「逃げない」生源寺龍憲の明確な目標 ウィニングショットは最難関ホールで

◇国内男子◇ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品 最終日(28日)◇西那須野CC(栃木)◇6956yd(パー71)

ジャパンゴルフツアー選手会の主催大会は5年目のことし、パー5(567yd)だった16番ホールをパー4(487yd)に変えた。18ホールのうち昨年4番目にやさしかった(対パーで-0.406)ホールは、いきなり最難関に(+0.205)。開幕前から多くの選手がキーとにらんだ終盤の勝負所で、生源寺龍憲は逃げなかった。

手前を除く三方が池に隣接するスリリングなグリーン。3組前を回った大岩龍一と首位で並んでこのホールを迎えた生源寺は左ラフからの2打目を強いられた。奥側の低い段に切られたピンまでは残り160yd。PWでものせられる距離ではあったが、手前の段で球が止まることを警戒して9Iを握った。

「段を越えるまでが145ydくらい。上(手前)の段にクッションさせて、リリースさせたかった」とボールは狙い通り、着弾後にスロープを伝ってカップの左2mへ。「向かい風のジャッジも、距離感も良かった。流れをつかむセカンドショットになりました」。この日6つ目のバーディをもぎ取って一歩前へ。1打差の2位スタートから、ノーボギーのまま「65」で通算23アンダーとし、プロ初勝利だった開幕戦以来のタイトルを手にした。

シーズン1勝目に続き、2勝目も今季一番乗り。賞金ランクトップを守った27歳には明確なターゲットがある。このままトップを突っ走り、年末に米ツアーの最終予選会に参加したい。狙うは昨年、PGAツアーの出場資格を得た“金谷拓実ルート”の再現だ。「去年は開幕戦2位でシード(獲得)を決めて、アジアンツアーにシフトした。日本では『優勝以外はどうでもいい』くらいの気持ちでやっていた。でも、ことしは優勝できなくても、少しでも上でフィニッシュして賞金を加算したい」。具体的な目標設定が精神面を一回り大きくしている。

「めちゃくちゃ気持ち良かった。溺れそうなくらい水を浴びました」。祝福のウォーターシャワーに預けた身体を、すぐさまアフリカに向かわせる。次週はアジアンツアーの「インターナショナルシリーズ モロッコ」(ロイヤルゴルフ・ダルエスサラーム)に出場。「スケジュールはハードかもしれないですけど、行くことで自分自身は成長していくと思う」と、今は海外での経験を重ねたくて仕方がない。

信念のひとつを「逃げないこと」と言った。「嫌なこともやらなきゃいけない。逃げても答えが出るわけでもない。自分と向き合って、答えが出るまでゴルフをやる」。目下の国内ツアーのトップランナーは心身ともにたくましい。(栃木県那須塩原市/桂川洋一)

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