少子化・核家族化が子どもの食物アレルギー増加に関連? 家族構造と乳児期の食事導入を大規模解析 名古屋市立大学

家族人数が少ない家庭ほど子どもの食物アレルギーが多い傾向のあることが、エコチル調査※1から報告された。名古屋市⽴⼤学などの研究グループによる論文が「Allergy」に掲載されるとともに、同大学のサイトにプレスリリースが掲載された。

研究成果の概要

家族人数が少ない家庭ほど、子どもの食物アレルギーの割合が高い傾向があることが明らかになった(例えば2人世帯では6.4%、8人世帯では3.2%)。エコチル調査愛知ユニットセンターの研究グループが、エコチル調査の約7万人の出生コホートデータを解析したもの。

鶏卵やピーナッツなどのアレルゲン食品は、家族人数の少ない家庭ほど導入時期が遅い傾向がみられた。これらの食品は乳児期に早期導入することで食物アレルギーの発症リスクが低下することが報告されている。こうしたなか、本研究の結果は家庭環境と乳児期の食行動との関連を示唆するもので、近年増加している食物アレルギーの理解や予防に資する新たな知見となった。

研究のポイント

  1. エコチル調査で得られた約7万人の出生コホートデータを用いて、家族人数と小児食物アレルギーの関連を解析した。
  2. 家族人数が少ない家庭ほど4歳時の食物アレルギーの割合が高い傾向がみられた(2人世帯6.4%、8人世帯3.2%)。
  3. 鶏卵やピーナッツなどのアレルゲン食品は、家族人数の少ない家庭ほど導入が遅い傾向がみられた。さらに、兄弟姉妹の影響をできるだけ除くため、第1子のみの家庭を対象に解析したところ、祖父母や親族が同居する拡大家族世帯では導入が早い傾向がみられた。
  4. これらの食品は早期導入により食物アレルギーの発症リスクが低下することが報告されており、家庭環境と乳児期の食行動との関連が示唆された。
  5. 近年増加している食物アレルギーの背景を考えるうえで、少子化や核家族化などの家庭環境の変化に着目した新たな視点を示す知見といえる。

研究の背景

食物アレルギーは近年、世界的に増加しているアレルギー疾患の一つ。その原因は十分には解明されていない。これまで、家族人数が多いほどアレルギーが少ない現象は、乳幼児期の感染機会の違いによって説明される「衛生仮説」※3で議論されてきた。

一方で近年、乳児期の食事導入の時期や方法が食物アレルギーと関係することが報告されている。鶏卵やピーナッツなどの食品は、乳児期に早期導入することで食物アレルギーのリスクが低下する可能性が示されている。

しかし、家族人数などの家族構造が乳児期の食事導入とどのように関連するかは十分に検討されていない。そこで本研究では、エコチル調査の出生コホートデータを用いて、家族人数と小児食物アレルギーの関連を検討した。

研究の成果

本研究では、エコチル調査に参加した子どものうち、条件を満たした7万1,315人を対象に解析を行った。妊娠登録時の同居家族人数(児本人を除く)を家族人数として分類した。主要評価項目は、4歳時点の医師診断による食物アレルギーとした。また、1歳時点での卵やピーナッツなどの食品の導入時期を家族人数別に比較した。

その結果、家族人数が少ない家庭ほど、4歳時の食物アレルギーの割合が高い傾向がみられた(図1)。2人世帯では6.4%、8人世帯では3.2%だった。また、鶏卵やピーナッツなどのアレルゲン食品は、家族人数の少ない家庭ほど導入が遅い傾向がみられた(図2)。さらに、兄弟姉妹の影響をできるだけ除いて家庭環境との関連を検討するため、第1子のみの家庭を対象に家族構造別の食品導入時期を検討したところ、祖父母や親族が同居する拡大家族世帯では、核家族世帯と比べて鶏卵やピーナッツの導入が早い傾向がみられた(図3)。

なお、本研究は観察研究であり因果関係を示すものではない。

図1 家族人数と4歳時アレルギー疾患の有病割合

家族人数(本人を除く)別に、4歳時のアレルギー疾患の有病割合を示している。食物アレルギーでは、家族人数が少ない家庭ほど有病割合が高い傾向がみられた。一方、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息では明確な関連は確認されなかった。

(出典:名古屋市⽴⼤学)

図2 家族人数と鶏卵・ピーナッツの導入時期

家族人数(本人を除く)別に、鶏卵およびピーナッツの導入時期を示している。鶏卵やピーナッツは、家族人数の少ない家庭ほど導入が遅い傾向がみられた。乳児期の早期導入が食物アレルギー予防と関連すると報告されており、本研究では家庭環境と乳児期の食行動の関連が示唆された。(導入時期は生後6カ月以下、7〜8カ月、9〜10カ月、11〜12カ月、13カ月以上で分類。空白部分は1歳時点の調査で未摂取であった児を示している)

(出典:名古屋市⽴⼤学)

図3 家族構造と鶏卵・ピーナッツの導入時期(第1子家庭)

第1子のみの家庭を対象に、家族構造別に鶏卵およびピーナッツの導入時期を示している。家族構造は、(1)核家族(両親のみ)、(2)祖父母同居世帯、(3)叔父・叔母などを含む拡大家族世帯の3群に分類した。その結果、拡大家族世帯では、核家族と比べて鶏卵やピーナッツの導入が早い傾向がみられた。これらの結果は、家族構造の違いが乳児期の食事導入時期に関連している可能性を示している。

(出典:名古屋市⽴⼤学)

研究の意義と今後の展開

本研究は、家族人数と小児食物アレルギーの関連を大規模出生コホートで示した。少子化や核家族化が進む現代社会では、家庭環境や育児行動が大きく変化している。こうした変化が乳児期の食事導入と関係している可能性がある。

今後、家族人数などの家族構造と乳児期の食行動との関係をさらに解析することで、少子化社会における食物アレルギー増加の背景の理解が進むことが期待される。また、乳児期の食事導入に関する知見の蓄積は、食物アレルギー予防に役立つ情報につながると期待される。

補足

家族人数の定義

本研究では、妊娠登録時点で同居している家族人数(本人を除く)を家族人数として定義した。

乳児期の食事導入について

近年、鶏卵やピーナッツなどの食品は、乳児期に適切な時期に導入することで食物アレルギーの発症リスクが低下する可能性が報告されている。一方で、食事導入の時期や方法は個々の健康状態や医療的判断によって異なるため、実際の食事導入については医療専門職の助言に従うことが重要。

本研究の位置づけ

本研究は、家族人数や家族構成などの家族構造と乳児期の食行動との関連を、大規模出生コホートデータを用いて検討した研究。食物アレルギーの原因を直接示すものではない。

プレスリリース

家族人数が少ない家庭ほど子どもの食物アレルギーが多い傾向―エコチル調査7万人の出生コホート解析―(名古屋市⽴⼤学)

文献情報

原題のタイトルは、「Family Size and Food Allergy in Early Childhood: The Japan Environment and Children's Study」。〔Allergy. 2026 Mar 15〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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スポーツ栄養Web編集部


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生体電気インピーダンス法で測定される位相角(PhA)やインピーダンス比(IR)が、投擲選手のパフォーマンスのマーカーとなり得ることを示すデータが報告された。国内の大学生選手対象横断調査の結果、世界陸連(World Athletics)のスコア(WAスコア)とPhAは正相関、IRは逆相関するという。岡山県立大学情報工学部の大下和茂氏、村井聡紀氏、九州共立大学スポーツ学部の疋田晃久氏、名頭薗亮太氏の研究であり、論文が「Physiological Reports」に掲載された。

生体電気インピーダンス法によるPhAやIRのスポーツ領域での意義

生体電気インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis;BIA)は、体脂肪量などの体組成の評価ツールとして広く使われている。ただしBIAで測定できるのは体組成のみではなく、細胞膜や体内の水分の分布、筋肉の質などの評価も可能。

例えば、電流と電圧の位相差から算出される「位相角(phase angle;PhA)」は、細胞膜の機能や栄養状態を反映し、高値であるほど良好と判断される。また、高周波電流での抵抗と低周波電流での抵抗の比である「インピーダンス比(impedance ratio;IR)」は、体内の水分の分布や細胞の健康状態を反映し、低値であるほど良好と判断される。BIAによる体組成の評価結果が年齢や性別、身長などのパラメーターを用いて算出されるのに対して、PhAやIRは測定した実数そのものを評価に用いるという違いがあることからも、体組成関連指標とは異なる意味を有すると考えられている。

実際、PhAは既に高齢者診療などの臨床や研究の目的で用いられているほか、近年ではアスリートのパフォーマンスの予測や筋肉の質の評価に援用する研究がなされてきている。BIAは被曝がなく繰り返し施行でき、簡便で低コストであるという特徴も、これらの研究を後押ししている。

とはいえ、スポーツ領域でのPhAのエビデンスはまだ十分とは言えず、IRに関してはより少ない。以上を背景として著者らは今回、投擲選手のパフォーマンスをPhAやIRで予測可能かを検討した。なお、先行研究では、既存の体組成指標(体重や除脂肪体重など)は一定レベル以上の投擲選手の投擲選手のパフォーマンスと一貫した関連がみられず、競技レベルや種目などによって異なる結果が報告されてきているという。

位相角(PhA)やインピーダンス比(IR)は競技成績と相関

この研究は、国内の大学または大学院で投擲競技を行っている学生64人を対象とする横断研究として行われた。性別と年齢、種目の内訳は、男性が39人で19±1歳、やり投げ14人、円盤投げ13人、ハンマー投げ7人、砲丸投げ5人、女性は25人で19±1歳、やり投げ11人、円盤投げ5人、ハンマー投げ6人、砲丸投げ3人。競技レベルはMcKayらの定義に基づくと、Tier2(育成段階)またはTier3(国内レベル)であり、一部の選手はTier4(国際レベル)だった。

位相角(PhA)高値ほど競技成績良好、インピーダンス比(IR)高値ほど競技成績不良

競技成績は、WAスコアにより評価した。男性は832.9±105.7、女性は852.8±90.3だった。

一方、全身で評価した位相角(PhA)は同順に7.53±0.43°、6.47±0.37°、インピーダンス比(IR)は0.742±0.015、0.772±0.013だった。なお、BMIは28.9±4.2、26.0±3.1、除脂肪体重(fat-free mass;FFM)は、72.5±7.4kg、49.2±3.2kgだった。

これらの相関を性別に検討した結果、男性において、PhAはWAスコアと有意な正相関(r=0.454、p=0.004)、IRはWAスコアと有意な逆相関(r=-0.454、p=0.004)するという関連が認められた。また、FFMもWAスコアとの正相関が認められたが(r=0.338、p=0.035)、相関係数はPhAのほうが高値だった。BMIに関してはWAスコアとの有意な関連が認められなかった。

女性も同様に、PhAはWAスコアと有意な正相関(r=0.523、p=0.007)、IRはWAスコアと有意な逆相関(r=-0.491、p=0.013)が認められた。BMI、および男性では有意な相関のあったFFMは、女性では関連が非有意だった。

WAスコアの高値群と低値群で比較すると、PhAとIRに有意差

次に、WAスコアの中央値(男性は804、女性は851)に基づき、全体を性別ごとに二分したうえで、FFM、PhA、IRを比較。すると以下のように、いずれも群間に有意差が認められたが、効果量(Cohenのd)はFFMよりPhAやIRのほうが大きかった。

PhAとIRは投擲競技のパフォーマンスマーカーとなり得る

以上の結果に基づき論文の結論は、「国内の大学陸上競技投擲選手において、WAポイントとFFMの関連は男性のみ有意で女性は非有意だった。それに対してPhAとIRは性別にかかわらず、WAポイントとの有意な関連が示された。PhA、IRという筋肉の質も反映する指標は、投擲パフォーマンスの有用なマーカーとなり得るのではないか」と総括されている。

なお、研究の限界点として、BIAを施行した時期とWAポイントが最高値を示したタイミングが最大で半年ほどずれていたことが、解析結果に影響を及ぼした可能性のあること、および、対象がTier2、3中心であったことなどが挙げられ、さらなる研究が必要と述べている。また、「PhAやIRとWAポイントが有意に相関するとはいえ、相関係数は0.5前後で十分に高いとはいえず、投擲競技のパフォーマンスにはテクニカルな面も重要と考えられる」と付け加えられている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Phase angle, impedance ratio, and athletic performance of young adult Japanese track and field throwers」。〔Physiol Rep. 2026 Apr;14(7):e70835〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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厚生労働省はさきごろ、「令和6年国民健康・栄養調査報告」を公表した。糖尿病が強く疑われる人が1,100万人にのぼること、都道府県別のBMIや野菜摂取量、食塩摂取量、歩数などの平均値の最低四分位群と最高四分位群との間に有意差があることなどが報告されている。一部を抜粋して紹介する。

BMIや生活習慣に関する都道府県の状況

BMIおよび生活習慣の状況を都道府県別に年齢調整したうえで、四分位数で4群に分けて比較した結果、BMIや野菜摂取量、食塩摂取量、歩数、喫煙者率(男性)に、最低四分位群と最高四分位群との間に有意差が認められた。

表1 体格(BMI)および生活習慣に関する都道府県の状況

(出典:厚生労働省)

BMIが高い都道府県は上位から順に、男性は高知(24.9)、岩手、徳島、女性は長崎(24.1)、福島、宮城であり、反対に低いのは下位順に、男性は滋賀(23.1)、愛媛、島根、女性は大阪(21.2)、愛知、京都。

野菜摂取量が多い都道府県は上位から順に、男性は福島(356g/日)、長野、新潟、女性は長野(322g/日)、福島、宮城であり、反対に少ないのは下位順に、男性は和歌山(220g/日)、北海道、長崎、女性は和歌山(204g/日)、北海道、福岡。

食塩摂取量が多い都道府県は上位から順に、男性は山梨(11.7g/日)、秋田、茨城、女性は宮城(9.8g/日)、長野、秋田であり、反対に少ないのは下位順に、男性は和歌山(9.1g/日)、沖縄、高知、女性は千葉(7.8g/日)、沖縄、山口。

歩数が多い都道府県は上位から順に、男性は徳島(9,570歩/日)、埼玉、宮城、女性は神奈川(8,861歩/日)、京都、滋賀であり、反対に少ないのは下位順に、男性は長崎(7,377歩/日)、鹿児島、岩手、女性は秋田(5,234歩/日)、石川、沖縄。

男性の現喫煙者率が高い都道府県は上位から順に、北海道(34.6%)、長崎、茨城、反対に低いのは下位順に、愛媛(14.5%)、奈良、徳島。なお、女性については全体的に喫煙者率が低く、誤差が大きいため都道府県別の比較はされていない。

糖尿病が強く疑われる人、可能性を否定できない人の推計

糖尿病が強く疑われる人(HbA1c6.5%以上)は約1,100万人と推計され、平成9年以降増加が続いている。糖尿病の可能性を否定できない人(同6.0%以上6.5%未満)は約700万人と推計され、平成19年との比較では減少した。

図1 糖尿病が強く疑われる人、可能性を否定できない人の推計

(出典:厚生労働省)

BMI

BMI18.5以上25未満(65歳以上の高齢者は20超25未満)の割合は60.7%で、20~60歳代男性の肥満者(BMI25以上)は34.0%、40~60歳代女性の肥満者は20.2%。

一方、20~30歳代女性のやせ(同18.5未満)は16.6%、高齢者の低栄養傾向(同20以下)は19.5%。

栄養バランスのとれた食事

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の割合(毎日+週6日)は52.8%。性別では男性52.3%、女性53.2%であり、年齢層別では20歳代が最低。

図2 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度

(出典:厚生労働省)

食塩摂取量

食塩摂取量は平均9.6gで、性別では男性10.5g、女性8.9g。

図3 食塩摂取量の平均値

(出典:厚生労働省)

野菜摂取量

野菜摂取量は平均258.7gで、性別では男性268.6g、女性250.3g。年齢層別では高年齢層で多い。

図4 野菜摂取量の平均値

(出典:厚生労働省)

果物摂取量

果物摂取量は平均78.1gで、性別では男性70.4g、女性84.7g。年齢層別では70歳以上で多い。

図5 果物摂取量の平均値

(出典:厚生労働省)

運動習慣

運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週に2回以上、1年以上継続している人)の割合は34.6%であり、性別では男性38.5%、女性31.5%。年齢層別では30~40代で低い。

図6 運動習慣のある人の割合

(出典:厚生労働省)

歩数

歩数の平均は7,071歩で、性別では男性が7,763歩、女性6,495歩。

図7 歩数の平均値

(出典:厚生労働省)

睡眠時間

平均睡眠時間が6時間以上9時間未満(60歳以上では6時間以上8時間未満)の割合は56.0%で、性別では男性56.1%、女性55.9%。

図8 1日の平均睡眠時間

(出典:厚生労働省)

睡眠による休養

過去1カ月で、睡眠により休養が取れているのは79.6%で、性別では男性80.4%、女性78.9%。年齢層別では20~59歳で73.0%、60歳以上は86.1%。

図9 睡眠の状況

(出典:厚生労働省)

飲酒

生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量の飲酒者は11.4%で、性別では男性13.9%、女性9.3%。年齢層別では男性の60歳代(21.6%)、女性の50歳代(18.4%)で高い。

なお、生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量とは、純アルコール量として1日に男性は40g以上、女性は20g以上。

図10 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合

(出典:厚生労働省)

喫煙

習慣的喫煙者は14.8%で、性別では男性24.5%、女性6.5%。男性は40~50歳代で高く3割を超えている。

習慣的喫煙者において、タバコの種類は紙巻きタバコが男性65.4%、女性60.0%、加熱式タバコは同順に41.4%、44.2%。

図11 現在習慣的に喫煙している人の割合

(出典:厚生労働省)

図12 現在習慣的に喫煙している人の割合の年次推移

(出典:厚生労働省)

詳細はこちら

令和6年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)

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歯科医院の外来での栄養指導と口腔機能トレーニングによって、患者の食生活の多様性と口腔機能が有意に改善したという、縦断研究の結果が報告された。あかま歯科クリニック(福岡県)の赤間愛美氏、九州歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野の藤井航氏らによる論文が、「Annals of Geriatric Medicine and Research」に掲載された。著者らは、歯科医院が地域在住高齢者のフレイル予防に貢献できるのではないかと述べている。

地域の歯科医院はフレイル予防の拠点になり得る

高齢者人口の増加を背景に、フレイルの予防が緊急性の高い社会的課題となっている。フレイルの主要な原因の一つは栄養不良であり、より多くの一般生活者が、食生活をフレイル予防に適したものへ改めることが期待される。しかし、ふだんの生活においてフレイル予防のための食事の摂り方を習得できる機会は多くない。

一方、適切な食生活の実現には、口腔機能が良好に保たれている必要がある。口腔機能の低下はオーラルフレイルとして位置付けられており、それが全身性フレイルのリスクを押し上げることも示されている。そして、地域の歯科医院を受診する患者の多くは、オーラルフレイル好発年齢である。以上より、地域在住高齢者の歯科受診は、フレイルに対する予防的介入を行う良い機会とみることが可能である。

赤間氏らはこのような状況を背景として、歯科医院の外来患者を対象に口腔機能トレーニングとともに栄養介入を行い、食事摂取状況や口腔機能、体組成にどのような変化が生じるかを縦断的に検討した。

歯科医院の外来患者に指導介入を行い、約1年間での変化を検討

この研究には、2023年4月~2024年8月に福岡市直方市内の歯科医院(単一施設)の外来患者から、同意の得られた50歳以上の患者103人が参加。追跡不能となった患者などを除外し74人(男性25人〈72.1±10.5歳〉、女性49人〈72.4±9.1歳〉)を解析対象とした。

研究参加時点(ベースライン)で口腔機能および食生活の多様性を評価後、栄養士・管理栄養士による栄養指導と、歯科衛生士による口腔機能トレーニングを実施。その後、3~4か月に1回の定期フォローアップ診療時にも指導を行い、約1年後に再度、口腔機能および食生活の多様性を評価した。

ベースラインの口腔機能

口腔機能について、日本老年歯科医学会による「口腔機能低下症」の診断基準に基づき、口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能の7項目を測定した。7項目中3項目以上が該当した場合を「口腔機能低下症」と診断、解析対象者の54.1%が該当した。

ベースラインの食生活の多様性

食生活の多様性の評価は、食生活の多様性スコア(Dietary Variety Score;DVS)によった。DVSは、魚介類、肉類、卵、牛乳、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、果物、いも類、油脂類という10種類の食品群について、1週間の摂取頻度が「ほぼ毎日食べる」場合は1点、それ以外は0点として、合計10点にスコア化する。スコアが高いほど、多様性が高いことを意味する。食事記録は、食事記録アプリ(もぐもぐ日記〈森永乳業クリニコ〉)、またはアンケート用紙を使用した。

解析対象者のベースライン時点でのDVSは4.31±2.69点だった。

ベースラインの体組成

解析対象者のベースライン時点のBMIは、女性22.4±3.4、男性24.3±2.7だった。

体組成は、生体電気インピーダンス法により測定した。体脂肪率は、女性31.1±7.3%、男性25.6±5.2%、筋肉量は同順に19±2.4kg、27.8±3.7kgであり、性別による有意差が観察された。

1年後に口腔機能とともに食生活の多様性スコア(DVS)も改善

約1年後(310.4±146.5日後)、評価した7項目の口腔機能のすべてに改善傾向が認められ、舌圧などは有意に改善していた。また、口腔機能低下症の有病率は54.1%から24.3%へと有意に低下していた(p<0.01)。<>

さらに、DVSも、4.31±2.69点から5.93±2.56点へと有意に上昇していた(p<0.01)。食品群別にみた場合、大豆製品と緑黄色野菜を除く8種類の食品群はいずれも有意にスコアが上昇していた。<>

一方、体組成に関しては有意な変化が認められなかった。

歯科での栄養指導で地域住民の健康をサポート

結論として、「地域の歯科医院において栄養管理と口腔機能の双方を重視した介入を行うことが、高齢者の健康維持と改善に貢献し、健康寿命の延長に重要な役割を果たす可能性があることが示唆された」と総括されている。また、「歯科医院が歯科衛生士とともに栄養士を雇用することで、より専門的な栄養サポートが可能になり、地域住民の健康状態の改善にいっそう寄与できるのではないか」との考察も加えられている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Association between Dietary Variety, Oral Function, and Body Composition among Outpatients at a Community Dental Clinic」。〔Ann Geriatr Med Res. 2026 Mar;30(1):101-108〕 原文はこちら(Korean Geriatrics Society)

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暑さにより身体活動やエネルギー消費量は平均的に低下するが、身体活動が維持されている人ほど水の代謝回転量も増えていることがわかった。東北大学の研究グループの研究によるものであり、論文が「Scientific Reports」に掲載されるとともに、同大学のサイトにプレスリリースが発行された。研究者らは、猛暑が増える社会において高齢者の適切な水分補給の目安づくりにつながる重要な成果としている。

発表のポイント

  • 体内の水の動きを高精度で測定できる国際標準法「二重標識水法※1」を用い、日常生活の中で調べた。
  • 平均気温29°Cの夏では、高齢者の体内の水の代謝回転量※2が春より約640mL/日増加した。
  • 暑さにより身体活動やエネルギー消費量は平均的に低下するが、身体活動が維持されている人ほど水の代謝回転量も増えていることがわかった。
  • 猛暑が増える社会において、高齢者の適切な水分補給の目安づくりにつながる重要な成果である。

研究の概要:高齢者の熱中症対策を新たな視点で着目

近年、気候変動の影響で猛暑日が増加している。とくに高齢者は暑さに弱く、適切な水分補給が重要。しかし、暑い環境において自由に生活を送る場合、体内の水がどの程度代謝されているのかは十分にわかっていなかった。

東北大学の研究グループは、京都府亀岡市に住む65歳以上の高齢者26人を対象とし、春(平均19°C)と夏(平均29°C、最高35°C)で体内の水の代謝を比較した。その結果、夏には体内の水の代謝回転量が1日あたり約640mL増加することが明らかになった。一方で身体活動やエネルギー消費量は平均的に減少していたが、夏の身体活動が維持されている人ほど水の代謝回転も増えるという関連がみられた。

本成果は、暑熱環境下における高齢者の水分管理の重要性を示している。

詳細な説明:自由な生活環境下での暑熱環境での水の代謝を探る

研究の背景:高齢者は脱水症になりやすい――その理由は?

気候変動に伴う地球温暖化により、世界各地で猛暑日や長期間の高温が増えている。こうした暑さは、心臓や呼吸器の病気などの健康リスクを高めることが知られている。とくに高齢者は暑さに弱く、体温をうまく調節できなくなることや、発汗機能の低下などが起こりやすいとされている。

実際に、猛暑による死亡の割合は65歳以上で高いことが報告されている。そのため、温暖化を抑える取り組みだけでなく、暑さに備える対策も重要。しかし、自由に生活できる環境下において、気温の変化によって高齢者の体内で水がどの程度代謝されているのか、また実際の水分摂取量がどのように変わるのかは十分に明らかになっていなかった。

研究の取り組み:春と夏の2回にわたり二重標識水法で代謝を検討

本研究グループは、水分摂取量、エネルギー摂取量・消費量、身体活動量を測定し、季節の違いによって体内の水の代謝がどのように変化するかを調べた。

京都府亀岡市に在住する65歳以上の高齢者26人を対象に、春と夏の2回にわたり調査を実施した。体内の水の代謝やエネルギー消費量を正確に測定できる二重標識水法を用い、2週間にわたり日常生活下で測定した。

その結果、体内の水の代謝回転量は夏に約640mL/日増加することが明らかにされ、エネルギー消費量は約149kcal/日減少することが明らかとなった(図1)。とくに、体内の水の代謝回転量は、暑い夏に全体として増加するだけでなく、身体活動量の維持に水の代謝回転の増加が必要であることがわかり(図2)、暑熱環境下では身体活動と水分代謝が密接に関連していることが示された。

図1 高齢者における春と夏の水の代謝回転と身体活動の比較

春(平均19°C)と夏(平均29°C)における体内の水の代謝回転量と身体活動量を比較したもの。夏には水の代謝回転量が増加する一方で、身体活動量は低下する傾向がみられた。

(出典:東北大学)

図2 高齢者における春と夏の水の代謝回転と身体活動との関連

春と比べて夏にどれだけ水の代謝回転量が変化したかと、身体活動量の変化との関係を示している。夏に水の代謝回転が増えた人ほど、身体活動も維持または増加している傾向がみられた。

(出典:東北大学)

今後の展開:身体活動量や体格差を踏まえた水分摂取の目安づくりへ

本研究により、猛暑環境下で高齢者の体内の水代謝が大きく変化することが明らかになった。とくに水の代謝回転量は身体活動量と関連しており、暑さの中で活動量が増えた人ほど水の代謝回転量も増えることが示された。今後は、より大規模な研究を通じて、個人の身体活動量や体格の違いを踏まえた水分摂取の目安づくりにつなげていくことが期待される。

また、これまでの研究では高齢者の身体活動量が体力や健康状態と関連することが示されている。猛暑が増える社会においては、暑さ対策と同時に身体活動を安全に維持する方法を検討することが重要。本成果は、高齢者の健康を守るための水分管理と身体活動戦略の両面に科学的根拠を与えるものとして活用されることが見込まれる。

プレスリリース

暑さで1日の水の代謝回転はどう変わる? -高齢者の水代謝を二重標識水法で解明-(東北大学)

文献情報

原題のタイトルは、「Hydration, water requirements, and energy balance from spring to summer in free-living older adults: a doubly labelled water study」。〔Sci Rep. 2026 Feb 19;16(1):9872〕 原文はこちら(Springer Nature)

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スポーツ庁は、令和7年度の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」および「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」の結果を公表した。前者からは、1週間あたりの運動・スポーツ実施時間は69分であり、性・年齢層で大きな差があって、とくに性別肝の差は過去最大となったことが報告された。また後者では、障害者の週1日以上のスポーツ実施率は20歳以上で35.0%、7~19歳で38.3%であると報告されている。

令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」

スポーツ実施率の推移と性・年齢層別のスポーツ実施率

  • 20歳以上の週1日以上のスポーツ実施率は、51.7%となり、令和4年以降ほぼ横ばいで、平成29年と比較しても同程度。
  • 男女別では、男性が55.0%、女性が48.8%で、男性より女性の実施率が低い状態が続いており、かつ男女の差が拡大し、男女差は過去最大。また、男女差は、学生期~40代にかけて大きい。
  • 年代別では、20~50代の子育て・働き盛り世代で引き続き低い傾向。

図1 20歳以上のスポーツ実施率の推移

【調査方法について】本調査は昭和54年度から概ね3年ごとに実施してきた「体力・スポーツに関する世論調査」(平成27年度のみ「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」)を踏襲するものであるが、調査方法に関しては平成28年度より調査員による個別面接聴取(標本数3,000人)からWEBアンケート調査(令和3年度まで:20,000人を対象、令和4年度から:40,000人を対象)に変更している。 ※第3期スポーツ基本計画(R5年度~8年度)においては、「成人のスポーツ実施率」は「20歳以上のスポーツ実施率」を用いて評価することとしている。

※運動・スポーツ種目については、スポーツの捉え方に関するその時々の状況を踏まえて検討をしている。

(出典:スポーツ庁)

図2 性年代別スポーツ実施率(週1日以上)

運動・スポーツの実施時間

  • 20歳以上の1週間あたりの運動・スポーツ実施時間の中央値は、69.0分(男性90.0分、女性59.8分)。
  • 性・年齢層別にみると、男女ともに20~50代の子育て・働き盛り世代と、60代以上の世代で大きな差があり、とくに20~50代女性の運動・スポーツ実施時間が1週間あたり30~40分程度と顕著に短く、同世代の男性と比べても半分程度にとどまっている。

図3 運動・スポーツの実施時間(男性:左図、女性:右図)

令和7年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」

障害者の運動・スポーツの実施率について

過去1年間に運動・スポーツを行った日数についての調査結果より、実施頻度が週1日以上の実施者の割合について、20歳以上と7~19歳に分けて集計した。その結果、20歳以上では35.0%、7~19歳では38.3%であった。令和6年度と比較すると、週1日以上の実施率は、20歳以上は増加、7~19歳は横ばいとなった。

図4 障がい児・者の運動・スポーツの実施率の推移

(出典:スポーツ庁)

運動・スポーツに対する関心

20歳以上の回答者について、過去1年間の運動・スポーツへの取り組みについて実施頻度別にみると、週1日以上の実施者では「満足している」が41.2%と最も多く、次いで「もっと行いたい」が23.1%であった。

週1日未満の実施者で最も多かったのは「関心はない」が43.4%、次いで「行いたいと思うができない」が28.2%であった。1年間に1日も運動・スポーツを行っていない者では「関心はない」が73.6%と最も多く、次いで「行いたいと思うができない」が24.7%であった。

図5 現在の運動・スポーツ等の取り組み(n=2,603)

(出典:スポーツ庁)

運動・スポーツの実施の障壁

本調査において「障害のあるあなたご自身の運動・スポーツの取り組みについて障壁となっているものは何ですか」という質問も行っている。この20歳以上の回答状況を、スポーツ実施の頻度や運動・スポーツへの関心により二つの層について確認したところ、以下のとおりであった。

図5 過去1年間での運動・スポーツの実施頻度が「週1日未満」の実施者のうち「運動・スポーツを行いたいと思うができない」者の障壁(n=176)

(出典:スポーツ庁)

図6 過去1年間に1日も運動・スポーツを実施しなかった「非実施者」のうち「特に運動・スポーツに関心はない」者の障壁(n=637)

(出典:スポーツ庁)

関連情報

令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」 の結果を公表します(スポーツ庁) 令和7年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」の調査結果について(スポーツ庁)

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スポーツ栄養Web編集部


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妊娠期の葉酸不足が子の肝臓・筋肉への異所性脂肪の蓄積を促進することがわかった。九州大学、福岡歯科大学などの研究グループの研究によるものであり、論文が「Diabetes Research and Clinical Practice」に掲載されるとともに、プレスリリースが発行された。妊娠中に追加摂取が推奨されている葉酸が子どもの代謝に与える長期的影響についてはこれまで未解明だった。研究者らは、本研究は妊娠母体の葉酸不足が子どもの脂肪蓄積に及ぼす影響とそのメカニズムを初めて証明し、妊娠中の栄養管理による次世代の生活習慣病予防が期待される知見としている。

研究の概要:妊娠中の葉酸不足の影響は神経管閉鎖障害だけでない

葉酸は神経管閉鎖障害※1の予防に不可欠な栄養素として知られており、日本でも現在、妊婦前から妊娠中にかけて、食事に加えて1日あたり約0.4mgの追加摂取が推奨されている。しかし、妊娠中の葉酸レベルが、子どもの将来の肥満や代謝疾患リスクにどのような影響を及ぼすかについてはわかっていなかった。

九州大学大学院歯学研究院OBT研究センター、福岡歯科大学口腔医学研究センターの研究グループは、シンガポール国立大学、国立台湾大学との国際共同研究により、妊娠中の母親の血中葉酸濃度が低いほど成長後の子どもに肥満が生じやすく、さらに肝臓や筋肉に脂肪が蓄積しやすくなることを初めて明らかにした。

肝臓や筋肉に脂肪がたまる「異所性脂肪」は、インスリンの効きが悪くなるなど、さまざまなエネルギー代謝異常の原因となることが知られている。研究チームは、妊娠母体の葉酸不足による産仔の異所性脂肪蓄積の仕組みも明らかにした。

葉酸は「一炭素代謝※2」と呼ばれる重要な代謝経路に関わっている。この経路は、アミノ酸の一つであるメチオニンの代謝や、体内のエネルギー利用システムに深く関係しており、とくに肝臓で活発に働いている。妊娠中に母体の葉酸が不足すると、産仔の脂肪組織だけでなく、肝臓や筋肉においても一炭素代謝に重要な役割を担うAmd1(アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ1)遺伝子の発現が低下していた。その結果、脂肪酸を代謝してエネルギーに変えるβ酸化がうまく働かなくなり、各組織で脂肪が燃焼しにくい状態になることがわかった。

図1

妊娠中に葉酸が不足すると、子どもの成熟後に肥満や異所性脂肪蓄積(脂肪肝、脂肪筋)が生じた。これには、肝臓や骨格筋におけるAmd1遺伝子の発現低下による脂肪酸の代謝効率低下が関与していた。

(出典:九州大学)

さらに本研究では、シンガポールの出生コホート(GUSTO:Growing Up in Singapore Towards healthy Outcomes※3)のデータを解析した。

その結果、妊娠26週目の母親の血中葉酸濃度が低いほど、子どもが6歳になった時点で肝臓や筋肉に蓄積している脂肪量が多いことが確認された。なお、これらの母親のほとんどは、妊娠中に葉酸サプリメントを摂取していた。つまり、妊娠中に摂取する葉酸の量だけでなく、実際の血中葉酸濃度を適切に維持することが重要である可能性が示された。

研究者らは、「これまで病気の原因は主に遺伝や出生後の環境にあると考えられていたが、出生前(妊娠母体)の環境因子も、病気の発症に影響を及ぼすことが証明された。今回の研究では、妊娠母体の一つの栄養素が不足するだけで、子どもが脂肪を溜め込みやすくなることがわかった。妊娠前あるいは妊娠中の栄養管理の重要性を医療関係者のみならず、多くの方々に知っていただきたい」とコメントしている。

プレスリリース

妊娠期の葉酸不足が子の肝臓・筋肉への異所性脂肪蓄積を促進−将来の肥満・糖尿病予防に期待−(九州大学)

文献情報

原題のタイトルは、「Low maternal folic acid during pregnancy exacerbates ectopic fat accumulation in the liver and muscle of male offspring」。〔Diabetes Res Clin Pract. 2026 Mar:233:113161〕 原文はこちら(Elsevier)

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スポーツ栄養Web編集部


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生活習慣病リスクを抱えている対象者への指導は、管理栄養士の主要な業務の一つだが、その指導スキルがどの程度のレベルに到達しているのか、気になることはないだろうか。そのような不安の解消の一助となるツールが開発された。自分自身のスキルを評価できるチェック表であり、その信頼性・妥当性が予備的研究で支持されたという。帝京大学大学院公衆衛生学研究科および栄養サポートネットワーク合同会社の安達美佐氏らによる研究によるもので、「日本公衆衛生雑誌」に論文が掲載された。

管理栄養士のスキルアップをサポートするツールが求められている

管理栄養士は、栄養指導はもちろんながら、運動、睡眠、禁煙など多岐にわたる介入を行う。これらは現在、栄養管理の国際的な基準である「Nutrition Care Process(NCP,栄養ケアプロセス)」に基づき行われるようになってきている。安達氏らは既に、NCPに基づく生活改善プログラム(structured individual-based lifestyle education;SILE)を提案し、その有用性を報告している(DOI: 10.1186/1471-2458-13-467DOI: 10.1017/S1368980016001920)。しかしその一方で、管理栄養士のスキル向上を目的としたツールは乏しい。

これを背景に同氏らは新たに、管理栄養士が指導スキルの自己達成度を評価しその向上を目指すための「スキルチェック表」を開発。さらにその信頼性や妥当性を予備的に検討した。

スキルチェック表の概要

スキルチェック表の開発は、安達氏を含む3人の管理栄養士が合議により開発した。

全体の構成は、「介入方針の決定(達成目標の設定)」関連が4項目、「栄養アセスメント(問題点の抽出)」関連が8項目、「栄養診断(優先する問題点の決定)」関連が4項目、「栄養介入(行動目標の設定)」関連が5項目、「栄養モニタリング・評価」関連が5項目で、計26項目。その他の身体計測値や生化学データ、既往歴、服薬状況などは基本的に把握すべきことであるため含めなかった。

このスキルチェック表の利用法は、日常業務において直近の数週間に担当した複数の対象者への生活習慣改善指導全体を念頭に、管理栄養士自身が各項目を「1. ほぼ全症例で実施」、「2. 約半数で実施」、「3. 実施例が少ない」の3段階で評価するというもの(詳細は論文参照〈DOI: 10.11236/jph.25-135〉)。

スキルチェック表の信頼性や妥当性を予備的に検討

開発されたチェック表の検証のための研究には、日常的に薬局に勤務し栄養管理業務に携わる薬局、医療機関、保健指導事業従事者で、栄養指導経験が5年未満の管理栄養士25名が参加。ベースライン時点と、その後2週間ごとに計7回の自己評価を行った。また、ベースライン時と12週間経過後の2時点で、異なる背景をもつ3症例を用いた栄養指導のロールプレイングを実施。その様子を撮影した動画を栄養指導の経験のある3名の管理栄養士(経験年数の平均15.7年)が評価した。

データ欠落のあった1名を除外し、24名を解析対象と、主要評価指標は『スキルチェック表』に基づく栄養スキルスコア(100点換算)とした。

栄養スキルスコアの再現性、内的一貫性

再現性は、別途実施した管理栄養士30人を対象とする調査のうち、1週間間隔で2回回答が得られた21人で検討され、ICCは0.986(95%CI: 0.973~0.999)であった。補助的に算出したSpearmanの順位相関係数も0.689(P<0.001)であった。また、ベースライン時点の栄養スキルのスコアは、Cronbachのαが0.907であり、高い内的一貫性が確認された。

構成概念妥当性

管理栄養士の経験年数別群(3年未満/3年以上)とスキル評価者群の3群で比較したところ、平均スコアは58.0、78.8、98.7で、経験年数が長い群ほど高い傾向がみられた。ただし、管理栄養士同士の群間差は有意ではなく、両群はいずれもスキル評価者群より有意に低かった-。

栄養管理スキルへの介入効果

ベースライン時点と12週間後を比較すると、自己評価・第三者評価のいずれでも栄養スキルスコアは有意に上昇した。もっとも、対照群を置かない前後比較であるため、この変化がツール使用そのものによる効果かどうかは今後の検証が必要である。第三者評価の評価者間信頼性(ICC(2,1))は、ベースライン0.512、最終時点0.758で、最終時点では良好な水準に達した。

アンケート調査による参加者の主観的評価

上記の客観的指標による検討のほかに、ベースライン時点と12週間後の最終時点に行ったアンケート調査の結果に基づき、研究参加者の主観的な評価の変化を検討した。

その結果、ベースライン調査では「ほとんどの症例でNCP(栄養ケアプロセス)に沿って実施している」と回答した割合が25.0%であったものが、最終調査では58.3%となっていた。また、「栄養相談で効果があったのか実感が持てない」との回答は、83.3%から45.8%となっていた。

今後は教育や研修での実装が課題

以上の結果に基づき著者らは、「我々が開発した本ツールは、管理栄養士の自己評価を通じて自らのスキル向上を支援する可能性が示された。研究参加者に薬局勤務者が多かったことは限界点ではあるが、薬局栄養士の役割は今後も拡大していくと見込まれており、本研究は先駆的試みと位置づけられる」と総括している。

なお、今後の展開としては、「医療機関に勤務している管理栄養士などへの適用や大規模研究による有効性の検証を通じて、教育・研修への実装を目指していきたい」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「管理栄養士の生活習慣改善指導スキル向上を目指したスキルチェック表の開発と予備的検討」。〔日本公衆衛生雑誌 J-STAGE早期公開(2026年3月26日)〕 原文はこちら(J-STAGE)

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スポーツ栄養Web編集部


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食塩含有量の多い食品を減らし、食塩摂取量の多い人を減らすことによる、高血圧患者数や高血圧医療費への影響をシミュレーションした結果が報告された。人口減少の影響も加わるため患者数や医療費は今後減少していくと予測されるが、より強力な減塩施策の推進によってそのスピードの加速も見込めるという。聖路加国際大学大学院公衆衛生学研究科の西信雄氏らの研究によるもので、論文が「Nutrients」に掲載された。

より一層の減塩に向けた個人と社会の取り組みの推進

食塩の摂りすぎが血圧を高め、心血管疾患・腎疾患のリスクを高めることは広く知られている。それにもかかわらず、近年の日本人の食塩摂取量はほぼ横ばいであり、高血圧の有病率も高止まりしている。

個人へ減塩を呼び掛けるという従来型の公衆衛生施策が行き詰まっている現状において、世の中に流通している食品の食塩含有量を減らすという社会的な取り組みの必要性が指摘されるようになってきており、減塩調味料などが徐々に増えてきている。このような変化を背景に西氏らは、このような取り組みが将来的に高血圧患者数や高血圧医療費へどのような影響を与えるかシミュレーションした。

減塩施策を3倍速で進めると、2040年に食塩摂取量6.9gも視野に

シミュレーションには、2012~23年の「国民健康・栄養調査」や、高血圧有病率が高い40~79歳の人口の推移、外来医療費などのデータを用いた。

2012年時点の食塩摂取量、食塩含有量が多い食品、患者数、医療費

2012年の40~79歳の人口は男性3,160万人、女性3,320万人、食塩摂取量は10.1gだった。世の中に流通している食品の点数を1,000品目と仮定し、そのうちの10%(100品目)が、食塩含有量の少ない食品、その他の90%(900品目)を食塩含有量の多い食品と位置づけたうえで、2012年の国民1人あたりの食塩摂取量が10.4±4.2gと報告されていることから、食塩含有量の少ない食品は1日量として食塩含有量が6gのもの、食塩含有量の多い食品は同14gのものと仮定した。なお、40~79歳の人口のうち48.7%は食塩摂取量が比較的少ない群であり、10万人あたり5万1,313人が食塩摂取量の多い群と推定された。

2012年の高血圧有病者数は、男性1,460万人、女性1,050万人であり、外来医療費は同順に5,319億円、5,078億円だった。なお、後述の外来医療費の変化の予測に際しては、患者あたりのコストが2012~19年と同等の水準で推移するものとして算出した。また、高血圧の合併症として生じる心腎疾患などの医療費は含めずに算出した。

食塩含有量が多い食品から少ない食品への切り替えの推進、患者数の減少のシナリオ

各種のデータを参照した検討により、世の中に流通している食品の食塩含有量が年に4%の係数で低下し、食塩摂取量の多い人が年に7.86%の係数で減少すると推測された。この推測に人口の減少や移動を加味し、2026年、および2040年には以下のように変化すると予測された。

2026年

食塩含有量の多い食品
676品目
食塩摂取量の多い人
4万5,415人(40~79歳10万人あたり)
食塩摂取量
9.6g
高血圧有病者数
男性980万人、女性750万人
外来医療費
男性3,775億円、女性3,738億円

2040年

食塩含有量の多い食品
483品目
食塩摂取量の多い人
3万4,322人(40~79歳10万人あたり)
食塩摂取量
8.7g
高血圧有病者数
男性630万人、女性520万人
外来医療費
男性2,443億円、女性2,598億円

2012年から2040年の変化

食塩含有量の多い食品
-46.3%
食塩摂取量の多い人
-33.1%
食塩摂取量
-13.9%
高血圧有病者数
男性-56.8%、女性-50.5%
外来医療費
男性-54.1%、女性-48.8%

減塩施策推進によるブースト効果

次に、食品の食塩含有量や食塩摂取量の多い人の減少速度が3倍に加速した場合の2040年の状況がシミュレーションされた。

食品の食塩含有量の減少が2040年まで3倍速で進行した場合

食塩含有量の多い食品
242品目〔ブースト効果-50.0%〕
食塩摂取量の多い人
3万793人(40~79歳10万人あたり)〔ブースト効果-10.3%〕
食塩摂取量
8.5g〔ブースト効果-3.2%〕
高血圧有病者数
男性630万人、女性520万人〔ブースト効果-0.3%、-1.0%〕
外来医療費
男性2,437億円、女性2,574億円〔ブースト効果-0.2%、-0.9%〕

食塩摂取量の多い人の減少が2040年まで3倍速で進行した場合

食塩含有量の多い食品
459品目〔ブースト効果-5.1%〕
食塩摂取量の多い人
1万6,652人(40~79歳10万人あたり)〔ブースト効果-51.5%〕
食塩摂取量
7.3g〔ブースト効果-16.2%〕
高血圧有病者数
男性620万人、女性490万人〔ブースト効果-1.7%、-6.6%〕
外来医療費
男性2,406億円、女性2,437億円〔ブースト効果-1.5%、-6.2%〕

食品の食塩含有量と食塩摂取量の多い人の減少がともに2040年まで3倍速で進行した場合

食塩含有量の多い食品
201品目〔ブースト効果-58.5%〕
食塩摂取量の多い人
1万639人(40~79歳10万人あたり)〔ブースト効果-69.0%〕
食塩摂取量
6.9g〔ブースト効果-21.7%〕
高血圧有病者数
男性620万人、女性480万人〔ブースト効果-2.3%、-8.8%〕
外来医療費
男性2,393億円、女性2,383億円〔ブースト効果-2.0%、-8.3%〕

心腎疾患も考慮するなら、さらに大きな医療経済的インパクトが期待される

上記のほか、都道府県別のデータに基づくシミュレーションも行われ、全国データのシミュレーションとほぼ同様の傾向が予測された。2012年の食塩摂取量は、沖縄県の8.3g/日から岩手県の11.7g/日の範囲に分布し、2040年にはそれぞれ6.9g/日、10.3g/日に低下すると予測された。

著者らは、高血圧に伴う心血管疾患・腎疾患等の医療費を考慮していないため、減塩施策の推進による医療費へのインパクトが過小評価されていることなどの留意点を挙げたうえで「食塩含有量の多い食品を46.3%削減し、食塩摂取量の多い人を33.1%減少させることで、平均摂取量は10.1g/日から8.7g/日へと13.9%減少するものと推計された。さらに、2040年までに食塩摂取量が6.9g/日へと減少した場合、高血圧の有病者数および外来医療費が男性ではそれぞれ2.3%および2.0%減少し、女性ではそれぞれ8.8%および8.3%減少するというブースト効果が見込まれる」と結論づけている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Impact of Salt Reduction on Medical Expenditure for Hypertension in Japan: National and Subnational Simulation Models」。〔Nutrients. 2026 Mar 16;18(6):933〕 原文はこちら(MDPI)

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スポーツ栄養Web編集部


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重量級アスリートの肝機能を、食事やトレーニングとの関連から考察した研究結果が報告された。国内の男子投擲選手および柔道選手を対象とした解析では、炭水化物のエネルギー比率はいずれの競技においても各種ガイドラインの推奨範囲内であったものの、体重、炭水化物摂取量、および炭水化物エネルギー比率は肝機能マーカーと正の相関が認められたという。日本大学文理学部体育学科の吉沢幸花氏、松本恵氏らによる研究であり、「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に論文が掲載された。著者らは、重量級アスリートの肝機能低下に対しては、トレーニング負荷の調整だけでなく、食事の調整も必要ではないかと述べている。

重量級アスリートの肝臓は大丈夫? 負荷をかけている因子はなに?

重量級のアスリートは、試合に勝つために食事量を増やして重い体重を維持する必要がある。一般集団において過食による体重増加は代謝性疾患のリスク増大と関連するが、アスリートの場合、高いトレーニング量により代謝バランスは保たれ、そのリスクは抑制されると考えられている。とはいえ、体重増加時に除脂肪体重のみを増加させることは困難で脂肪量も増加しやすく、とくに代謝障害との関連が強い内臓脂肪の蓄積が促進されて、メタボリックシンドローム(MetS)のリスクを高める可能性がある。

MetSによる臓器特異的な影響として近年、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction associated steatotic liver disease;MASLD)をはじめとする肝臓への影響が注目されている。肝臓は代謝やタンパク質合成、解毒、生体恒常性(ホメオスタシス)の維持に中心的な役割を果たしており、肝機能の低下により倦怠感や食欲不振などの自覚症状が生じることもある。肝機能低下の原因として、Mets以外にもアルコール多飲、炭水化物の過剰摂取など多々あり、これらはアスリートか非アスリートかにかかわらず肝機能に関与する。

先行研究のなかには、重量級の柔道選手は軽量級の柔道選手よりも、肝機能マーカーである逸脱酵素のアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)やγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase;γ-GTP)が高いことを示した報告がみられる。ただし、それを普段の食事やトレーニング量と関連付けて検討した研究はない。このギャップを埋めるため、吉沢氏、松本氏らは国内の重量級アスリートを対象として横断的な調査を行った。

投擲選手と柔道選手の体組成、食事、トレーニング、血液検査値の傾向

この研究には、大学の運動部に所属している男子学生38人が参加した。なお、代謝性疾患を有する者および医師により研究参加が不適当と判断された者は除外した。食事やトレーニング内容・量の調査、生体インピーダンス法による体組成測定、および血液検査を実施し、それらのデータに欠落のない29人(投擲選手20人、柔道〈90kg以上の階級〉選手9人)を最終的な解析対象とした。年齢は両群ともに平均19.9歳であり、全員が全国大会レベルのスキルを有していた。

本論文では、体組成、栄養素摂取量、および血液検査値について全体傾向を示すとともに、投擲群および柔道群における特徴を比較し、さらにこれらの指標間の関連性について相関分析を行い、その結果を報告している。

体組成

BMIは投擲群29.1±1.2、柔道群29.4±1.7、体脂肪率は同順に22.0±1.5%、21.8±1.1%であり有意差はなかった。また、ウエスト周囲長、ウエスト・ヒップ比、ウエスト・身長比も有意差はなかった。

この結果について論文中の考察では、解析対象選手の平均BMIのみをみると肥満に該当するが体脂肪率は高くないことから、BMI高値は筋肉量の多さを意味するものと解釈可能としている。ただし、ウエスト周囲長が高値(投擲群98.3±2.9cm、柔道群96.3±2.2cm)であることから、内臓脂肪の過剰蓄積も考えられるとしている。

トレーニング内容・量

投擲群ではテクニックと筋力を要するトレーニングを多く行い、一方、柔道群は持久力を要するトレーニングを多く行っており、それぞれ有意差が認められた。トレーニングによるエネルギー消費は、投擲群が884±71kcal、柔道群が1,593±153kcalだった(p<0.01)。<>

一般集団においては、肝機能低下の一因として身体活動不足が指摘されるが、本研究参加者の身体活動量は両群ともに十分に多く、不足しているとは考えられなかった。

栄養素摂取量

エネルギー摂取量は、投擲群3,018±149kcal、柔道群3,160±146kcalであり有意差はなかった。ただし、たんぱく質(摂取量、体重あたりの摂取量〈相対摂取量〉、総摂取エネルギーに占める割合〈%エネルギー〉)、炭水化物(相対摂取量、%エネルギー)、食物繊維、ビタミンB1、B3、亜鉛の摂取量は柔道群のほうが有意に多かった。反対に、脂質(%エネルギー)、カルシウム、鉄の摂取量は投擲群が多かった。

なお、主要栄養素摂取量の%エネルギーは以下のとおり。炭水化物(投擲群52.2±0.9、柔道群58.0±1.0)、たんぱく質(同順に15.4±0.6、19.3±1.2)、脂質(29.7±0.9、26.4±1.1)。

血液検査の結果

肝機能マーカーを含め、測定した検査項目の平均値はすべて基準範囲内であった。また投擲群と柔道群に有意差のある項目はなかった。ただし、個々の選手の検査値をみると、基準範囲からの逸脱が認められた。例えば、ALTが54U/L、中性脂肪が239mg/dLといった、肝機能異常やMetSの存在が示唆される選手が存在した。

体組成、食事、トレーニングが肝機能に及ぼす影響

続いて、上記の相関が解析された。その結果、両群において、体重、炭水化物摂取量とエネルギー摂取量、ALT、γ-GTPの間には正の相関が認められた。

例えば、投擲選手ではALTとγ-GTPが体重および体脂肪率と正相関しており、柔道選手ではASTが体重および体脂肪率と正相関していた。また、両群において、エネルギー摂取量とALTが正相関していた。柔道群では、炭水化物の相対摂取量が多いほどALTが高く、炭水化物の%エネルギーが高いほどγ-GTPが高いという関連もみられた。なお、γ-GTPは両群において、トレーニングによるエネルギー消費量とも正相関していた。

これらの結果について著者らは、一般集団対象の研究で、炭水化物の摂取が血糖値とインスリン負荷を上昇させ、肝臓への脂肪蓄積と肝細胞障害を引き起こしてMASLDの一因となり、さらに肝臓内異所性脂肪は酸化ストレスと炎症反応を誘発し、それが肝逸脱酵素の上昇につながる可能性が示唆されていることに言及。「日常的に高負荷のトレーニングを行っているアスリートであっても、過剰摂取を避けるためにエネルギー摂取量を適切に管理する必要があるのではないか」と述べている。

以上の結果と考察を総括し、著者らは結論を以下のようにまとめている。

「エネルギー摂取量が多く、かつ炭水化物摂取量とトレーニング量も多い場合、重量級アスリートの肝機能に悪影響が生じる可能性があるようだ。本研究の結果は、肝機能低下を防ぐためには、適切な食事バランスとトレーニング量の調整が必要であることを示唆している。しかしながら、肝機能を改善するために、どの程度の炭水化物およびその他の栄養素を摂取すべきなのかという点は、依然として不明であり、さらなる研究が必要とされる」。

文献情報

原題のタイトルは、「Correlation between Diet and Training: Impact on Blood ALT and γ-GTP Levels in Heavyweight Male Athletes」。〔J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2026;72(1):19-29〕 原文はこちら(J-STAGE)

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スポーツ栄養Web編集部

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フランスの北端から南端まで約2,600kmを走行する超耐久自転車ロードレース参加選手の「睡眠」に焦点を当てた研究結果が報告された。平均7泊に及ぶレース中の睡眠時間が長い選手ほど、ゴール着順が上位だったという。睡眠時間とレース中の認知機能との関連も認められ、著者らは持久競技において睡眠はパフォーマンスにとって重要であり、かつ事故リスク回避のためにも重要と述べている。

超耐久レースにおける睡眠

睡眠は、身体・認知機能や感情のコントロールの維持にとって重要であり、スポーツとの関連ではパフォーマンスの最大化と怪我のリスク抑制という点でも重要とされる。とくに競技時間が数時間以上となる耐久レース、あるいは数日から数週間に及ぶランニングや自転車などの超耐久レース、外洋セーリングでは、睡眠の管理が競技成績を左右する可能性も考えられる。とはいえそれを証明した研究は少ない。

今回紹介する論文は、フランスで行われている国土を縦断する自転車ロードレース(Race Across France;RAF)の参加者を対象として、レース中の睡眠を計測し認知機能や成績との関連を調査したもの。

フランスを10日以内に縦断するレース参加者を対象に睡眠を調査

研究の対象としたRAFは2024年6月に行われた。フランスの北端に近いリールから南端の地中海に沿いに位置するマンドリュー=ラ=ナプールまで、2,588kmを240時間(10日間)以内に走行するレースで、ルートの累積標高差は2万9,250m。

研究参加者は40人(女性5人)。手首装着型の加速度計をシャワーの時も常に外さないこととし、睡眠や活動状況を把握した。また、独自に開発したアプリケーションをスマートフォンにダウンロードしてもらい、スタートの1時間前から昼夜を問わず、4時間ごと(9時、13時、17時、21時、1時、5時)に、その時点の眠気(カロリンスカ眠気尺度)を報告してもらった。さらに、スタート1時間前、620km地点、1,438km地点、2,066km地点、およびゴールの1時間後に、認知機能を評価した。なお、研究者は選手の睡眠や覚醒に介入せず、観察のみを行った。

認知機能の評価には、Go/No-Go反転課題と呼ばれる手法を用いた。これは、ある刺激が出たらボタンを押し、別の刺激では押さないというルールに従いテストを受け、その途中からルールを逆転させて、参加者がどれだけ早くルールが変化したことを認識し反応できるかを調べるというもの。

解析対象者について

研究参加者40人のうち10人は、関門を制限時間内に通過できなかったことや怪我、自転車のトラブルなどの理由で途中棄権した。また7人はプロトコルからの逸脱(チェックポイントでの認知機能テストを受けない、スマホアプリや加速度計の不具合など)のため、解析から除外し、解析対象は23人(女性2人)となった。

23人の平均年齢は37.2±9.1歳で、ピッツバーグ睡眠質問票で評価した日常の睡眠の質は4.2±1.6であり良好だった。

適切な睡眠戦略はパフォーマンスと安全性の双方にとって重要

レースを完走した選手は134人で、そのうち本研究に参加した選手の着順は3位から96位の範囲にあった。完走に6.9±0.5泊(範囲5~8)を要し、コース上にいた時間は190.7±12.41時間(同142.1~214.2)だった。

24時間あたりの平均睡眠時間は228±107分だった。レース中の睡眠時間には日差変動があり、境界域の有意性がみられた(p=0.05)。全体として、レースの終盤になるほど睡眠時間が長くなるという有意な関連があった(R2=0.83、p<0.001)。<>

睡眠の時間帯は0~4時に最も多くあてられていた。日中の仮眠の時間帯のピークは観察されなかった。

休憩時間ではなく、睡眠時間がレース成績と有意に関連

24時間あたりの平均睡眠時間とレース順位の間に有意な相関が認められ(r=0.80、p<0.001)、より長く睡眠している選手のほうが上位でゴールしていた。一方、加速度計のデータから、静止はしているものの睡眠はしていないという休憩時間は、レース成績と関連がなかった。<>

睡眠時間とカロリンスカ眠気尺度で評価した日中の眠気の関連の解析から、24時間あたりの睡眠時間が5.29時間を切ると、日を追うごとに日中の眠気が強くなっていくという関連が認められた。

このほかに認知機能については、睡眠時間が短い場合に経時的に低下していき、反応時間も遅くなっていくという関連が認められた。

これらの結果に基づき著者らは、「超耐久レースに参加するアスリートは適切な睡眠戦略を採用することで、パフォーマンスと安全性の双方を向上させることが可能」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Cognitive Costs of Sleep Deprivation in Ultra-Endurance Cycling: Insights From the Race Across France」。〔J Sleep Res. 2026 Feb 1:e70295〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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スポーツ栄養Web編集部

0.001)、より長く睡眠している選手のほうが上位でゴールしていた。一方、加速度計のデータから、静止はしているものの睡眠はしていないという休憩時間は、レース成績と関連がなかった。<>0.001)。<>

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特別編 熱中症の予防と水分補給法

ライブ配信:2026年5月26日(火) 19:00~21:00 見逃し配信:2026年5月30日(土)~6月5日(金)

体内における水分の働き、必要な水分量と発汗のメカニズムから水分補給の重要性、熱中症症状の見極め方と予防法についても詳述します。

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2026年 前期 セミナー開催日程

第1回 スポーツ栄養の必要性 エネルギーと糖質の摂取

ライブ配信:2026年4月21日(火) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年4月25日(土)~5月1日(金)

スポーツ栄養とは? その意義とアスリートにおける栄養摂取の基本的考え方からスタート。エネルギー摂取と代謝のメカニズム、最も重要なエネルギー源である糖質摂取の意義、糖質の選び方・食べ方、シーンに応じた摂取目安量、タイミング、グリコーゲンローディングやリカバリー活用のしかたなどについて詳しく解説します。

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第2回 タンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取とサプリメントの活用

ライブ配信:2026年5月12日(火) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年5月16日(土)~5月22日(金)

アスリートの脂質、タンパク質、ビタミン・ミネラルの摂り方を取り上げます。特に、タンパク質の適正な摂取量を知り、リカバリーや筋合成のためにどのように摂るとよいかを詳しく解説。摂りきれなかった栄養素を補うサプリメントの利用、競技力向上を目的に栄養素以外の成分をサプリメントで摂取するエルゴジェニックエイドとしての活用についても学びます。

詳細・お申し込み

第3回 アスリートの食事、スポーツ栄養マネジメントを用いた栄養管理システムの活用

ライブ配信:2026年6月11日(木) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年6月13日(土)~6月19日(金)

アスリートの運動量に応じた適正量を知り、目標達成のためにどのような食品をどのタイミングで食べるか、食材選び、食事構成、補食・間食のとり方の極意を講義します。理に適った糖質とタンパク質の摂り方、食塩摂取の考え方、生活リズムと朝食の関係など、具体的なノウハウを学びます。

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第4回 試合期・遠征時の栄養管理

ライブ配信:2026年7月14日(火) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年7月18日(土)~7月24日(金)

通常の食事と試合期の食事は異なります。緊張や興奮からくる栄養状態への影響と対策を考えた試合前、試合当日の食事の原則・栄養管理のポイント、TPOに応じた糖質やタンパク質、水分摂取について講義します。

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第5回 アスリートにおける栄養面の課題~増量、エネルギー不足、貧血、疲労骨折を中心に~

ライブ配信:2026年8月20日(木) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年8月22日(土)~8月28日(金)

アスリートにおける栄養面の課題をテーマに、エネルギー不足による健康問題、治し方、予防策、様々な理由による貧血、疲労骨折の原因と予防、増量・減量の正しい行い方を講義します。"エネルギー不足"の弊害は、実はまだあまり知られていませんが、アスリートに限らず、子どもや高齢者、女性など、あらゆる世代に関わる大きな問題です。

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第6回 対象アスリート別栄養管理~ジュニアアスリート、女性アスリート、パラアスリートを中心に~

ライブ配信:2026年9月17日(木) 13:30~17:00 見逃し配信:2026年9月19日(土)~9月25日(金)

選手の目標・課題達成のためのサポート計画に基づいた「スポーツ栄養マネジメント」の流れ、対象者別コンディション管理、評価のしかたを中心に講義を行います。女性の三主徴、発育発達期のエネルギー摂取の考え方、シニアやパラアスリートのサポートについても詳しく解説。

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スポーツ栄養WEB編集部


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レジスタンストレーニングにより筋力や除脂肪体重に対する、異なるタンパク質ベースのサプリメントの効果を、ネットワークメタ解析により比較した研究結果が報告された。健康な成人においては、コラーゲンおよびホエイプロテインのサプリの有効性が示唆されるという。ブラジルの研究者らによる論文。

健康な成人では、どのタンパク質ベースサプリが筋トレ効果を最も高めるのか?

レジスタンストレーニングによる筋力と除脂肪体重の増加を、いくつかのサプリメントがサポートすることが知られており、とくに筋タンパク質の合成およびその刺激に必要とされるタンパク質ベースのサプリメントの有用性に関するさまざまな研究が報告されてきている。

最近の研究では、摂取するタンパク質の量が等しくても、どの食品由来のサプリかによって筋力や除脂肪体重に対する影響が異なることも示されている。この差には、アミノ酸組成や消化・吸収速度の違い、および食品マトリクス効果の潜在的な差異などが関与していると考えられている。

ただしこれまでのところ、異なるタンパク質ベースサプリの筋力等への影響を直接比較した報告は多くない。報告されているものの大半はサルコペニアを有する高齢者や慢性疾患患者を対象としたものが中心であり、健康な成人を対象に比較検討した研究は乏しい。

これを背景として今回紹介する論文の著者らは、健康な成人の筋トレに対するタンパク質ベースのサプリのサポート効果を比較するため、異なる介入試験の結果を統合して介入効果を比較する統計学的手法である、ネットワークメタ解析を用いた検討を実施した。

ネットワークメタ解析により、異なるRCTの結果を統合して比較

システマティックレビューとメタ解析のための優先報告項目(PRISMA)の拡張版である、ネットワークメタ解析のガイドライン(PRISMA-NMA)に準拠して、PubMed、Scopus、Embaseに2024年5月までに収載された論文を対象とする検索を行った。

包括基準は、疾患のない健康な成人を対象に、タンパク質ベースのサプリとレジスタンストレーニング(resistance training;RT)を組み合わせた場合の筋力および除脂肪体重(fat-free mass;FFM)への影響を評価した、無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)とし、発行日や言語は制限しなかった。無作為化されていない試験、観察研究、症例報告、タンパク質ベース以外のサプリとの複合効果を検討した試験、未発表の学術論文(学位論文など)、査読を受けていない記事、総説などは除外した。

一次検索で2,650報がヒットし、重複削除後の1,911報をタイトルと要約に基づくスクリーニングで135報に絞り込み、全文を入手不能な2報を除外して133報を全文精査の対象とした。これらは2名の研究者が独立して行い、採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により合意を得た。

43報が適格と判断され、それらの論文の参考文献のハンドサーチにより、さらに35報を追加し、最終的に78件の研究報告を適格と判断した。

タンパク質サプリの中ではコラーゲンとホエイプロテインの効果が高いという結果

ネットワークメタ解析による主要評価項目は筋力への影響であり、副次評価項目として除脂肪体重への影響を比較した。

筋力への影響

筋力への影響に関しては68件の研究報告があり、13種類のタンパク質ベースサプリが検討されていた。合計2,401人が参加し、筋力の評価手法として多くの研究は、1回だけ施行可能な最大負荷量(one repetition maximum;1RM)を用いていた。

解析の結果、調査されていたタンパク質ベースのサプリの中で、レジスタンストレーニング(RT)による筋力のサポート効果が最も高いのは、コラーゲンであることが示された。コラーゲンは、カゼイン(標準化平均差〈SMD〉=0.55〈95%CI;0.10~1.00〉)、ミルクプロテイン(SMD=0.53〈0.12~0.93〉)、およびプラセボ(SMD=0.41〈0.09~0.73〉)と比較して有意に筋力増強効果が優れていた。

ホエイプロテインもプラセボと比較して有意な筋力増強効果を示し(SMD=0.15〈0.03~0.27〉)、コラーゲンとともに統計的に有意性が観察された。

SUCRA解析の結果、筋力増強効果が高いと考えられる順に、コラーゲン(SUCRA=88.05%)、ウシ初乳(同76.81%)、牛肉プロテイン(66.66%)、ホエイプロテイン(64.34%)、エンドウ豆プロテイン(62.89%)、乳酸アルブミン(62.02%)はSUCRAが60%以上であり、プラセボよりも有効な可能性が示唆された。一方、ミルク(23.59%)やカゼイン(23.46%)などはSUCRAが低く、効果的な選択肢である可能性は低いと示唆された。

研究間の異質性は無視できる程度と判断された(I2=5.6%〈0.0~29.9%〉)。

除脂肪体重(FFM)への影響

除脂肪体重(FFM)への影響に関しては63件の研究報告があり、11種類のタンパク質ベースサプリが検討されていた。合計2,354人が参加し、FFMの評価手法として多くの研究は、二重エネルギーX線吸収測定(dual-energy X-ray absorptiometry;DXA)法を用いていた。

解析の結果、調査されていたタンパク質ベースのサプリの中でRTによるFFMのサポート効果が最も高いのは、コラーゲンであることが示され(SMD=0.94〈95%CI;0.48~1.40〉)、効果が際立っていた。コラーゲンは、ウシ初乳(SMD=0.70〈0.08~1.32〉)、カゼイン(SMD=0.87〈0.35~1.39〉)、魚プロテイン(SMD=0.96〈0.05~1.87〉)、ミルクプロテイン(SMD=0.83〈0.32~1.35〉)、ピーナッツプロテイン(SMD=0.91〈0.24~1.58〉)、米プロテイン(SMD=0.88〈0.15~1.62〉)、大豆プロテイン(SMD=0.78〈0.31~1.25)と比較しても、FFMのサポート効果が有意に優れていた。

ホエイプロテインもプラセボと比較して有意な筋力増強効果を示し(SMD=0.16〈0.05~0.28〉)、コラーゲンとともに統計的に有意性が観察された。

SUCRA解析の結果、FFMに対する効果が高いと考えられる順に、コラーゲン(SUCRA=98.92%)、牛肉プロテイン(77.00%)、ウシ初乳(64.12%)、ホエイプロテイン(60.23%)と続いた。魚プロテイン(34.34%)、ピーナッツプロテイン(37.30%)、昆虫プロテイン(38.35%)、カゼイン(40.72%)などはSUCRAが低く、効果的な選択肢である可能性は低いと示唆された。

研究間の異質性は観察されなかった(I2=0%〈0.0~29.3%〉)。

著者らは、研究報告数の少ないサプリに関してはネットワークメタ解析による順位付け推定値の信頼性が低下することを限界点として挙げたうえで、「コラーゲンとホエイプロテインは、健康な成人のレジスタンストレーニングによる筋力と除脂肪体重への効果を一貫して向上させるサプリメントして特定された」と結論づけている。

文献情報

原題のタイトルは、「Which Protein-Based Dietary Supplements Most Effectively Enhance Fat-Free Mass and Strength Gains in Healthy Adults Undergoing Resistance Training? A Network Meta-Analysis」。〔Transl Sports Med. 2026 Feb 2:2026:5557511〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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スポーツ栄養Web編集部


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アイスランドの17~18歳の青少年を対象に、習慣的なエナジードリンク(ED)の摂取、およびその摂取時間帯を横断的に調査した結果が報告された。習慣的にEDを飲む若者は睡眠時間が短く、健康的な食品の摂取頻度が低いという。また、とくに15時以降にEDを飲む習慣は、より睡眠時間が短いことも示されている。

エナジードリンク(ED)の摂取タイミングは睡眠に及ぼす影響を左右するか?

エナジードリンク(energy drink;ED)の消費量は年々増加しており、とくに未成年層で増加していることが報告されている。EDは一般的にカフェインを多く含んでおり、その摂取習慣が、就寝時刻の遅延、睡眠時間の短縮、日中の眠気などと関連していることが報告されている。また、食事の質の低下との関連を示す報告もある。ただ、EDをいつ摂するかという摂取タイミングと睡眠に及ぼす影響との関連はあまり知られておらず、とくに10代後半の若者での研究はほとんど行われていない。

今回取り上げる論文の著者らは、10代後半の若者において、(1)ED摂取習慣の有無による睡眠習慣の差異、(2)EDを摂取する時間帯による睡眠習慣の差異(3)ED摂取習慣の有無による食習慣の差異という3点を明らかにすることを目的とする横断研究を実施した。

エナジードリンク(ED)を飲む若者の多くが、安全上の懸念の生じるカフェインを摂取

この研究はアイスランドの首都であるレイキャビク近郊の学校3校の生徒を対象に実施された。17~18歳の生徒420人のうち184人(44%)が研究参加に同意し、データ欠落のない171人(女子62.6%)を解析対象とした。

過半数がEDを習慣的に摂取し、18時以降に飲む若者も多い

57.3%の生徒が習慣的にエナジードリンク(ED)を摂取しており、男子(48.4%)より女子(62.6%)のほうが高かった(p<0.001)。<>

ED摂取習慣のある生徒において、18~21時に飲む習慣のある割合は、男子が25%、女子は45%だった。さらに21時から翌朝6時の間に飲む習慣のある生徒も存在し、その割合は男子12%、女子27%だった。

睡眠習慣については、平日の睡眠時間が6.5±1.1時間、休日は8.3±1.1時間であり性別による有意差はなく、平日・休日の就床時刻・起床時刻も性別による有意差はなかった。

欧州食品安全機関の安全性基準を超えるカフェインを摂取している若者も多い

欧州食品安全機関(European Food Safety Authority;EFSA)は、カフェイン摂取量が1.4mg/kgを超えると睡眠への影響の懸念があり、3.0mg/kgを超えると安全性上の懸念が生じるとしている。

本研究では、過去3カ月間の平均的な食品・飲料の摂取量を報告してもらっている。その回答に基づき推計したカフェイン摂取量が上記の値を超える生徒の割合を割り出したところ、男子ではED摂取習慣のある生徒の過半数にあたる55%が1.4mg/kgを超えて摂取しており、女子でも半数近くの46%が1.4mg/kgを超えて摂取していた。さらに、3.0mg/kgを超える量を摂取していると考えられる生徒が、男子は32%、女子は18%存在していた。

15時以降にEDを飲む習慣は睡眠時間の短縮と関連

推定カフェイン摂取量が3mg/kg/日の男子は、3mg/kg/日未満の生徒と比較して、平日の睡眠時間が有意に短かった(6.1±1.0 vs 7.0±1.0時間、p=0.007)。ただし休日の睡眠時間には有意差がなかった。また、1.4mg/kg/日以上と未満での比較では、男子においては平日・休日ともに睡眠時間に有意差がなかった。

一方、女子では推定カフェイン摂取量が3mg/kg/日の生徒は、3mg/kg/日未満の生徒と比較して、平日(6.2±1.0 vs 6.9±1.2時間、p=0.029)、休日(8.2±1.2 vs 9.0±0.7時間、p=0.022)ともに睡眠時間が有意に短かった。さらに、1.4mg/kg/日以上と未満での比較においても、前者の群は平日の睡眠時間が有意に短かった(6.4±1.0 vs 7.0±1.2時間、p=0.003)。休日の睡眠時間には有意差がなかった。

EDを15時以降に飲む習慣のある若者は、睡眠時間6時間の割合が有意に高い

次に、エナジードリンク(ED)の摂取時間帯と睡眠時間との関連に着目すると、EDを習慣的に飲むものの15時以降は習慣的に飲まない群(35人)に比較し、15時以降にも習慣的に飲む群(63人)は、睡眠時間が6時間以下の割合が有意に高かった(p=0.007)。それに対して、EDを習慣的に飲むものの15時以降は習慣的に飲まない群は、EDを習慣的に飲まない群(73人)と、睡眠時間が6時間以下の割合に有意差がなかった。

EDを習慣的に摂取している若者には、食事指導が必要な可能性

続いて、ED摂取習慣と食行動との関連が解析された。

その結果、男子ではED摂取習慣のある生徒は乳製品の摂取頻度か有意に低く、人工甘味料飲料、コーラ、アルコール飲料の摂取頻度が高いという有意差が認められた。また、有意水準未満ながら、ED摂取習慣のある生徒の野菜摂取頻度が低い傾向がみられた(p=0.055)。菓子やスポーツドリンク、加糖飲料の摂取頻度は有意差がなかった。

女子ではED摂取習慣のある生徒は、人工甘味料飲料、加糖飲料、コーラ、スポーツドリンク、アルコール飲料の摂取頻度が高いという有意差が認められた。

著者らは、「アイスランドの若者において、とくに女子の間でEDが習慣的に摂取されており、15時以降に摂取された場合に睡眠時間が短くなることが示された。またED摂取習慣のある若者は栄養価の高い食品の摂取量が少なく、食習慣が良くなかった」と結論づけ、「今後の研究では、これらの行動の長期的な影響を調査し、若者に対して健康的な習慣を促進するための介入策を検討すべきである」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Energy drink consumption, sleep behavior, and food choices of Icelandic adolescents」。〔Food Nutr Res. 2026 Jan 29:70〕 原文はこちら(Örebro University Holding)

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スポーツ栄養Web編集部

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格闘技選手の急速な減量が免疫系に及ぼす影響をシステマティックレビューに基づき総括した論文を紹介する。韓国の研究者によるもので、具体的な推奨項目も示されている。

免疫機能を維持しパフォーマンスを最適化するアプローチの模索

格闘技選手の多くが、試合における優位性を得るために急速な減量(rapid weight loss;RWL)を行う。このRWLは免疫学的に大きなストレスを与え、自然免疫と獲得免疫の双方の機能を低下させる可能性が報告されている。とくに、体重の減少幅と減少速度が重要な決定要因と考えられている。一方で段階的な体重管理、栄養の最適化、バイオマーカーのモニタリングなど、エビデンスに基づいた戦略により、免疫抑制が軽減される可能性もある。今回紹介する論文の研究は、格闘技特有の減量プロトコルにおけるギャップを明らかにし、免疫機能を維持しつつパフォーマンスを最適化するための統合的なアプローチを提案している。

著者は、システマティックレビューとメタ解析の報告に関するガイドライン(PRISMA)に準拠し、PubMed、Scopus、Web of Science、Google Scholarという四つの文献データベースを用いて、2000年1月~2025年9月に収載された論文を対象とする検索を行った。検索キーワードは、急速な減量、減量、格闘技、テコンドー、柔道、レスリング、免疫応答、サイトカイン、ナチュラルキラー(natural killer;NK)細胞、分泌型免疫グロブリンA(secretory immunoglobulin A;sIgA)、炎症などを用いた。

包括基準は、現役の格闘技(テコンドー、柔道、レスリング、ボクシングなど)の選手を対象として、RWLプロトコルへの曝露(通常は7日以内の期間で体重の3%以上の減少で定義)による免疫機能パラメーター(直接的に数値化される測定値としての免疫細胞数、サイトカインプロファイル、粘膜免疫マーカー、および関連する生体分子指標から推測される指標)への影響を検討し、査読システムのあるジャーナルに掲載された英語で執筆されている論文。除外基準は、減量期間が長期(4週間以上)の研究、非アスリート集団を対象とした研究、査読を受けていない文献など。

一次検索で278報がヒット。重複等を削除後の187報を2名の研究者がタイトルと要約に基づきスクリーニングを実施し91報に絞り込み、全文精査の対象とした。採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により解決した。

抽出された研究報告の特徴

最終的に日本からの3報を含む10報が適格と判断された。それらの研究の対象選手は、テコンドーが5件、柔道が4件、総合格闘技が1件であり、8件は男性選手、2件(いずれもテコンドー)は女性選手を対象に行われていた。

論文では10報の報告に基づき、急速な減量(RWL)による免疫能低下のメカニズムが総括されている。具体的には、厳格な摂取エネルギー制限や脱水および集中的なトレーニングによって、視床下部-下垂体-副腎(hypothalamic–pituitary–adrenal;HPA)軸が活性化され、コルチゾール上昇に伴い自然免疫と獲得免疫が抑制されること、それに伴う変化として、リンパ球増殖、NK細胞の細胞傷害性低下、好中球の貪食能低下、sIgA分泌低下、IL-6、TNF-α、CRPの上昇などの急性期反応が生じること、そして試合後にも免疫抑制状態が持続し上気道感染症のリスクが高まり回復が遅れることなどが解説されている。

このようなメカニズムの解説に続き、考察において「実践的な意味合いとエビデンスに基づいた戦略」として以下のようにまとめられている。

実践的な意味合いとエビデンスに基づいた戦略

統合的アプローチの第一の柱は、減量プロセスの期間設定と言える。急激で厳しい摂取制限に頼るのではなく、アスリートは少なくとも2週間かけて徐々に体重を減らす構造化された計画を採用すべき。

第二の柱は栄養の最適化である。減量期間中は、総エネルギー摂取量を10kcal/kg/日以上に維持することが推奨される。タンパク質の摂取量は、免疫グロブリンの合成をサポートし、体タンパク質の異化を抑制するために、理想的には1.4~2.0g/kg/日を維持する必要がある。さらに炭水化物を5~7g/kg/日確保することで、好中球とNK細胞の機能を維持できる。ω3脂肪酸(EPA/DHA 3g/日)とビタミンD3(2,000IU/日)のサプリメントは、抗炎症性サイトカインの発現を促進し、制御性T細胞を増やす可能性がある。そのほかに、ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛などの微量栄養素に関する一定のエビデンスがみられる。

水分補給戦略は、体重管理のさまざまな段階に合わせて慎重に周期化する必要がある。競技前のテーパリング中は、十分な水分(例えば26mL/kg)と適切なナトリウム(約3.2g/L)を摂取することが、血漿量の維持と腎臓クリアランスのサポートに役立つ可能性がある。

また、バイオマーカーのモニタリングにより、データに連動して個別化した介入戦略が可能になる。唾液コルチゾール、sIgA、IL-6、CRP、CD4/CD8比、制御性T細胞などの評価により、有害な傾向を早期に検出可能。それらの測定結果が閾値から外れた場合は、免疫学的回復力と最適なパフォーマンスを確保するために、減量の一時停止、カロリー摂取量の増加、高強度トレーニングの延期などの調整を検討する必要がある。

統合的な推奨事項

減量戦略

週あたりの減量ペースを総体重の1%未満にするべき。この段階的なアプローチにより、代謝と免疫系の適応が可能になり、急速な減量でよく見られる異化ストレス(HPA軸の活性化)を最小限に抑えることができる。

競技直前の72時間で体重を5%以上減らすことを目指すことは、免疫学的リスクを著しく高める。リンパ球機能とsIgAレベルの著しい低下が確認されている。そのようなRWLプロトコルは厳格に避けるべき。

栄養摂取戦略

栄養介入においては、免疫細胞にエネルギーを供給し、腸管バリア機能を維持するために、十分な基質供給を確保することを最優先事項としなければならない。

エネルギー制限中であっても、グリコーゲン貯蔵量を保護し、コルチゾールの過剰な上昇を防ぐために、最小限の炭水化物(5g/kg/日)を維持する必要がある。また、計量後48時間は免疫回復にとって重要。グリコーゲンと免疫細胞の回復を促進するために、計量直後に炭水化物ローディング(例えば8~10g/kg/日)を開始する。

除脂肪体重の減少を防ぎ、免疫細胞の合成に必要なアミノ酸(BCAAなど)を供給するためには、タンパク質を一定量(1.4~2.0g/kg/日)摂取することが不可欠。さらに、ビタミンC、E、亜鉛など、免疫機能に重要な微量栄養素にも注意を払う必要があり、食事からの摂取が不十分な場合はサプリメントで補う。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Rapid Weight Loss on the Immune System in Combat Sports Athletes: A Systematic Review」。〔Int J Mol Sci. 2026 Jan 3;27(1):508〕 原文はこちら(MDPI)

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スポーツ栄養Web編集部


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当サイトの「アンチ・ドーピング情報コーナー」では、サプリメントの活用と選び方、選手がドーピングから身を守るための防衛術、アンチ・ドーピングの基礎知識、最新の認証製品リストなど、現場で役立つ最新情報をお届けしています。

このたび、Chapter3「INFORMED CHOICE」「INFORMED SPORT」の製品リストに新しいアイテムが加わり情報を更新しましたのでお知らせします。

INFORMED-SPORT 追加製品

  • KAXEL model S/DIMENSIONING BODY LAB Inc.
  • NORM Pro creatine(オレンジ)/ノーム(株)
  • EPA 95/BXG(株)

INFORMED-SPORTの製品リスト

INFORMED-CHOICE 追加製品

  • Active Inner Resource/大塚製薬(株)
  • ボディメンテゼリー(ヨーグルト)/大塚製薬(株)
  • ネイチャーメイド スーパーフィッシュオイル/大塚製薬(株)
  • ネイチャーメイド アイアン/大塚製薬(株)
  • ネイチャーメイド マルチビタミン/大塚製薬(株)
  • ネイチャーメイド カルシウム・マグネシウム・亜鉛/大塚製薬(株)
  • SYNCRON KOWA COOL MODE(レモン)/興和(株)
  • ランショット(シトラス)/新田ゼラチン(株)
  • CLEVER高吸収プロテイン/(株)ネイチャーラボ
  • Vital STRONG/ビーアイシーグループ(株)
  • レピールまめ鉄/(株)feileB
  • NEXT-18 PROTEIN(ココア)/Hongo Co., Ltd.
  • inゼリー エネルギーアミノ酸/森永製菓(株)
  • inゼリー プロテイン15g/森永製菓(株)
  • inゼリー プロテイン5g/森永製菓(株)
  • inゼリー マルチビタミンカロリーゼロ/森永製菓(株)
  • inゼリー マルチミネラル/森永製菓(株)
  • inゼリー マルチビタミン/森永製菓(株)
  • inゼリー エネルギーブドウ糖/森永製菓(株)
  • inゼリー エネルギー/森永製菓(株)
  • inバー プロテイン/森永製菓(株)
  • アミノタブレット/森永製菓(株)
  • リカバリーパワープロテイン/森永製菓(株)
  • マッスルフィットプロテイン/森永製菓(株)
  • マッスルフィットプロテインプラス/森永製菓(株)
  • おいしいホエイプロテイン/森永製菓(株)
  • ウエイトダウンプロテイン/森永製菓(株)
  • ジュニアプロテイン/森永製菓(株)

INFORMED CHOICE(LGC)の製品リスト

アンチ・ドーピング情報

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アンチ・ドーピング情報 CONTENTS

スポーツ栄養Web編集部


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筋力トレーニングの経験のない男子大学生を対象に、液体プロテイン摂取の並行介入を行うことで、筋力や筋量に上乗せ効果を期待できるとする研究結果が報告された。中国で行われた8週間の無作為化比較試験の結果であり、胸囲やベンチプレスなどでの裁断筋力の変化量に、対プラセボ(水)で有意差がみられたという。

先行研究が意外に少ない、筋トレ経験のない若年者を対象とする介入研究

アスリートにとっては筋力の強さが有利に働く場面が多くあり、アスリートのレジスタンストレーニング(resistance training;RT)の効果を高める栄養介入について、数多くの研究がされてきている。なかでも筋タンパク質の同化に必要なプロテインベースのサプリメントの有用性は、多くの知見が蓄積されている。またアスリート以外に、おもに高齢者のサルコペニアのリスク抑制という点でも、RTとタンパク質サプリの組み合わせによる介入効果が多く検討されてきている。

しかし、アスリート以外で筋肉量の不足が問題となるのは、なにも高齢者に限ったことではない。非高齢者であっても筋肉量が少ないことが、心血管代謝疾患や呼吸器疾患のリスク増大と関連していることが知られている。そのため、若年期から筋肉量を維持しておくことが、将来のそれら慢性疾患のリスク抑制につながる可能性も考えられる。今回取り上げる論文の著者らによると、それにもかかわらず若年者を対象としてRTにタンパク質サプリを上乗せすることの有用性は、これまであまり検討されていないとしている。

バイオアベイラビリティーの高い液体プロテインを用いたRCT

これを背景として著者らは、過去にRTの経験のない男子大学生を対象とする、RT単独介入とRT+液体プロテイン介入の2群間で、筋肉量や筋力に差が生じるかを無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)により検討した。

なお、液体のサプリを用いたのは、粉末や固形に比べ液体は迅速に消化・吸収され生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)が高く、RT直後の筋タンパク同化作用が亢進している時間帯に速やかに利用されるためと述べている。また、RT後には腸管粘膜障害のマーカーである腸管型脂肪酸結合タンパク(intestinal fatty acid-binding protein;I-FABP)が35%上昇するという報告があり、吸収効率を考慮してサプリの形態を選択することの意義も付記している。

筋トレ経験のない若年男子を2群に分けて8週間介入

この研究の参加者は、18~35歳でBMI 18.5~23.9のレジスタンストレーニング(RT)経験のない健康な男子大学生であり、食品アレルギーや慢性疾患、アルコール使用障害を有する人、サプリメント使用者、喫煙者などは除外された。

事前の統計学的検討から、有意性の検証に必要なサンプルサイズは各群15人と計算され、30人が募集された。体脂肪率とタンパク質摂取量(3日間〈平日2日、休日1日〉の食事記録を基に推定)の分布に差が生じないよう配慮したうえで、無作為に15人ずつの2群に分類。両群ともに週3回のRTを8週間にわたって継続してもらった。各RTセッション終了後30分以内に、1群には液体プロテイン、他の1群には水を300mL摂取させた。なお、割り付けは盲検化されなかった。

液体プロテインは600kJ(143kcal)で、タンパク質25g(カゼイン、ホエイ、コラーゲンの混合)、炭水化物6.9g、脂質0.9gのほか、14種類のビタミン・ミネラルが含まれていた。RTセッションは1回40分で、指定のジムにおいてトレーナーの監督下で行われた。セッションの10%以上(2回以上)を欠席した1人(RT単独群)は、その時点で介入を中止した。

RT+液体プロテインで胸囲と最大筋力がより大きく増大

ベースラインにおいて、BMI、体脂肪率、タンパク質摂取量に有意差はなく、また採血検査の平均値はRT単独群とサプリ上乗せ群の両群とも基準範囲にあった。エネルギー量、炭水化物、脂質、食物繊維の摂取量も同等だった。

また、介入期間中もエネルギー量、炭水化物、脂質、食物繊維の摂取量は同等だった。ただし、タンパク質、カルシウム、およびビタミンDの摂取量はサプリ上乗せ群が有意に高かった。

胸囲の変化に有意差

胸囲、ウエスト・ヒップ・上腕・大腿周囲長のうち、ウエストを除いて両条件ともに、介入後は介入前より有意に高値となっていた。ウエスト周囲長は両条件ともに有意な変化がなかった。これらのうち、胸囲については変化幅に有意差が認められ、サプリ上乗せ群のほうがより大きく変化していた(p=0.015)。

BMIや体脂肪率の変化については有意な群間差がなかった。また、下肢や上肢などの局所の筋肉量についても、介入前後の変化に有意差はなかった。

ベンチプレスとディープスクワットの最大筋力に有意差

筋力はベンチプレスとディープスクワットにより評価された。いずれも両群ともに介入によって有意に上昇していたが、上昇幅はサプリ上乗せ群のほうがより大きかった(ベンチプレスはp=0.007、ディープスクワットはp=0.018)。なお、筋持久力(反復回数)についての介入前後の変化については、ベンチプレスとディープスクワットのいずれも、群間差が非有意だった。

以上に基づき論文の結論は、「トレーニング後の液体タンパク質補給を組み合わせることで、最大筋力がより向上し、胸囲の増加も増大することが示唆された。適切なタンパク質摂取は、レジスタンストレーニング中の筋肉適応をサポートする」とまとめられている。ただし、盲検化をしていないこと、トレーニング後の炭水化物摂取は参加者の判断で自由に摂取できたことなどの限界点があり、慎重な解釈が必要と付け加えられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of an 8-week liquid protein supplementation on resistance training adaptations in untrained healthy college students」。〔PeerJ. 2026 Feb 11:14:e20778〕 原文はこちら(Informa PLC)

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スポーツ栄養Web編集部


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今回は、スペイン栄養学会が先ごろ「Nutrients」誌に掲載した、スポーツにおける栄養戦略に関する合意文書(コンセンサス ドキュメント)の一部を紹介する。結論として、すべてのアスリートに推奨可能な普遍性のある単一の食事戦略は存在しないと述べるとともに、高炭水化物食、低炭水化物食などの代表的な食事パターンについて、アスリートへの適用可能性と注意点、競技別の栄養戦略などが掲げられている。

イントロダクション

ソーシャルメディアの普及により内容を簡略化したメッセージが好まれるようになり、栄養の領域でもそのような情報の人気が高まっている。そのようなメッセージはしばしば科学的エビデンスを欠いていることが多く、適切ではない食事・栄養戦略が用いられやすくなる。その結果として必須栄養素の不足、ホルモンバランスの乱れ、身体パフォーマンスの低下、摂食障害のリスク増大といった潜在的な負の影響の懸念が高まっている。

例えば、持久系スポーツのパフォーマンスの最適化に関してエビデンスが多数ある高炭水化物食に変わり、低炭水化物食やケトジェニック食の関心が高まっている。しかしその有効性の報告は一貫性がなく議論の余地が残されている。また断続的断食は体組成や代謝に対する人気の食事パターンとなっているが、スポーツへの適用可能性は不明点が多い。

他方、スポーツ栄養学はより個別化したアプローチが重視されるように進化してきている。競技の種類、競技レベル、シーズンにおけるタイミング、アスリート個々の生理学的および心理学的特性に基づいた戦略が模索されている。さらに、食の選択に対する文化的、倫理的、環境的な配慮も要求される傾向が強くなっている。

このような背景から、アスリートにパフォーマンス向上のための普遍的な栄養戦略を推奨することは困難であり、むしろパフォーマンスや健康に負の影響を及ぼさないアプローチを示すことが求められる。以上の考え方に基づき、スペイン栄養学会は、アスリート、コーチ、栄養士、管理栄養士、医療専門家向けの参考ガイドとして、本レビューを公開した。詳細な解説が加えられているが、本稿では表形式でまとめられている以下の情報のみを紹介する。

スポーツにおける各食事戦略の概要

高炭水化物食

推奨される状況
高い解糖系の需要、迅速な回復の必要性、長時間・高強度のトレーニングセッション。持久系スポーツやチームスポーツで多い。
潜在的メリット
グリコーゲン貯蔵量を最大化し、高強度運動のパフォーマンスと回復をサポートする。
潜在的リスク
エネルギー摂取量増大の調整が適切でない場合、低強度トレーニングには不必要となる。
留意点
セッションごとの負荷にあわせた摂取量とタイミングが重要。

低炭水化物食

推奨される状況
有酸素運動の基礎トレーニング、代謝の柔軟性向上、体脂肪を減少させる段階、超長距離持久力トレーニングの準備段階。
潜在的メリット
脂質酸化と代謝の柔軟性を高める。
潜在的リスク
嫌気性運動パフォーマンスの低下、微量栄養素不足のリスク。
留意点
短期間にとどめる。高強度運動期には避ける。適応状況をモニタリングする。

低炭水化物・高脂肪食

推奨される状況
低炭水化物食と同様だが、脂質摂取量が多く代謝変化がより顕著。
潜在的メリット
脂質酸化への依存度が高まる。特定の状況下では持久力向上につながる可能性がある。
潜在的リスク
高強度運動に対する耐性の低さ、運動継続の難しさ、栄養不良。
留意点
モニタリングによる慎重な評価。

ケトジェニック食

推奨される状況
減量、特定の代謝管理または準備段階。
潜在的メリット
脂質酸化を促進し、体脂肪を減少させ、炎症を軽減する可能性がある。
潜在的リスク
高強度運動パフォーマンスの低下、消化管障害、栄養不良を惹起し得る。
留意点
短期間適用する。バイオマーカーを用いたモニタリングが必要。

断続的断食

推奨される状況
体組成の改善、代謝健康の改善。レクリエーションアスリートまたはオフシーズンに適用。
潜在的メリット
体脂肪の減少、代謝マーカーの改善、インスリン感受性の向上。
潜在的リスク
除脂肪体重の減少、高負荷トレーニングに対する耐性の低下。
留意点
個々の状況に合わせて調整。競技期間中や高強度トレーニング期間中は避ける。

ベジタリアン/ビーガン食

推奨される状況
心血管の健康、倫理面・持続可能性の動機がある場合、体系的な長期計画。
潜在的メリット
パフォーマンスとの両立性が高く、心血管疾患のリスクを低減する。
潜在的リスク
ビタミンB12、鉄分、ω3脂肪酸の不足。エネルギー密度の低さ。継続可能性はさまざま。
留意点
高品質のタンパク質を摂取し、主要栄養素摂取量をモニタリング。必要に応じてサプリメントを使用。

旧石器時代食(パレオダイエット)

推奨される状況
体組成の改善、血糖管理。オフシーズンに適用。
潜在的メリット
栄養価の高い食品。血糖値のコントロールをサポートする。
潜在的リスク
炭水化物摂取量、カルシウム、ビタミンDの不足。
留意点
高強度トレーニング期間中は避ける。個々の状況に合わせて計画を立てる。

炭水化物摂取量の周期的調整(carbohydrate periodization)

推奨される状況
セッション間で炭水化物の利用可能性を調節することにより、代謝適応を促進する。
潜在的メリット
代謝効率と基質利用の柔軟性を向上させる。
潜在的リスク
複雑であり、誤った方法では過度の疲労を引き起こす恐れ。
留意点
特定のセッション(低負荷トレーニング日)で使用し、高負荷トレーニング日と交互に使用する。

スポーツカテゴリーごとの各食事戦略の適用可能性

持久系競技

高炭水化物食
とくに推奨される。グリコーゲンを最大限に活用し、長時間にわたる高強度運動をサポートする。
低炭水化物食
基礎トレーニングや脂肪燃焼促進には有効だが、競技期には適していない。
低炭水化物・高脂肪食
超長距離競技における潜在的なメリット。長時間の競技中に炭水化物への依存度を低減する。
ケトジェニック食
極限の持久力トレーニングや減量期には効果的だが、競技会直前には推奨されない。
断続的断食
低強度フェーズでの使用が可能。エネルギー供給状況をモニタリングする。
ベジタリアン/ビーガン食
適切なエネルギーと栄養素の摂取計画を立てれば適しており、心血管系の健康をサポートする。
旧石器時代食(パレオダイエット)
血糖コントロールと体組成の改善に効果があるが、高強度の運動には炭水化物の摂取量が不十分な場合がある。
炭水化物摂取量の周期的調整(carbohydrate periodization)
代謝適応を促進する強力なエビデンスがあり、幅広いスポーツカテゴリーに適用可能。

パワー系競技

高炭水化物食
高負荷トレーニングの日には有効だが、最大努力時にはそれほど重要ではない。
低炭水化物食
効果は限定的であり、高強度または瞬発的なパワーを阻害する可能性がある。
低炭水化物・高脂肪食
推奨されない。嫌気性代謝とリン酸分解酵素系に悪影響を及ぼす。
ケトジェニック食
パワーが低下するため、推奨されない。
断続的断食
筋力向上効果の低下や回復力の低下のリスク。
ベジタリアン/ビーガン食
筋力トレーニングに適用は可能だが、タンパク質の品質と鉄分・ビタミンB12の摂取量が管理されている必要がある。
旧石器時代食
オフシーズン中は許容可能だが、パワー系トレーニングに必要なグリコーゲン供給量が不足する可能性がある。
炭水化物摂取量の周期的調整
トレーニング刺激を最適化するのに役立つ。極めて高強度のトレーニングを行う日は、高炭水化物摂取とする。

団体競技

高炭水化物食
試合日や、繰り返しスプリントが必要となる過密なスケジュールに推奨される。
低炭水化物食
加速やスプリントは代謝コストが高いため、推奨されない。
低炭水化物・高脂肪食
断続的な高強度負荷のため、フィット感が良くない。
ケトジェニック食
不適切。高強度パフォーマンスを低下させる。
断続的断食
長時間の絶食を伴う午後/夕方のセッションでは、パフォーマンスが低下する可能性がある。
ベジタリアン/ビーガン食
エネルギー摂取量がトレーニングの要求を満たしている場合には適切。
旧石器時代食
炭水化物摂取が制限されるため、シーズン中は推奨されない。
炭水化物摂取量の周期的調整
高負荷と低負荷を交互に行うトレーニングに最適。

スプリント競技

高炭水化物食
反復スプリントパフォーマンスをサポートし、試合前の準備に役立つ。
低炭水化物食
一般的に、スプリント競技には対応していない。
低炭水化物・高脂肪食
スプリントランナーには禁忌。
ケトジェニック食
禁忌。最大パワーとスプリント速度を低下させる。
断続的断食
推奨されない。エネルギー不足は神経筋機能に悪影響を及ぼす。
ベジタリアン/ビーガン食
タンパク質摂取のタイミングを最適化すれば有効。クレアチンやβ-アラニンのサプリメント摂取を推奨。
旧石器時代食
スプリント競技のエネルギー補給には通常不十分。
炭水化物摂取量の周期的調整
スプリントセッション前後のグリコーゲン最適化をサポートする。

体重別階級競技

高炭水化物食
慎重なエネルギー管理が必要であり、期間設定が適切でないと体重が増加する可能性がある。
低炭水化物食
短期的な減量に役立つ可能性があるが、疲労を注意深く観察する。
低炭水化物・高脂肪食
減量期に役立つ可能性があるが、パフォーマンス低下のリスクもある。
ケトジェニック食
短期間の急速な減量を目的とする場合は、専門家の監督下で適用可能。
断続的断食
専門家の監督下であれば、短期間の減量期間に検討される可能性がある。
ベジタリアン/ビーガン食
個別プランニングに適しており、タンパク質摂取に留意する。
旧石器時代食
減量期に有効。カルシウムとビタミンDの摂取量を確保。
炭水化物摂取量の周期的調整
体重目標を維持しながら、柔軟なエネルギー供給を可能にする。

審美系競技

高炭水化物食
摂取量を適切に管理すれば適用可能だが、手法を誤るとエネルギー過剰摂取のリスクがある。
低炭水化物食
トレーニングの質を低下させ、自覚的運動強度を高める可能性がある。
低炭水化物・高脂肪食
高強度、高跳躍、高出力が求められるため、適していない。
ケトジェニック食
疲労感を増大させ、除脂肪体重を減少させる可能性があるため、推奨されない。
断続的断食
エネルギー供給不足およびRED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)のリスクがあるため、注意が必要。
ベジタリアン/ビーガン食
一般的な選択肢の一つ。鉄分、ビタミンB12、ω3脂肪酸のモニタリングが必要。
旧石器時代食
体脂肪を減らすという目標達成に役立つ可能性があるが、栄養不良のリスクもある。
炭水化物摂取量の周期的調整
エネルギー供給が確保されている場合に適している。

文献情報

原題のタイトルは、「Consensus Document of the Spanish Nutrition Society (SEÑ) on Nutritional Strategies in Sports」。〔Nutrients. 2025 Dec 11;17(24):3862〕 原文はこちら(MDPI)

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スポーツ栄養Web編集部


Page 19

女性アスリートの月経中の怪我の発生率は非月経期と有意差がないものの、受傷後の試合やトレーニングからの離脱期間が長く、重症度は高い可能性があるとする研究結果が報告された。スペインの女子サッカーの最上位リーグであるリーガFに所属するチームの選手を、4シーズンにわたり継続的に観察した結果であり、著者らは女性アスリートの月経周期をモニタリングすることの重要性を強調している。

月経は女性アスリートの受傷リスクを高めるのか?

月経は1周期あたり4~8日続く子宮内膜の出血を特徴とし、1日あたり約1mgの鉄が失われる。アスリートの場合、鉄の喪失に伴う易疲労、回復の遅延、および月経症状により、怪我のリスクが高まると考えられ、実際にそのことを示した複数の研究報告がある。しかしその一方で、月経と受傷リスクとの間に有意な関連はみられないとする報告もあり、結論は得られていない。

これを背景に今回取り上げる論文の著者らは、スペインのリーガF所属チームの選手を、2019/20~2022/23の4シーズンにわたり継続的に観察し、月経と受傷リスクとの関連の有無を検討した。リーガF(旧:リーガ・イベルドローラ)は同国内の最上位リーグであり、本研究の対象としたチームは欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグで、前記の期間に優勝を2度果たしている。

研究参加選手は合計33人(25.72±4.27歳)で、複合ホルモン避妊薬を使用している選手、無月経の選手は除外された。19/20シーズンは17人、20/21は20人、21/22は18人、22/23は22人であり、11人は4シーズンすべてに参加した。

発生率は有意差がないが、戦線離脱期間は月経中に発生した怪我のほうが有意に長い

月経の状態は記録アプリを用いて自己申告に基づき判断された。月経周期は平均31日であり、月経期間(卵胞期初期の出血のある期間)は4日であり、臨床的に正常の範囲だった。

怪我の発生件数と発生率の比較

4シーズンにわたる観察期間中に、合計852回の月経周期が記録された。また4シーズンで80件の怪我が発生していた。

月経期と非月経期での比較

そのうち69件(86.2%)は非月経期に発生し、月経期に発生したのは11件(13.7%)だった。1,000時間あたりの怪我の発生率は、6.42件(95%CI;5.09~7.99)であり、非月経期は6.48件(5.11~8.21)、月経期5.36件(2.97~9.69)であって、有意差はなかった(p=0.5519)。

試合中とトレーニング中とでの比較

なお、全体の18件(22.5%)は試合中に発生し、62件(77.5%)はトレーニング中に発生していた。1,000時間あたりの怪我の発生率としてみると、同順に5.94件、6.41件であり有意差はなかった(p=0.7762)。

怪我の重症度の比較

月経期と非月経期での比較

次に、試合やトレーニングからの離脱期間に着目すると、1,000時間あたり283日(274~293)であり、非月経期に発生した怪我では206日(197~215)、月経期に発生した怪我では684日であって、月経期に発生した怪我のほうが有意に長かった(p=0.0027)。

試合中とトレーニング中とでの比較

なお、試合中に発生した怪我での離脱期間は261日、トレーニング中に発生した怪我では290日であり、有意差はなかった(p=0.2260)。

女性アスリートの月経周期を把握しトレーニング等を考慮することが重要

著者は本研究の限界点として、受傷リスクに影響を及ぼすことが知られている、睡眠の質、栄養状態などを把握していないこと、観察期間の初期(主に2019/20シーズン)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受けたために受傷リスクが変化した可能性のあること、および、4シーズンにわたる観察期間中にコーチや選手が入れ替わり、サンプル内に異質性が生じている可能性があることなどを挙げている。

そのうえで得られた結果を、「エリート女子サッカー選手を対象とした4シーズンにわたる縦断研究で、月経期と非月経期の怪我の発生率は類似していたものの、月経期に発生した怪我はその負担が大きく重症度が有意に高かった。これらは、月経が怪我の可能性を高めるわけではないが、怪我が発生した場合により深刻な結果につながる可能性があることを示唆している」と総括。また、「本研究は、怪我の予防戦略においてアスリート個々の月経周期を把握すること、そしてトレーニング負荷、疲労、症状の重症度といったホルモン因子と非ホルモン因子の双方を考慮することの重要性を強調するものである」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Menstruation and injury occurrence; a four season observational study in elite female football players」。〔Front Sports Act Living. 2025 Dec 16:7:1665482〕 原文はこちら(Frontiers Media)

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スポーツ栄養Web編集部


Page 20

地球温暖化の主要な原因とされている二酸化炭素(CO2)の増加が、ほうれん草とケールの収穫や栄養価にどのような変化をもたらすかを、これまでの研究のデータを統合したメタ解析により検討した結果が報告された。CO2の増加はほうれん草とケールの収穫を増やすこと、その反面で重要な栄養素の含有量を低下させることが示されている。

微量栄養素の供給源として重要なほうれん草とケール

気候変動、とくに地球の温暖化が、食料供給に前例のない負荷をかけていることがしばしば報告されている。温暖化のおもな原因の一つはCO2の増加であって、CO2の増加が世界の人々の主要なエネルギー源であり、かつタンパク源とされる畜産物の飼料である穀物や豆類の収量に及ぼす影響については、すでに複数の報告がある。

一方、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素の供給源である野菜類に及ぼす影響は十分研究されていない。野菜類の中でも、ほうれん草は各種ビタミンに加えて鉄、マグネシウムなどの必須ミネラルが豊富であり、アスリートの高い微量栄養素需要を満たすのに適している。ケールもまた各種ビタミンとミネラルが豊富な野菜として知られている。

今回紹介する論文は、これら2種類の野菜の収量、バイオマス、栄養価が、CO2濃度の上昇に伴いどのように変化するかを、既報論文のシステマティックレビューとメタ解析により検討した結果を示したもの。

システマティックレビューとメタ解析でCO2濃度上昇の影響を予測

システマティックレビューには、PubMed、Scopus、ScienceDirect、Web of Science Core Collection、Google Scholarなど、複数の文献データベースを用いた。検索は2024年3月12日までに行った。

包括条件は、ほうれん草とケールに対する高濃度CO2(650~3,000ppmを超える)環境で生育させることの影響を、比較対象条件(CO2濃度が400~450ppm程度)を設けて検討し、査読システムのあるジャーナルに収載されている論文として、報告された時期は制限しなかった。対照条件が設けられていない研究、高濃度CO2曝露以外の負荷(高温や干ばつなど)の影響も同時に評価していて高濃度CO2曝露のみの影響を解析に用いることができない研究、著者に複数回連絡しても全文または解析に必要なデータを入手できなかった研究などは除外した。

一次検索で872報がヒットし、重複削除後の734報をタイトルと要約に基づくスクリーニングにより42報に絞り込み、全文精査によって13件の研究の報告を抽出した。

抽出された研究の特徴

抽出された研究の多くは2000年代に入ってから報告されており、とくに2020年代以降に増加していた。

13件の研究で合計346項目の効果量が検討されており、外れ値を含む項目を除外した339項目をメタ解析の対象とした。多くは米国の報告(134項目/CO2濃度は720~60,000ppm)であり、次いで韓国(112項目/700~1,600ppm)、中国(43項目/700~800ppm)が続き、それらの国では複数のCO2濃度で検討されていた。それに対して、インド(33項目/650ppm)、イタリア(11項目/800ppm)、日本(7項目/800ppm)、カナダ(6項目/1,000ppm)は単一の高濃度CO2で検討していた。

生育期間は14~80日に分布しており、最頻値は28日で170項目が検討されていた。評価されていた項目の多くは収量またはバイオマスであり約4割(39%)を占めた。そのほかに、窒素化合物(18%)、ミネラル(14%)、光合成成分(10%)、植物性化合物(7%)、ビタミン(6%)、炭水化物(5%)が調査されていた。全体として、8割(79%)はケールを調査し、ほうれん草に関する調査は2割(19%)だった。

ほうれん草はCO2濃度上昇に伴い収穫がより大きく増えるが、栄養価がより大きく低下

CO2濃度上昇で収量とバイオマスは増加する

メタ解析の結果、CO2濃度の上昇はほうれん草とケールの成長と収量を増加させることが示された(効果量〈Hedgesのg〉=1.04)。CO2濃度の上昇のバイオマスに対する影響をほうれん草とケールを個別にみると、ほうれん草(g=1.21)のほうがケール(g=0.97)よりやや大きかった。

CO2濃度上昇で栄養素含有量は低下する

メタ解析の結果、CO2濃度の上昇は、ほうれん草(g=-0.76)とケール(g=-0.61)ともに、重要な栄養素の含有量を減少させることがわかった。タンパク質はほうれん草とケールの両方で減少し、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルはほうれん草でより顕著に減少した。

ほうれん草はケールよりもCO2濃度の上昇に伴う成長の加速が大きいものの、栄養素の損失もより大きかった。

CO2上昇が野菜の栄養素を希釈させ、欠乏症等のリスクを押し上げる

著者らは、「このような変化はこれらの野菜を必須ビタミンや必須ミネラルの供給源としている多くの人々に影響を与える可能性がある。CO2濃度の上昇が今後も続くならば、野菜類に含まれる栄養素の希釈が微量栄養素の欠乏や関連疾患リスク上昇などの健康問題につながるだろう」と述べている。また、「明らかになった結果は、気候変動下における食料需要を満たしつつ栄養価を維持するための農業戦略が必要であることを強調するものだ。本研究は、政策立案者、農業従事者、および科学者が、公衆衛生を守る持続可能な食料システムを計画する際に有用なエビデンスである」と付け加えている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Elevated CO2 on Yield and Nutritional Quality of Kale and Spinach: A Meta-Analysis」。〔Biology (Basel). 2026 Jan 15;15(2):152〕 原文はこちら(MDPI)

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スポーツ栄養Web編集部


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プロバイオティクスが運動能力にプラスの効果を発揮する可能性のあることが、システマティックレビューとベイズメタ解析の結果として示された。中国の研究者らによる研究であり、「Frontiers in Nutrition」に論文が掲載された。とくに有酸素持久力への有効性が高いと考えられるという。

プロバイオティクスのスポーツパフォーマンスに対する有効性を探る

近年、プロバイオティクスの研究が精力的に行われており、整腸作用にとどまらず、生活習慣病やがん、メンタルヘルス関連疾患など、幅広い疾患の予防や治療に役立つ可能性が報告されてきており、さらにスポーツ栄養の領域での研究も進められている。

例えば、国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition;ISSN)はポジションスタンドとして、「特定のプロバイオティクス株がエネルギー代謝を調節し、栄養吸収を促進し、酸化ストレスと炎症を制御することで、パフォーマンス、とくに筋力と持久力を向上させる可能性がある」と述べている。ただし、健康な成人におけるパフォーマンス向上に関する知見は依然として一貫性がない。また、観察されているパフォーマンス向上効果も、プロバイオティクスによるエネルギーシステムや筋肉機能への直接的な働きかけというより、消化管機能や免疫システムの調節を介したものである可能性が考えられる。

加えて、これまでの研究によるエビデンスをシステマティックに統合し評価したメタ解析は実施されていない。これらを背景として、今回紹介する研究では、健康な被験者を対象にプロバイオティクスの影響を、持久力、筋力、スピードという視点で評価し、至適用量・菌株を探る検討を行っている。

文献検索について

PubMed、Embase、Web of Science Core Collection、Scopusなど、6種類の文献データベースを用いて、それぞれの開始時から2025年7月1日までに収載された論文を対象とする検索を行った。包括基準は、アスリート、健康な成人、高齢者を対象に、プロバイオティクスを経口投与し、対プラセボで運動能力を比較した無作為化比較試験(並行群間試験またはクロスオーバー試験)であり、英語で発表されている原著論文とした。除外基準は、疾患有病者対象の研究、他の介入を同時に行っておりプロバイオティクス単独の影響を分離して解析することのできない研究、経口以外の投与方法による研究、レビュー、エディトリアル、レター、学会発表、学位論文など。

一次検索で4,226報がヒットし、重複削除後の3,033報を2名の研究者が独立してタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は他の2名の研究者の討議により解決された。86報を全文精査の対象とし、最終的に21件の研究報告を適格と判断した。

抽出された研究

21件の研究の63.6%はアジア諸国から報告されており、次いで米国18.2%、欧州13.6%、オセアニア4.5%だった。

研究参加者数は合計685人であり、12件はアスリート対象、8件は非アスリート成人対象、1件は高齢者対象に行っていた。性別については、9件は男性のみ、2件は女性のみ、9件は男性と女性を含めており、1件は性別の情報が記されていなかった。

介入に用いたプロバイオティクスは、12件では単一の菌株、9件は複数の菌株であり、16件はカプセル、3件は飲料、2件はヨーグルトとして投与していた。

また、13件の研究はなんらかの金銭的サポートを受けたことを開示し、8件はサポートを受けていないことを宣言していた。

プロバイオティクスは有酸素持久力に対する有意な効果を示す

21件のデータを統合したベイズメタ解析の結果、プロバイオティクスの摂取は運動パフォーマンスを小~中程度改善する可能性が示唆された(標準化平均差〈SMD〉0.38、95%信用区間〈CrI〉0.17~0.60)。 評価指標別の解析:

各研究で評価されていた指標に基づき、筋力、耐久力、持久力、有酸素持久力、嫌気性持久力、スプリントなどに分類したうえで解析すると、持久力(SMD0.74〈95%CrI;0.39~1.10〉)と有酸素持久力(自転車エルゴメーターによるVO2maxがSMD2.21〈0.64~3.68〉)という2項目において有意な改善が示唆された。

対象集団別の解析

研究対象集団別に解析すると、アスリート(SMD0.38〈0.08~0.69〉)および成人(SMD 0.46〈0.11~0.81〉)において有意な改善が示唆された。

菌株や投与量別の解析

介入に用いられた菌株別の解析では、Lactobacillus plantarumで有意な改善が示唆された(SMD0.82〈0.12~1.50〉)。また、単一菌株(SMD0.33〈0.04~0.62〉)と複数菌株(SMD0.45〈0.12~0.79〉)のいずれも有効性が示された。用量別の解析では、中等量のみが有意な効果を示した(SMD0.38〈0.14~0.62〉)。

金銭的サポートを受けた研究と受けていない研究とに分類した解析の結果、有意差は認められなかった。

この結果に基づき論文の結論は、「プロバイオティクスの摂取は、健康な成人の運動能力をわずかではあるが、実質的に意義のある程度の上昇と関連しており、単一菌株製品と複数菌株製品の両方で効果が認められ、中等量の摂取で最も一貫した効果が示された」とまとめられている。

同時にまた、「現在のエビデンスの基盤は、サンプルサイズの小ささ、介入期間の短さ、投与量のばらつき、標準化されていないアウトカム指標によって制限されており、精度と一般化可能性が制約される。得られた知見をスポーツ栄養に適した実践的なガイダンスに変換するために、今後の研究は、多施設共同、盲検化、菌株の投与法に関する正確な報告、標準化されたテストプロトコルで実施され、かつ事前に規定された指標での評価が求められる」と付言している。

文献情報

原題のタイトルは、「Effect of probiotic intake on athletic ability in healthy people: a systematic review and Bayesian meta-analysis」。〔Front Nutr. 2026 Jan 30:13:1731627〕 原文はこちら(Frontiers Media)

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スポーツ栄養Web編集部


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肥満者を対象として、夕食での栄養素・食品摂取状況とその晩の睡眠行動との関連、および、睡眠行動と翌朝の朝食の栄養素・食品摂取状況との関連を解析した結果が米国から報告された。夕食時の炭水化物、糖類、青魚、オリーブオイルの摂取量が多いほど、その晩の睡眠パラメータが良好となり、摂取エネルギー量、脂質、コレステロール、タンパク質、アルコール、赤身肉、フライドポテトの摂取量が多いほど、その晩の睡眠パラメータが不良であって、睡眠時間が長いほど翌朝の朝食の食事の質が高いといった関連がみられたという。

自由生活下での夕食―睡眠―朝食の関連を検討

肥満者には非肥満者と異なる食事パターンがみられることが報告されている。また、食事パターンと睡眠行動との間にも関連のあることが報告されている。ただし、肥満者の食事と睡眠の関連を同時に調査した研究は多くない。この研究ギャップを埋めるために、今回紹介する論文の研究では、肥満者の夕食とその後の睡眠、および朝食という一連の流れに有意な関連があるか否かを検討した。

研究参加者は、新聞広告または著者らの所属大学・医療機関を通じて募集された。適格基準は、BMI 30~40で過去2カ月にわたり体重が安定していて(変動幅が3%以内)、習慣的な摂食の時間帯が1日のうち11時間以上あることとされ、除外基準は、減量中、心血管代謝疾患・睡眠障害・摂食障害の既往、運動を妨げる状態、夜間またはシフト勤務、妊婦・授乳婦などとされていた。

研究参加者187人に2週間にわたり加速度計を身に着けて生活してもらうことで、睡眠行動を把握。食事摂取状況と摂取タイミングについては非連続の2日または1日に摂取したものを栄養士のインタビュー調査により把握した。

睡眠行動に関するデータが不十分(観察期間の70%未満)であった参加者を除外し、146人を解析対象とした。主な特徴は、年齢が中央値49歳(四分位範囲42~55)、男性52.1%、BMI中央値34.6(同31.6~37.4)であり、夕食と睡眠行動の関連について178件、睡眠行動と朝食との関連について180件のデータが取得された。

夕食とその晩の睡眠との関連

夕食での栄養素摂取量とその晩の睡眠行動の関連を、年齢、性別、BMI、身体活動などの交絡因子で調整して検討した結果、以下の関連が示された。

夕食の栄養素と睡眠の関連

夕食の摂取エネルギー量、タンパク質・脂質・飽和脂肪・多価不飽和脂肪・コレステロール・アルコール摂取量は、入眠時刻と相関が認めらた(すべてρ≧0.22、p≦0.036)。炭水化物と糖類の摂取量は総睡眠時間と正の相関を示した(いずれもρ≧0.16、p≦0.034)。飽和脂肪の摂取量、および、炭水化物と糖類の摂取量の比は、睡眠時間と負の相関があった(いずれもρ≧-0.15、p≦0.047)。

夕食時の食品と睡眠の関連

夕食時の青魚の摂取は睡眠効率と正の相関があり(ρ=0.16、p=0.034)、中途覚醒とは負の相関があった(ρ=-0.18、p=0.019)。一方、フライドポテトの摂取は睡眠効率と負の相関があった(ρ=-0.22、p=0.003)。

夕食時のオリーブオイルの摂取は起床時刻と負の相関があった(ρ=-0.15、p=0.042)。一方、豚肉、牛肉、羊肉などの摂取は睡眠時間と負の相関があった(ρ=-0.15、p=0.048)。

睡眠行動と翌朝の朝食との関連

前記同様に交絡因子を調整後の解析で、睡眠行動と翌朝の朝食との間に以下の関連が示された。

睡眠時間は、朝食の炭水化物、食物繊維、一価不飽和脂肪、炭水化物と糖質の比、およびオリーブオイルの摂取量と正の相関があった(すべてρ≧0.16、p≦0.030)。反対に、睡眠時間は朝食のコレステロールおよび飽和脂肪の摂取量と負の相関があった(いずれもρ≧-0.16、p≦0.034)。

睡眠の継続性(睡眠効率が高いこと、および/または中途覚醒が少ないこと)は、朝食の脂質、飽和脂肪、一価不飽和脂肪、および多価不飽和脂肪の摂取量と正の相関があり、炭水化物、およびジュースの摂取量とは負の相関があった(すべてp≦0.033)。

入眠時刻は、摂取エネルギー量、炭水化物、食物繊維、タンパク質と正の相関があり、飽和脂肪の摂取量とは負の相関があった。

夕食と睡眠との関連より、睡眠と朝食との関連がより強固

本稿では触れなかったが、本研究では対象者を代謝的に健康な肥満とそうでない肥満に分類したうえでの解析、および、夕食・朝食の摂取時間帯が速いか遅いかで分類したうえでの解析も行われている。

それら一連の結果を基に、論文の結論は、「自由生活下の肥満成人において、夕食の食事摂取量とその後の睡眠の質との関連性は弱い一方、睡眠の質はその後の朝食の食事摂取量と関連していることが示された。この相互の関係は、この集団における代謝状態、食事のタイミング、睡眠時間によって変化する可能性がある。これらは今後の肥満管理のための介入に有用な知見となり得る」とされている。

文献情報

原題のタイトルは、「From plate to pillow, and vice versa: diet-sleep dynamics in free-living adults with obesity」。〔Eur J Nutr. 2026 Feb 16;65(2):63〕 原文はこちら(Springer Nature)

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スポーツ栄養Web編集部


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NBAが創設された1946年以降の全選手の死亡原因を調査した結果が報告された。傾向としては米国の一般男性と同様に、癌死と心血管死が多いことが示されたが、アフリカ系の選手は欧州系の選手より死亡リスクが高い傾向があることや、身長が高いほど癌死・心血管死のリスクが高いことなども明らかにされている。

競合リスクを考慮してNBA選手の死因を分析

一般に健康的と考えられることの多いアスリート集団の死因について、それが一般人口の傾向と異なるのか否かなどを明らかにすることが公衆衛生戦略において重要とされ、医学研究の的とされてきている。そのような観点から、米国で最も人気の高いスポーツである男子バスケットボールのプロリーグNBA(National Basketball Association)の選手を含む、エリートアスリートの死因に関する研究報告が既に存在する。ただしその研究では、競合リスクが考慮されていないこと、死因に関する情報をオンラインソースから得ており正確性が不足している可能性のあることなどが指摘される。

これを背景として今回紹介する論文の研究では、元NBA選手および現役のNBA選手全員を対象とし、死亡ケースの死因を詳細に調査したうえで、競合リスクを考慮した解析を行った。なお、死因における競合リスクとは、先に発生したある原因による死亡が、その後に発生する可能性のあったほかの原因による死亡の評価を妨げるという関係を指す。

1946年のNBA創設以来、全選手の死因を追跡

解析の対象は、1946年にNBAが創設されて以来、2019年7月までにNBAでプレーした全選手4,374人。なお、1967~1976年に存在したABA(American Basketball Association)のみでプレーした選手は解析から除外したが、NBAとABAの両方でプレーした選手は含めた。

選手の死亡に関する情報は、NBA関連の情報サイト、新聞記事のデータベース、オンラインサイトで確認し、信頼に足ると判断される死因が明らかになった場合はその情報を採用した。死因に関する情報が疑わしい場合は、死因の特定は不能と扱った。

2名の研究者が独立して、癌死、心血管死(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症、心不全など)、外因性死亡(外傷、転倒、暴行、精神活性物質による障害、自傷、自殺、火災、溺死など)、特発性(死因が不明確なもので、突然死を含む)、その他(死因を特定できたもの)、という五つのカテゴリーに分類。複数のカテゴリーに該当する場合、より主要な死因と考えられるカテゴリーに分類した。研究者間で分類の判定の意見が一致しない場合、討議により解決した。

身長と人種/民族による死因別死亡リスクの差が明らかに

2019年7月までに、4,374人の19.8%にあたる864人が死亡していた。死因のカテゴリーは特発性が411人(47.5%)と最も多く、次いで心血管死が156人(18.1%)、癌死が148人(17.1%)であり、外因性死亡は61人(7.1%)で、その他(死因を特定できたもの)が88人(10.2%)だった。

死亡時年齢別に傾向をみると、60歳以降では癌死と心血管死が主流となり、これら二つの死因は95歳までの死因の6割以上を占めていた。

アフリカ系の選手は心血管死リスクが高い

アフリカ系選手と欧州系選手に二分しCox比例ハザードモデルにて死因別リスクを比較すると、アフリカ系選手は年齢の影響を調整後も心血管死のリスクが有意に高いことがわかった(ハザード比〈HR〉1.69〈95%CI;1.17~2.44〉)。癌死、外因性死亡のリスクについてもアフリカ系選手のほうが高い傾向にあったが有意ではなかった。

身長が高い選手は死亡リスクが高い

次に、身長と死因別死亡リスクとの関連をみると、身長が高い選手ほど年齢の影響を調整後も死亡リスクが高い傾向が認められた。とくに、癌死(HR1.102〈1.013~1.2〉)と心血管死(HR1.13〈1.04~1.23〉)については、身長が5cm高いごとの比較で有意なリスク差が観察された。外因性死亡のリスクについてもその傾向がみられたが有意ではなかった。

より最近にプレーしていた選手ほど死亡リスクが低い

続いてNBAでプレーしていた時期と死亡リスクとの関連が検討された。結果は事前の予測どおり、より最近になるまで現役であった選手は年齢の影響を調整後も、より古い時代にプレーしていた選手よりも死亡リスクが低く、癌死、心血管死、外因性死亡、および、その他(死因を特定できたもの)という四つの死因すべてにおいて、有意差が観察された。

アスリートの身長を考慮した、引退後も含めた健康介入が必要

以上の結果に基づき著者らは、「身長の高いNBA選手は心血管疾患と癌による死亡リスクが高いことが明らかになった。この知見は、このエリートアスリート集団における死亡パターンに関する新たな洞察を提供し、身長と人種/民族を考慮し個別化された健康介入の必要性を強調するものだ。この点は、選手の現役時代だけでなく、引退後においても同様である」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Causes of death in NBA players: a competing risks analysis」。〔BMJ Open Sport Exerc Med. 2026 Jan 30;12(1):e002917〕 原文はこちら(BMJ Publishing Group Ltd & British Association of Sport and Exercise Medicine)

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スポーツ栄養Web編集部


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公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(Japan Anti-Doping Agency;JADA)は、4月1日に一部改定された「検査及びドーピング調査に関する国際基準」を公開した。2026年の改定箇所は、Annex DおよびAnnex Iであり、それ以外については変更ないという。

ここでは、「検査及びドーピング調査に関する国際基準(ISTI)2026年の改定ポイント」のみ紹介する。その他の変更や詳細については下記リンク先を参照のこと。

(出典:JADA)

スポーツ栄養Web編集部


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国内の栄養職者にとってバイブルともいえる厚生労働省「日本人の食事摂取基準」を、産科の視点から概観した、慶應義塾大学医学部産婦人科の春日義史氏らの論文が「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」に掲載された。エビデンスの不足や実臨床との乖離、妊娠前の栄養に言及していないことなど、いくつかの課題を指摘し、今後の方向性が述べられている。要旨を紹介する。

イントロダクション:妊婦・授乳婦の適切な栄養を巡る課題

胎内環境(お母さんのお腹の中の環境)は周産期予後だけでなく、児の成長後の健康リスクにも関係する。胎内環境に影響を与える因子として、喫煙、飲酒、薬剤、ストレス、そして栄養などが挙げられる。とくに我が国においては、低出生体重児の割合が他の先進国よりも高く、これに妊娠前の低体重や妊娠中の不十分な体重増加が関与していると考えられている。

一方、国民の健康の維持・増進のために多くの国が食事摂取基準(dietary reference intakes;DRI)を定めている。国内でも厚生労働省が、かつては「日本人の栄養所要量」、2005年からは「日本人の食事摂取基準」を策定し、性別やライフステージにあわせたエネルギー・栄養素量の目安等を掲げており、多くの項目に妊婦・授乳婦の付加量が示されている。

ただし、妊婦や授乳婦の最適な栄養素摂取推奨量を規定することは、介入研究が倫理的に許容されないというハードルが存在するために困難。また、周産期管理における栄養の重要性が、妊婦や臨床医の間で十分に認識されているとは言えない現状もある。さらに現行の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(以下、DRI2025)には、妊娠中のエネルギー付加量を妊娠初期・中期・後期という三つのステージに分けて示しているものの、妊娠前のBMIが考慮されていないという点を、課題として指摘できる。

妊婦の栄養

エネルギー量

DRI2025では妊婦の必要エネルギー量の1日あたり付加量として、妊娠初期は50kcal、中期は250kcal、後期は450kcalとしている。これらは妊娠していない女性が40週間で11kgの体重増加を達成するために必要なエネルギー量に基づき推定された。つまり臨床に基づくものではないため、生理学的な観点で十分な根拠があるとは言えない。

また、前述のようにDRI2025は妊娠前のBMIを考慮しておらず、妊娠中の体重増加の目安も示していない。それに対して日本産科婦人科学会は2020年に、妊娠前のBMIカテゴリー別に妊娠中の体重増加の目安を示した(詳細はこちら)。この遵守が周産期有害事象発生リスクの低下と関連していることも報告されている(DOI: 10.1111/jog.15863)。

ただし、この体重増加を達成するために、妊娠中どのようにエネルギー摂取量を増やしていくべきかを検討した研究はまだなく、今後の課題となっている。

栄養素量

DRI2025において、妊婦の栄養素必要量は同年齢の日本人女性のデータを参考に、妊娠中の需要増大を勘案して定められている。とはいえ、その計算に利用できるエビデンスは少なく、とくに日本人でのエビデンスは限られている。

また、周産期合併症(悪阻、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群など)の治療のための栄養管理に関する情報は、DRI2025に限らず十分とは言えない。例えば、関連学会等から妊娠糖尿病については、血糖管理目標、主要栄養素の比率、葉酸、ビタミンDなど、妊娠高血圧症候群については塩分摂取制限の言及があるものの、その他の栄養素については触れられていない。もっともDRIに関して言えば、DRIは基本的に健常者を対象とするという位置づけであることから、周産期合併症治療のための栄養について記載を求めることに無理があるかもしれない。

授乳婦の栄養

DRI2025において、授乳婦の必要エネルギー量は母乳の産生に必要なエネルギー量を勘案し、1日あたり350kcalを付加量としている。また、多くの栄養素についても付加量が示されている。

一方、こども家庭庁の調査によると、完全母乳育児を行っているのは34.5%であり、人工乳が11.7%、混合授乳が53.8%という実態が示されている。このような授乳行動の差異、および、ライフスタイル等により必要とされる栄養素量は異なると考えられ、授乳婦に対する推奨は妊婦に対する推奨よりも、策定が困難な可能性がある。

妊娠前の栄養(プレコンセプションケアとしての栄養)

妊娠前のケア(プレコンセプションケア)は、良好な周産期予後を得るために重要であり、妊娠前の栄養は母体の健康と胎児の発育に影響を与える。とくに胎児神経管閉鎖障害のリスク抑制のために、妊娠前の葉酸摂取は妊娠中の葉酸摂取よりも重要である。しかし、DRI2025には妊娠前の栄養に関する推奨事項は掲げられていない。

また、妊娠前の質の高い食事は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、早産、低出生体重児などの周産期合併症リスクの低さと関連していることが報告されている。周産期合併症を発症する前の女性は健康な状態であることから、DRIの対象に該当すると理解される。よって今後のDRIには、妊娠前ケアを正式に組み込む必要がある。

さらに近年、パートナーの栄養状態が、周産期合併症や児の成長後の疾患リスクと関連しているという知見が蓄積されてきている。したがって、妊娠前のパートナーの栄養の重要性に関する認識を高める必要があり、この点も今後のDRIでは言及することを検討する必要がある。

プレコンセプションケアやDOHaDの啓発活動

以上、論文の要旨を紹介した。

なお、春日氏らは現在、医学部生や栄養学科の学生とともに、プレコンセプションケアやDOHaD(胎児期と出生後早期の環境が生涯の健康リスクを左右するという考え方。Developmental Origins of Health and Diseaseの略)の概念を広めるために、インスタグラムを用いた活動を行っている。栄養に関しても、実体験に基づく幅広い情報が共有されており、エビデンスと日常生活との橋渡しとなる実践的な内容が発信されている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Dietary Reference Intakes for Japanese (2025): Overview and Future Directions for the Pregnant and Lactating Women's Section」。〔J Obstet Gynaecol Res. 2026 Mar;52(3):e70236〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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スポーツ栄養Web編集部


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ハムストリング筋損傷(肉離れ)はスプリント競技のアスリートに好発し、治癒後の再発も少なくないが、その再発には受傷に伴う「筋スティフネス(筋肉の伸びにくさ)」の上昇が長期間続いていることが一因ではないかとする論文が、「Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports」に掲載された。早稲田大学スポーツ科学学術院の宮本直和氏らの研究によるもので、超音波剪断波エラストグラフィーにより大腿二頭筋長頭のスティフネスを横断的および縦断的に解析した結果、明らかになった。

ハムストリング肉離れはなぜ再発するのか? 受動的な筋スティフネスの検討

ハムストリングの肉離れ(hamstring strain injury;HSI)は、陸上競技、サッカー、ラグビーなどのスプリントが要求されるスポーツで好発し、とくに大腿二頭筋長頭(biceps femoris long head;BFlh)での発生が大半を占める。HSIは再発しやすく、再発の最も強固なリスク因子がHSIの既往であるとされている。初回のHSI時に筋肉の構造や力学的特性に永続的な変化が生じ、それが再発リスクにつながると捉えられている。例えば、組織学的な研究から、筋損傷後にはコラーゲンリモデリングや細胞外マトリックスの構造的な変化が起こることが報告されている。

一方、HSIの潜在的に修正可能なリスク因子として、「受動的な筋スティフネス」が注目されている。受傷後の瘢痕形成などの組織リモデリングが筋肉の受動的な筋スティフネスを増加させ、その変化が再発リスクを高める可能性が示唆されている。よって、受傷後の受動的な筋スティフネスの経過を詳細に把握することが、HSIの既往歴を「修正不可能なリスク因子」から「修正可能なリスク因子」へと変える治療・リハビリテーション戦略の開発につながる可能性が想定される。

とはいえ、筋肉のスティフネスを正確に評価することには技術的なハードルがあり、従来用いられてきた関節可動域や関節硬直テストなどは、筋肉に特異的な評価ではなく、腱や靭帯、筋膜なども含めた組織複合的な挙動を評価したものであり、検査時の疼痛も正確な測定を妨げていた。さらにHSIはBFlhに好発するにもかかわらず、これらの評価ではハムストリングを構成する個々の筋肉の状態を個別に把握することはできていなかった。

それに対して近年、超音波剪断波エラストグラフィー(ultrasound shear wave elastography;USWE)が、生体内の組織の硬さを定量的に評価する手法として、肝硬度の測定などに臨床応用されるようになった。宮本氏らはこのUSWEを用いてBFlhのスティフネスを受動的に評価。HSI後の筋スティフネスの横断的解析、およびHSI発生前から発生後の縦断的解析を行った。

この研究の参加者は全員が男性の陸上競技(短距離または跳躍)選手であり、競技レベルは地域・地方大会出場レベルまたは全国大会出場レベルだった。横断研究、縦断研究の順に紹介する。

横断研究:過去にハムストリング肉離れが発生した脚は、反対の脚より筋肉が硬い

横断研究の参加者は、大腿二頭筋長頭(BFlh)の肉離れの既往のある13人(20.4±1.6歳)。全員が過去12カ月以内にBFlhの肉離れを経験し、研究参加時点では無症状(競技中にも疼痛や違和感なし)だった。

過去に肉離れが生じた脚、および対照脚(肉離れの既往のない脚)のBFlhのスティフネスを超音波剪断波エラストグラフィー(USWE)で受動的に測定した結果、過去の肉離れが生じた脚の筋スティフネスのほうが有意に高いという結果が得られた(p=0.001、効果量〈Cohenのd〉=1.189)。

ただしこれは横断研究であるため因果関係は考察できず、筋スティフネスの差が肉離れにより生じたとは判断できない。そこで以下の縦断研究による検討を行った。

縦断研究:ハムストリングの肉離れが発生すると、筋肉が硬く変化する

縦断研究は、プレシーズンにUSWEによりBFlhの受動的なスティフネスが評価されており、シーズン中にBFlhの肉離れを経験した7人(19.9±1.2歳)を解析対象とした。既にBFlh肉離れの再発経験のある選手は除外されている。対象選手は受傷後、重症度にあわせて構造化されたリハビリテーションプログラムを受けていた。

USWEによる筋スティフネスの測定は、ベースライン(プレシーズン〈受傷以前〉)、急性期(測定に支障ない程度に疼痛が軽減した時点〈受傷1~3週間後〉)、リハビリテーション中(受傷の27.6±7.3日後)、競技復帰後(受傷の60.1±23.4日後以降)という4時点で、受傷脚および対照脚に対して行われた。

受傷脚はリハビリ期以降に、受傷前より筋スティフネスが高値になる

受傷していない対照脚では、急性期のBFlhのスティフネスが、ベースライン時やリハビリテーション中、および競技復帰後よりも有意に高いことが示された(急性期 vs ベースライン:p<0.001、d=5.165/急性期>

一方、受傷脚では、リハビリ期のBFlhのスティフネスがベースライン時よりも有意に高かった(p=0.049、d=1.465)。また、競技復帰後の筋スティフネスはベースライン時と有意差がないものの高い傾向にあり、小さくない効果量が認められた(p=0.094、d=1.261)。

急性期までは筋スティフネスに左右差はなく、リハビリ期に有意傾向、復帰後には有意となる

次に左右の脚を比較したところ、ベースライン時および急性期には、受動的なBFlhのスティフネスに有意な左右差は認められなかった。しかし、リハビリ期には有意水準未満ながら、受傷脚のBFlhスティフネスが高い傾向にあった(p=0.057、d=0.890)。さらに競技復帰後には、受傷脚のスティフネスが有意に高くなっていた(p=0.017、d=1.231)。

著者らは本研究には、サンプルサイズが十分でないこと、対象者が男子陸上競技選手のみであり女子選手や他の競技の選手が含まれていないこと、対象者のBFlh肉離れの重症度にばらつきがあることなど、解釈の限界点があるとしている。

そのうえで、「肉離れによって、大腿二頭筋長頭の受動的な硬さが慢性的に高い状態が生じるという、横断的および縦断的なエビデンスが得られた。これらの知見は、肉離れによる生体力学的変化が競技復帰後にも持続し、筋機能に影響を及ぼす可能性を示唆している」と結論づけている。

文献情報

原題は、「Changes in Passive Muscle Stiffness Following Biceps Femoris Strain Injury in Track-and-Field Athletes: Cross-Sectional and Longitudinal Analyses」。〔Scand J Med Sci Sports. 2026 Mar;36(3):e70254〕 原文はこちら(John Wiley & Sons)

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スポーツ栄養Web編集部

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