若者より深刻…「シニアの旅行離れ」を加速させる「お金だけじゃない」理由(ダイヤモンド・オンライン)
若者の旅行離れと言われて久しいが、「シニアも旅行離れしている」説は本当か?データに基づいて分析した。浮かび上がったのは経済格差だけではない。旅行業界に解決策があるとすれば、「インバウンドに浮かれてはいけない」である。(ライター 前林広樹) 【図解】「シニアの旅行離れ」を加速させる「お金だけじゃない」理由とは? ● 「旅行離れ」は若者だけじゃない? 進むシニアの「もう旅行できない」 訪日外国人観光客(インバウンド)が増加する一方で、「日本人の旅行離れ」がしばしば話題になる。この原因については、「物価高や賃金の伸び悩みで経済的な余裕がないこと、趣味が多様化したことで若者が旅に出なくなった」と考える人が多いかもしれない。 しかし、実は「高齢者も旅行離れが進んでいる」という指摘が出始めている。 観光庁の「令和7年版観光白書」における、国内宿泊旅行回数の変化(年代別)を見てみよう。70代以上で「0回」と答える人が2014年の58.2%→24年は69.3%に、11.1ポイントも増えている。対して「1回」〜「5回以上」は軒並み減っている。つまり、70代以上は総じて旅行への興味を失っていると考えられる。 全体では、「0回」の人が46.8%→50.6%に、「5回以上」が5.3%→7.6%に増加。つまり、旅行に行かない人と行く人の二極化が進んでいる。同様に50〜60代でも、二極化している。 団塊世代の退職が相次いだ2000年代後半から2010年代は、時間もお金も余裕がある「アクティブシニア」と呼ばれる層が、旺盛な旅行需要を生み出すと期待されてきた。 しかし現在、シニアの旅行参加率の低下(一部で二極化)が明らかになっている。一体なぜなのか?最も大きな原因となっていることは何か。
続いて、日本交通公社が毎年実施している「JTBF旅行意識調査」を見てみよう。過去1年間に一度も旅行をしなかった人に対して、その理由を尋ねた結果(旅行の阻害要因)は年代によって傾向が異なるという。 60代の理由(2024年)の1位は、「家計の制約」(27.5%)だった。2位は「ペットがいる」(25%)で10年前と比べて約4倍に増えている。3位は「介護しなければならない家族がいる」(22.5%)で、これも10年前に比べて倍近く増えている。※詳細は図解を参照 経済的な理由、ペット世話や家族の介護などが、60代で旅行を避ける原因となっていることがわかる。 一方で、「休暇が取れない」は2014年の29.5%→24年は16.3%へ大幅に低下している。旅行を妨げる要因が「時間」よりも「家計や家庭事情」へ変化している可能性がうかがえる。 また、先述の観光白書によると、70代以上は「健康上の理由」が旅行をしない理由の多くを占めている。少し前までアクティブシニアと呼ばれた人々も、年齢を重ねたことで心身の衰えを実感しているのだろう。