基準の200倍のレジオネラ菌検出「いい湯らてい」 過去49件の基準超過でも浴槽利用を継続 三条市長が管理不備を謝罪

新潟県三条市の八木ヶ鼻温泉「いい湯らてい」(日帰り温泉)で、少なくとも6年間にわたり、基準値を超えるレジオネラ菌が検出されても必要な浴槽の利用停止を行っていなかった問題で、市は15日、臨時記者会見を開き、記録で確認できる基準超過が計49件に上ることなどを明らかにした。日常の清掃や消毒にも長年にわたる不備があり、滝沢亮市長は市の管理監督責任を認めて謝罪した。再開時期は未定で、不適切な取り扱いの全容が明らかになり、今後の対応方針が決まるまで休館を続ける。

市は14日に衛生管理上の問題を公表していた。15日午前10時から三条市役所で開いた会見には、滝沢市長と米持克広経済部長が出席。指定管理者の株式会社下田郷開発は歴代市長が代表取締役を務めており、滝沢市長は施設を設置する市と運営会社の双方の立場から陳謝した。

今回の発端は、9月上旬に同施設を利用した県内の人がレジオネラ症を発症したことだった。三条保健所が9月17日に立ち入り検査と採水を行い、24日に「和楽の湯」のジャグジー・寝湯の配管系統から、100ミリリットル当たり2000CFUのレジオネラ菌が検出されたことが判明した。

水質基準は100ミリリットル当たり10CFU未満で、検出値は基準の境目となる10CFUの200倍に当たる。CFUは生きている菌の数を示す単位。施設は結果が判明した24日夜に温浴施設の利用を休止し、25日から休館している。

市は、施設利用とレジオネラ症発症の因果関係は確認されていないと説明。発症した人の容体は個人の健康・医療情報に当たるとして明らかにせず、この人以外の健康被害の報告は受けていないとした。

過去の不適切な対応が明らかになったきっかけも、三条保健所の指摘だった。9月25日、保健所の担当者が同施設で過去の検査資料を確認し、同19日に基準超過が判明していたにもかかわらず、該当する浴槽の利用を止めていなかったことを指摘。これを把握した市が、過去の水質検査結果や衛生管理状況の調査に踏み切った。

市が2019年から26年までの水質検査記録を確認したところ、20年4月以降、6つの配管系統で計49件の基準超過があった。年別では20年1件、21年3件、22年7件、23年20件、24年14件、25年0件、26年4件だった。

6系統すべてで少なくとも1回は基準を超えており、特定の浴槽や一時期に限った問題ではなかった。循環ろ過装置を使わない水風呂では基準超過は確認されていない。

49件のうち最も数値が高かったのは24年の180CFUだった。今回の保健所検査で検出された2000CFUは、この10倍以上に当たる。

市の説明では、基準を超えた場合は消毒や洗浄を行い、再検査で陰性を確認するまで、同じ配管系統の浴槽の利用を止める必要がある。施設全体の休館を求めるものではないが、同施設では49件のいずれでも該当する浴槽の利用を止めず、塩素消毒後も営業を続けていた。

直近でも9月10日に「数寄の湯」のジャグジーから採水した検査で60CFUが検出され、19日に結果が判明した後も、24日まで利用を続けていた。関係者への聞き取りでは、18年以前にも同様の対応をしていたことが確認されたという。

市は基準超過時の対応に加え、日常の衛生管理でも3つの不備を確認した。

循環ろ過装置と循環配管は、県条例などで2週間に1回以上の消毒洗浄が必要とされるが、今年4月から下田郷開発の担当課長の判断で回数を減らし、3週間に1回としていた。回数を減らした理由は調査中としている。

循環する湯から髪の毛などを取り除く「集毛器」は毎日の清掃が必要なところ、週1回程度しか清掃していなかった。

くみ上げた源湯を一時的にためる貯湯槽では、湯温が60度未満の場合、1リットル当たり0.4ミリグラム程度の塩素濃度を保つ必要がある。しかし、同施設では湯温が60度未満だったにもかかわらず、塩素濃度そのものを測定していなかった。

集毛器の清掃と貯湯槽の塩素濃度管理の不備は、聞き取りで少なくとも18年以前から続いていたことが分かった。

市によると、指定管理者は水質基準自体は認識していたものの、基準超過時に該当する浴槽を利用停止にしなければならないことを、組織として把握していなかった。対応を定めたマニュアルもなく、不適切な取り扱いを組織で共有し、是正する体制も整っていなかった。

一方、市と指定管理者の協定では毎年度の事業実施報告を求めていたが、基準超過時の市への報告義務を具体的に定めていなかった。市側は問題があれば報告が上がると考え、水質検査結果や日常の管理状況を積極的に確認してこなかった。

滝沢市長は「公の施設の設置者として本来果たすべき管理監督の責任を十分に果たせていなかった」と認めた。

同施設では10年にもレジオネラ菌が検出され、公表していた。市長は当時の対応にふれ、「その時の反省を生かしきれなかったということは本当に重大なこと」と述べた。

休館後は6つの配管系統のすべての浴槽などを対象に再検査し、10月9日までに、いずれからもレジオネラ菌が検出されなかったことを確認した。

ただ、滝沢市長は「水質検査が陰性であるということだけで施設を再開してよいとは考えていない」と強調。長年にわたり不適切な管理が続いた原因を究明し、必要な改善を行い、再発防止の管理体制が確実に機能することを確認するとした。

再開時期は未定。指定管理者への対応や関係者の処分についても、調査結果と今後の方針を踏まえて判断する。

市長は、安心して利用できると市が責任を持って判断できる状態にならなければ再開しないと表明。「市民の皆様、施設をご利用いただいた皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます」と陳謝した。

関連記事: