米中のフェンタニル取り締まり巡る協議難航、トランプ政権は追加制裁検討も

米中の貿易戦争が激しさを増す中で、両国間では合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まり問題を巡る協議が続いているが、米国側が中国の交渉姿勢を「不誠実」と非難するなど、先行きが見通せない状況にある。写真はフェンタニル中毒の症状で気を失い、駐車場で横たわる男性。3月26日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米中の貿易戦争が激しさを増す中で、両国間では合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まり問題を巡る協議が続いているが、米国側が中国の交渉姿勢を「不誠実」と非難するなど、先行きが見通せない状況にある。協議に詳しい米政府高官4人が明かした。

トランプ大統領は、麻薬組織がフェンタニルの原料となる化学物質を入手するのを中国政府が防いでいないと主張し、これを理由にした中国製品への追加関税を発動。米政府は、麻薬組織がフェンタニルなどを製造するために使う化学物質の大半は中国の化学メーカーや輸出業者が提供し、それによって米国内で45万人近くが過剰摂取で苦しんでいると主張している。

中国側は、厳しい麻薬規制や密輸取り締まりを続けてきており、米国は自国の問題として中毒患者に対処しなければならないと反論してきた。

こうした中で4人の米政府高官によると、両国は頻繁に麻薬取引に関する情報交換を行っている。ただ中国からの対策案は、今のところ危機的状況を解決するには不十分だという。

最近数週間は、主として首都ワシントンにある中国大使館と米国家安全保障会議(NSC)の事務方トップ同士に、北京の米国大使館の事務方が加わる形で協議が進んでいるもようだ。

しかし米政府高官の1人は「話し合いの内容は薄い」と述べ、協議がほぼ行き詰まっていると付け加えた。

トランプ政権のある高官は、中国にフェンタニル原材料への実効性のある対処を強制するため「どんな策も排除されない」と強調し、米政府は中国の銀行に対する制裁を含めた追加的な強硬手段を検討するかもしれないとロイターに語った。

別の米政府高官は、中国がこれまで行ってきた対策案は既に合意した内容の焼き直しに過ぎず、「誠実さを欠く態度で交渉している」と不満をあらわにした。

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