日本、アフリカとの貿易関係強化図る-重要鉱物の中国依存減らす
日本政府がアフリカとの貿易関係の強化を進め、日本企業の現地事業拡大を後押ししている。
経済産業省の松尾剛彦審議官はコートジボワールの商業都市アビジャンでブルームバーグの取材に応じ、日本の民間企業にリスクを取る意欲が高まり、アフリカ進出に積極的になっていると語った。
「今、日本の経営者の意識は劇的に変化し、事業のグローバル展開に対して極めて積極的になっている」と述べ、アフリカは日本企業が存在感を高めたい地域の一つだと指摘した。
アフリカにとって、関係の再構築を図る日本の動きは重要だ。トランプ米大統領が米国の対外援助を減らしたことで、民間投資の活用が喫緊の課題となっている。
日本は現在、重要鉱物や非金属、レアアース(希土類)などに関心を寄せている。中国への依存を減らす方針の下、これらの分野でアフリカとの協力を模索。中国はアフリカにとって最大の貿易相手国でもある。
松尾氏は日本が「中国企業にかなり依存」としていると述べ、「中国企業と協力できないというわけではないが、1つの国にだけ頼るのは脆弱(ぜいじゃく)性を招く恐れがある」と説明した。
ブルームバーグは昨年11月、三井物産がカナダの鉱山会社ファースト・クァンタム・ミネラルズがザンビアに所有する2つの銅鉱山の権益獲得に向け、最高額で入札したと報じた。
松尾氏によると、日本企業は鉱業分野にとどまらず、政府の補助金を活用しながらアフリカに新技術を投じる動きも見せている。
富士フイルムは、医療が行き届かない地域に適した予防医療サービスの提供を検討しており、豊田通商は自動車のリサイクルシステム導入を目指している。また、日立建機は、鉱山の環境負荷を軽減するため、ハイブリッド式ダンプトラックの開発を進めている。
さらに、日本の投資家は、産業の脱炭素化に活用できるグリーン水素やアンモニアにも関心を抱いているという。
日本は官民を挙げてアフリカとの関係強化に取り組んでいる。日本とアフリカのスタートアップを結び付け、イノベーションを促進する新たなイニシアチブが発表されたばかりだ。また、米国や英国と異なり、日本は現時点で援助を減らす方針を示していない。
松尾氏は横浜で8月に開かれる第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に触れ、「日本とアフリカ諸国の協力を巡る過去最大の会合が今年開催される」と述べ、その観点からもアフリカとの協力拡大に向け取り組んでいると強調した。
原題:Japan Seeks to Grow Africa Investments to Ease Reliance on China (抜粋)