同月比では2.9%上昇と、2月以降で最大の伸びとなった。
eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は「良いニュースとしては、予想通りの数値だったことで現状維持が続く可能性が高く、9月利下げの可能性が残る点だ」と指摘。「一方で悪いニュースはインフレがじわじわと上昇を続けていることであり、これはFRBが本来望むような利下げ環境とは言えない」と語った。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのエレン・ゼントナー氏は「FRBは利下げに道を開いたが、その度合いは労働市場の弱さがインフレ上昇よりも大きなリスクと映り続けるかどうかに左右される。PCE価格指数が予想通りの結果となったことで、焦点は雇用市場に移った。現時点では9月の利下げが有力との見方がなお優勢だ」とした。
国債
米国債相場はまちまち。短期債利回りは低下した一方、中長期債利回りは上昇した。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.93% 5.1 1.04% 米10年債利回り 4.23% 2.5 0.60% 米2年債利回り 3.62% -1.0 -0.28% 米東部時間 16時31分インフレ指標として米金融当局が重視するPCE価格指数の発表後も、年内2回の利下げが早ければ9月から実施されるとの見方は崩れていない。インフレ率は依然として当局目標の2%を上回っているが、労働市場の減速リスクを当局が懸念しているとの見方が背景にある。
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シット・インベストメント・アソシエーツのブライス・ドティ氏は、9月の「利下げを引き続き最有力シナリオとするのに十分なほどコアPCE価格は穏当な内容だった」と指摘。「2年債利回りは極めて低い水準にあり、市場はFRBの行動をほぼ確実に織り込んでいる」と語った。
金利スワップ市場は、9月17日のFOMC会合で0.25ポイントの利下げが決まる可能性を約80%織り込んでいる。年末までには計55ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが見込まれている。
ドティ氏は9月5日に発表される8月雇用統計が弱い内容となれば、9月に「0.5ポイントの利下げが議論される可能性もある」と付け加えた。
短期債利回りは週間ベースでも低下。これについてTDセキュリティーズのモリー・ブルックス氏は、その大半はトランプ氏によるクックFRB理事解任要求と今後のFRBの独立性を巡る懸念によって生じたものだと語った。
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為替
外国為替市場ではドルが上げを消す展開。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は小幅安となった。
円相場は米経済指標を消化しながら、1ドル=147円を挟んだ値動き。ニューヨーク時間午前の取引では1ドル=147円40銭台まで下げる場面もあった。
為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1200.86 -0.34 -0.03% ドル/円 ¥147.01 ¥0.08 0.05% ユーロ/ドル $1.1695 $0.0012 0.10% 米東部時間 16時31分ブルームバーグ・ドル・スポット指数は今月、月間ベースで1.7%安となった。7月は2.7%高と、トランプ大統領が1月に政権2期目を開始してから初めて月間ベースで上昇していた。
ウォール街ではドルの軟調な展開が続くとの予想が強い。米経済に減速の兆しが一部で表れ、利下げ観測が高まっているためだ。さらに、トランプ大統領がFRBの信頼性や経済統計の正確性に疑義を呈していることも、ドルの魅力を一段と損ねている。
TDセキュリティーズの通貨ストラテジスト、ジャヤティ・バラドワジ氏は26日付のリポートで、「FRBや労働省労働統計局(BLS)といった機関の運営に米政権が継続的に干渉すれば、これらの機関の信頼性を損なう」と指摘。「こうした動きは安全資産としてのドルの地位を一段と弱め、リスクプレミアムがドルの重しとなるだろう」と記した。
「われわれは米国資産については前向きだが、ドルについては異なる」と語るのは、モルガン・スタンレーのクロスアセット戦略調査グローバル責任者セリーナ・タン氏だ。「米国の金融市場は規模と流動性の点でなお比類ない存在だ。しかし、政策の不透明感が高まることで、外国投資家は為替ヘッジ比率を高める方向に動き、ドルには下押し圧力がかかるだろう」と同氏は述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は反落。月間ベースでは4月以来の下落となった。供給過剰の見通しに加え、ウクライナ戦争終結に向けた米国主導の取り組みなど、地政学問題が材料視された。
原油は8月に入り、軟調地合いに転じた。今後数四半期に世界の供給が需要を上回り、在庫が積み上がるとの警戒が背景にある。
この日発表された8月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確報値)は3カ月ぶりの低水準となった。関税措置に伴う経済見通しとインフレへの懸念がくすぶっている。
市場はウクライナ情勢およびロシア産原油のフローに変化が生じる可能性にも注目している。米国は今週、インドがロシア産原油を購入していることを理由に、対インド関税を50%に引き上げた。
原油は年初来では11%下落。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が生産拡大に動く中、トランプ大統領の貿易戦争がエネルギー消費に悪影響をもたらすと懸念されている。
ダンスケ銀行のストラテジスト、イェンス・ナービグ・ペデルセン氏は「米経済成長を巡る懸念がある中で、市場に流入するOPECプラス産原油は増えており、供給は潤沢な状態が続いている」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)10月限は前日比59セント(0.9%)安の1バレル=64.01ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は0.7%下げて67.48ドルで終えた。この日期限を迎えたブレント10月限は0.7%安の68.12ドル。
金
金相場は続伸。トランプ大統領によるクックFRB理事解任を巡る法廷闘争が繰り広げられる中、FRBの先行きなどが意識された。
この日はクック理事解任に関する裁判所の緊急審理が開かれた。トランプ氏のこうした前例のない試みで、FRBの独立性には一段の疑問が投げ掛けられている。FRBの独立性はインフレ抑制と経済成長のかじ取りという観点で、金融市場に不可欠とされる。米金利政策は金市場の方向性を左右することが多い。
バファロー・バイユー・コモディティーズのマクロ取引責任者フランク・モンカム氏は、「FRBや制度全般の独立性を巡るリスク関連という、もう一つの地政学的不確実性が、金への資金流入を促している」と指摘。9月に各国中銀による金購入が増えるとの期待も、相場を支えたと述べた。
この日発表されたPCEコア価格指数は、当局が目標とする水準を依然として大きく上回り、根強いインフレを示した。ただし市場では、9月に利下げが実施される可能性は高いとの見方が続いている。
金は政治や経済の混乱時における逃避先資産とされ、金利低下の環境で恩恵を受ける傾向がある。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時22分現在、前日比26.06ドル(0.8%)高の1オンス=3443.14ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、41.80ドル(1.2%)高の3516.10ドルで終えた。
原題:Stocks Hit by Tech Rout Before September Challenge: Markets Wrap
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