「習プット」歓迎の中国株投資家-トランプ関税で揺れる米株と対照的

中国の習近平指導部による景気てこ入れやイノベーションの推進を受け、中国株の値上がりは今後も続き、動揺する米国株に対してリードを広げるとの見方が広がっている。

  フランクリン・テンプルトン・インスティテュートはいわゆる「FRBプット」に似た「習プット」が浮上しているとみている。中国の国内総生産(GDP)成長率目標は今年も5%前後と野心的で、当局は達成に向けて市場を後押しする措置や追加の刺激策を展開するとの見方だ。一方、米国ではトランプ大統領の関税政策で、リセッション(景気後退)懸念が拡大し、超大型株は大きく下げている。

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  習プットという考え方は、海外からの資金流入をここ数年鈍らせていた権力を持つ習氏に対する投資家の認識が大きく変化したことを示している。それとは対照的に「トランプ・プット」の期待は急速に後退しつつある。

  MSCI中国指数が年初来で20%近く上昇する一方、S&P500種株価指数は同期間で約4%下落しており、このままいけば四半期ベースで2007年以降最も大きなアウトパフォーマンスとなる方向だ。中国で消費喚起に向けた新たな施策が見込まれ、利益回復の兆しも見えてきたことから、JPモルガン・チェースやテンプルトンは、今後数カ月でテクノロジーセクター以外にもラリーが広がると予測している。

  メイバンク・セキュリティーズで機関投資家向け株式セールストレーディング責任者を務めるコクフン・ウォン氏は、「中国当局がこの機会を捉えて経済全般を刺激し、株高を広げようとしているとみられる点を考えると、『習プット』という表現がふさわしい」と話す。

  しかし、長年の中国ウオッチャーにとっては、見劣りする同市場の実績が警戒すべき理由となっている。

  最近の呼びかけにもかかわらず、習氏は数年にわたる民間セクターの締め付けや不動産危機を引き起こした過剰債務削減の取り組みによって打撃を受けたグローバルなロングオンリー・ファンドを取り戻すには至っていない。2月の消費者物価指数(CPI)がマイナスに転じたことは根強いデフレ圧力を示しており、一部の投資家は民間部門に力強さが戻ることを期待している。

  だが、強気の勢いが増す中で、投資家が中国の政策発表や経済データに対して前向きに反応しつつあることは明らかだ。

  JPモルガンのアジア責任者でグローバル新興国株式戦略共同ヘッドを務めるラジブ・バトラ氏は12日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、中国株高は第2四半期以降に広がるとし、生活必需品や不動産、ヘルスケアなどの銘柄が有望だと指摘。「中国には万一に備えた資金もあることを忘れてはならない」と述べた。

原題:Chinese Stock Investors Embrace ‘Xi Put’ Just as Trump Roils US(抜粋)

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